地方の公共交通を立て直す!@高知家

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

地方はクルマ社会ですが自転車だって普通に使える乗り物です!活用されてないのはもったいなさ過ぎる!

 

たびたび、「地方でも積極的に自転車を移動手段として活用しよう!」と言っています。

 

それは、地方は確かにクルマ社会でマイカーは必需品ではありますが、坂が多いとか冬場に積雪が多いとかでなければ、「地方都市であっても自転車で十分な機会は多く、経済的かつ疲れるどころかむしろ爽快な運動になって健康的!」の一言だからです。

 

高知県で言えば、高知市のような人口30万人以上を抱える地方中核都市はもちろん、四万十市安芸市宿毛市須崎市土佐市のような人口数万人の小規模都市であっても十分便利で快適です。

 

幡多地方の中心地である四万十市(旧中村市)なんか、自転車にとってもすこぶる快適な環境だと思うのですよね。

 

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(2017年2月12日撮影)

 

f:id:nomotoyasushi:20180401074219j:plain(2017年8月29日撮影)

 

写真のように、ほぼ平坦な地形です。アップダウンはほとんどありません。まさに、自転車向きな都市です。

 

都市規模も大きくはなく、郊外も含めて半径3km以内に収まっています。自転車はママチャリでもいいですけどクロスバイクやツーリング自転車であれば、その範囲を十分快適に移動できる能力を持っています。

 

上写真のように、市役所等がある中心部から郊外までも3kmも離れておらず、時速15kmのゆっくり走行でも12分もあれば走れます。その程度の時間、自転車乗っていればほんとに「あっという間に着く時間」です。

 

郊外から郊外へ走っても5km程。ママチャリでも20分で走れます。いくら郊外化が進んだと言っても、ちょっと走れば着く距離にお店などはあります。

 

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(2017年2月12日撮影)

 

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(2017年10月13日撮影)

 

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(2017年11月4日撮影)

 

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(2017年11月4日撮影)

 

道路環境も自転車にとっても走りやすいですし、空気もきれいです。

 

極めて自転車向きな環境だと思うのですよね。実際に自転車で走ったことは何度もありますが、本当気持ちよく走れます。適度なスピードで、何の問題もなく走れます。

 

「ちょっとした移動」は自転車が一番便利です。

 

だが現実には、自転車は地域の足としてまるで活用されていません。いつ行っても街中で自転車はほとんど走っておらず、完全なクルマ一辺倒です。中高生が乗っているか、ごく狭い旧市街内だけで使われているという状況です。

 

それは、仕方ないのかもしれません。此の地の高校生は、一部で原付通学が認められており、高校卒業どころか中学卒業した時点で自転車を降りてしまいますから。一旦クルマに乗り出すと自転車に乗る習慣をなくしてしまいます。

 

適度な運動で健康に寄与し、省スペースで、ガソリン代等も節約でき、短距離走行を減らし愛車を労わることにもなる自転車が、クルマ一辺倒でまるで使われてないのは、本当もったいないです。たかだか数km、クルマに乗るほどの距離ではないと筆者は思っています。

 

 

市民レベルでも行政レベルでも、地方が自転車活用に目を向けないのは、分かるようで分からないもどかしさがあります。ドイツやデンマークなどに目を向ければ、大々的に自転車活用に取り組んでいる地方都市は実際にあるわけですから。

 

普及しない要因の一つに、「業界が地方で自転車を売る努力をまるでしていない」というのはあるでしょうね。ショールームとなりうるお店や試乗会など、実際にクロスバイクロードバイクに触れたり乗ったりできる機会は地方ではほとんどありません。

 

未だに田舎のオッちゃん、オバちゃんの多くはクロスバイクにすら乗ったことなく、「自転車=ママチャリ」のイメージのまま変わってないというのがそれを如実に物語っています。

 

クルマでもハイブリッドカーがヒットするなど燃費に敏感になっている昨今、究極のエコカーである自転車は、ほんの一押しあれば地方でも売れそうなものです。その場合、非常に高価で維持費も高いクルマとの比較になるので、メーカーもお店もしっかり利益を出せる価格を設定できるので、いいことずくめに思います。

 

売る気ないでしょ、自転車業界…

 

残念ながら、地方には自転車文化がないですし、それが育つ土壌もないのですよね…

 

人口10万人未満の小規模都市こそ、クルマの代替手段として自転車の果たす役割は大きいはずです。市街地内で、路面電車や路線バスが網の目に走ることが全く期待できませんから。

 

 

そういう中でも、「電動アシスト自転車」は地方での自転車利用を促進する突破口になるかもしれないと期待しています。「電動アシスト自転車」は、発売当初より大幅に進歩しており、実際に乗ってみれば「目から鱗!」なんですが、これにしても地方では試乗できる機会は、限られています。

 

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

そういうクルマ一辺倒な地方の現状を変え、地方に新しい時代をつくって行こうと、地方の自転車活用とクルマ依存脱却をテーマにした本を出版しようとしているのですが、残念ながら未だ叶わずです…

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

 なんとか、出版社を見つけるべく頑張らないとと思っています。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その2・需要予測編】

 

 【その1・概要編】から続きます。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その1・概要編】

 

【その2】として先に、地上設備案について書く予定でしたが、電車(LRT)を走らせて果たしてどれだけの需要が見込まれるかということは、何より重要な事柄ですので、【その2】で取り上げます。

 

沿線人口は、後免線郊外部を凌駕!

 

まず、沿線人口から需要がどれだけあるか考察します。

 

高知市の郊外としてマンションが立ち並び人口が急増し、1990年代には市内系統の折り返しが知寄町から文殊通に延伸されるほどになった、とさでん交通後免線沿線の葛島・高須地区等と比較してみます。

 

高知市がホームページで公開している人口統計(2018年1月1日)より作成しました。

 

f:id:nomotoyasushi:20180131105351j:plain高知市南部地域と高知市東部地域の沿線人口比較 2018年1月1日現在 ※縮尺同一)

 

左が桂浜へ電車延伸を想定している高知市南部地域、右が新興住宅街が発達している高知市後免線沿線の高知市東部地域です。

 

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f:id:nomotoyasushi:20180116105347j:plain高知市横浜地区・瀬戸地区に広がる住宅地 2017年9月29日

 

写真のように、高知市南部の横浜地区・瀬戸地区は、同東部の葛島・高須地区と同様に新興住宅街として発達しており、「後免線沿線に匹敵するか、市街地の広さからそれ以上の人口を抱えている可能性もある」と考えていましたが、実際に調べてみてその予想は見事に的中しました。

 

桂浜線沿線になるであろう赤枠内で囲った地域の人口は、後免線沿線の赤枠内で地域の囲った人口よりも4,000人以上多いということが判明しました。さらに、その南に位置する長浜地区も、約9,000人とかなりの人口を抱えています。末端部の浦戸地区も約900人居住しています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180117010313j:plain(住宅街の発達した高知市南部地域 ※グーグルマップより)

 

「横浜新町」地区は、想定ルートからかなり奥に位置していますが、地形状の問題もあって、高知市中心街などに移動するには、基本的に線路が通るであろう県道まで出てくる必要があること(西側にも県道が後年通っていますが)、電車が通ったら最寄り駅からフィーダーバスの設定が想定されるなどの要因から沿線としてカウントしています。

 

一方、後免線沿線の「介良乙」地区と「高須東町」地区は、合計で8,000人弱の人口を抱えていますが、国道(南国バイパス)より南側であり、地形上からも中心街へアクセスするのに電車沿線まで出てくる必要がないこと、電車とは別に潮見台方面の路線バスも走っていること、特に「介良乙」地区に関しては、広大で電車沿線とは言い難いためカウント外としています。


以上より、「ニュータウン」と呼べる地域の人口は、高知市南部地域は同東部地域を凌駕しています。

 

さらに、そのさらに郊外に位置する地域の人口も、東部地域の「大津乙」(7,800人)よりも南部地域の「長浜」(9,121人)の方が、若干多いことが判明しています。地形および想定ルートからも、必ずしも全域が沿線ではない大津乙地区に対して、長浜地区はほぼ全域が電車沿線になると考えられます。

まとめると、沿線人口からは電車を走らせるに値する需要は十分すぎるくらいあると推定できます。職住分離されたニュータウンの性質上、多くの人は中心市地等へ通勤しています。しかも、低地で地盤も軟弱で津波の浸水や液状化が懸念される高知市東部とは異なり、ニュータウンの多くは強固な地盤で津波が届かない高台に位置しています。電車が通ることによって、さらなる人口増加と利用者の増加が期待できる地域です。

 

高知競馬場へのアクセス需要もなかなかのもの

 

現在、高知競馬場へは高知駅から無料の送迎バスが運行されていますが、本数は競馬場行き往路2便、高知駅行き復路1便と限られており(以前はもっと充実していたようですが…)、路線バスでのアクセスもかなり不便であり、ほとんどはマイカーでのアクセスであると考えらます。

 

桂浜へ電車が通るとなれば、高知競馬場は沿線からは2km以上離れていますが、最寄駅から無料のシャトルバスが運行されることが想定され、公共交通でのアクセスは飛躍的に改善されると考えられます。

 

高知競馬場への入場者数ですが、多い時で1日1,500〜2,500人も入場しています。

 

www.sankei.com

 

ハルウララが話題になっていた時は、5,000人を超える時もあり、武豊騎手が騎乗した時は、約13,000人と入場制限を発動するまでに及んでいます。

 

matome.naver.jp

 

 5,000人越えは特別中の特別にしても、2,000人程度の入場者数でもバカになりません。仮にその半分の1,000人が電車を利用すると仮定すれば、単行の路面電車(定員75人)で13両分、大型LRV(定員150人)で6〜7編成分になります。大型LRVで運行する場合、「高知駅」〜「雪蹊寺(長浜)」間を10分間隔で走らせるとしたら、1時間まるまる競馬場へ行く乗客だけで満員になる計算です。

 

開催日は限られていますが、開催日にはバカにならないほどの需要があると考えられ、また電車が通ることによってマイカー以外でも競馬場へ行きやすくなり、競馬場のさらなる活性化も期待できます。

 

雪蹊寺への参拝需要は未知数だが…

 

電車の想定ルートは、四国八十八ケ所・第三十三番札所である「雪蹊寺(せっけいじ)」のすぐ側を通ることになります。現在の長浜バスターミナルのすぐ近くでもあり、当然そこに駅を設けることになるでしょうから、駅からのアクセスも抜群の立地です。

 

具体的な参拝客数のデータがないため、需要を予測することは困難ですが、公共交通利用でまわっているお遍路さんの需要は確実にあるでしょう。

 

f:id:nomotoyasushi:20180217110859j:plain雪蹊寺 ※Wikipediaより転載)

 

 桂浜への観光客、繁忙期は増結&増発しないと捌けないかも?

 

沿線住民の通勤通学需要と同等に、大きな需要となりうるのが桂浜への観光需要です。ゴールデンウイークやお盆やもちろん、その他の三連休などの繁忙期は、多くの観光客で賑わっており、需要はかなり高いと推測できます。

 

「桂浜公園整備基本計画」(資料編)(PDFファイル)の資料に、駐車場(有料)の利用台数から推定される、桂浜公園の来場者数のデータが掲載されております。

 

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f:id:nomotoyasushi:20180217100232j:plain(「桂浜公園整備基本計画(資料編)」より転載)

 

1年間では、2013年度は約71万人、2014年度は約65万人、2015年度は約66万人で、1日最大(いずれもゴールデンウィーク期間中)では、2013年度は約10,300人、2014年度は約8600人、2015年度は約9,200人となっています。

 

ちなみに、「土佐・龍馬であい博」が開催された2010年度には、年間100万人を達成しています。高知市の計画では、その100万人を目標にすることが謳われています。

 

オフシーズンの平日は、冬の閑散期は1日1,000人以下、その他も1,000人〜2,000人程度で、オフシーズンの土休日は、2,000〜3,000人程度となっています。

 

ゴールデンウイークは先ほど述べたように、ピーク時で1日10,000人にも及び、年末年始、7月の連休、お盆、シルバーウィークなどのシーズン時は、1日4,000〜6,000人程度となっています。

 

ピーク時はかなりの観光客が来ており、これだけの観光客が桂浜へ来ているのは正直驚きです。にも関わらず、現状のアクセス手段はマイカー(レンタカーもかなり多い)中心で、駐車場のキャパ不足や周辺道路の渋滞という問題を抱えています。(だからこそ、ゴールデンウィーク期間中はパークアンドライドを実施していますが)

 

オフシーズン時の土休日は、1日2,000〜3,000人程度ですが、高知駅〜桂浜間を20分間隔で定員150人の大型LRVを走らせた場合、6時間の片側輸送力(2,700人)に匹敵します。

 

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観光客のほとんどは、午前9時から午後3時の間に来ると思われますから(夜にお酒が飲める飲食店ができればその限りではない)、電車延伸によって現状よりも観光客数の底上げがなされ、加えてマイカーでの来場規制(桂浜駐車場の縮小&大幅値上げとパークアンドライドの推進など。渋滞対策や桂浜駐車場の他用途への転用を考えると絶対にすべきです!!)を実施して、現状以上の観光客が電車に乗って桂浜へやって来ると想定した場合、桂浜への観光客だけで満員になる計算です。

 

オフシーズン時の平日は、上図(B)パターンで十分こなせそうですが、オフシーズン時でも土休日は、電車延伸により来場者数が増加すれば(B)パターンでは厳しくなり、大型LRVに単行車を増結した(C)パターンでの運行が求められるようになるかもしれません。

 

お盆、シルバーウィーク、年末年始など4,000人〜6,000人も来る繁忙期は、同じ20分間隔でも(D)パターンの大型LRV重連で運行(6時間片側輸送力5,400人)でないと、捌けないほどの観光客が現状でも来ています。

 

さらに、1日1万人も来るゴールデンウィーク時や桂浜でよさこい祭り他のイベントを開催するならば、(H)パターンの「10分間隔に増発」かつ大型LRV重連で運行(6時間片側輸送力10,800人)が必要になるほどです。それでも、便によっては桂浜発着時点で超満員という状態すら想定され、混雑で沿線住民に迷惑がかかってしまう懸念すらあります。その時は、市内区間高知駅~孕橋)折り返し運用を南部に延長する形で、「雪蹊寺(長浜)」以北は増発の必要がありそうです。

 

沿線人口と桂浜への来場者数を考慮すると、単行の路面電車程度の輸送力ではまるで用事にならないことが容易に想像つきます。利用者の伸び悩みどころか、沿線人口や観光客数の増加によっては輸送力不足になる心配もあるくらいです。

 

「桟橋車庫前」〜「雪蹊寺(長浜)」間は、宇津野トンネル部分や瀬戸西町三丁目以南は、工事費用や用地買収費用削減のため単線で妥協でも大丈夫だろうと思っていましたが、考えを改めて最初から完全に複線で敷設しておかないと将来に禍根を残しそうに思えてくるほどです。

 

もし、桂浜への年間来場者数が100万人どころか150万人まで増加し、その8割が電車利用で来場すると仮定すれば、単純計算で往復で240万人もの利用者が桂浜への観光客だけで見込めます。年間200万人まで増加すれば、年間320万人にもなります。現在のとさでん交通路面電車全体の年間利用者数が約550万人ということを考えると驚異的な数字です。

 

沿線への通勤利用も可能な限り増やす努力を

 

沿線住民が中心市街地等への通勤(通学)する需要だけでなく、他地域から沿線への通勤需要も当然見込めます。沿線には、商業施設、医療・福祉施設、工場などの事業所が多くあり、高知競馬場桂浜水族館、桂浜荘などの桂浜へ通勤している方々もいらっしゃいます。ただ、沿線への通学需要は、沿線に高校がない(既存の桟橋線沿いには複数あります)ため、一部の専門学校に限られます。

 

ただし、どれだけの通勤需要があるかは、各事業所でどれだけの就業者数なのか、個々の従業員がどこから通勤しているのか、電車が通ったらマイカー通勤から切り替える意思があるかどうかなどを、詳細に調べないことには正確な把握は難しいですが、渋滞対策、脱クルマ依存という観点からも可能な限りマイカー通勤を削減し電車通勤に切り替えてもらう施策を打っていくべきでしょう。

 

結論:電車を伸ばす需要は十二分にある!

 

冒頭で述べたように、沿線人口は高知市でも屈指のレベルを誇り、通勤通学客という固定客は十分見込め、それでまず安定収入は確保できます。

 

帯屋町等の繁華街へも直結していますので、土休日や夜間の需要も見込めますし(ただ、もうちょっと帯屋町には頑張ってほしいですが)、高知駅からイオンモール方面へも伸ばせば、さらに多くの需要が見込めます。

 

もちろん、JR高知駅へも直結していますので、JR土讃線、高速バスとも連絡し広域交通とも連携できます。はりまや橋では既存の後免線、伊野線や空港連絡バスとも連絡しており、それらも利用者増につながるでしょう。

 

また、横浜から蒔絵台・高岡方面、桂浜から医療センター・空港方面、桂浜から宇佐・浦ノ内方面などのバス路線開設(復活)も想定され(バス運転手の人手不足問題はさて置いといて)、電車・バスの連携で公共交通全体の利便性向上も大いに期待できます。

 

それらに加えて、桂浜と高知競馬場へのアクセス需要は相当なものです。桂浜の観光客の多さは、調べてみて改めて驚きました。両者とも日や時期によって需要の変動は激しい傾向がありますが、電車が通ることによって全体的な底上げにつながってくると思われます。

 

特に桂浜は、面白くなりそうです。駐車場を減らし芝生広場に転用すれば、曜日市を桂浜で開くことも可能になりますし、桂浜を眺めながらお酒が飲める飲食店ができれば夜も楽しめる場所になります。そして、よさこい祭りをはじめ様々なイベントの開催が可能になります。観光客だけでなく市民も楽しめる場所になり得ます。

 

何度も述べていますが、太平洋や浦戸湾の風景が広がる車窓は素晴らしく、江ノ電のように電車自体も観光資源になります。

 

それらをすべて加味すると、高知駅~桂浜間の南北系統だけで見ても、開業当初から年間1000万人以上に利用される路線になりそうです。繰り返しますが、現在の路面電車全体の利用者数が年間約550万人ということを考えたら、驚異的(!)と言える公共交通の再生につながります。

 

【その3・目的編】へ続く

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その3・目的編】

 

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桂浜へ電車を走らせようプロジェクト

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その1・概要編】

 

前回の記事にて、高知の公共交通インフラを改善、近代化していく上で、第一弾としてとさでん交通桟橋線を桂浜まで南部に延伸していくのがよいと述べました。

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

今回より、数回に分けて桂浜延伸構想について詳細を述べていきます。

 

桂浜延伸は高知県全体にとって夢ある構想です!!

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせる構想は、単に沿線住民にとって便利になる、観光客にとって桂浜へ行きやすくなるのにとどまりません!

 

電車が走ることによって、桂浜の観光地としてのポテンシャルを高め、高知発祥の「よさこい祭り」をさらに発展させることだって可能になります!

 

車窓には浦戸湾や太平洋の素晴らしい風景が広がり、電車自体も湘南の江ノ電にも引けをとらない、魅力ある観光資源になり得ます!

 

桂浜周辺の観光活性化にとどまらず、高知県が観光地としてより選択されるようになり、高知県全域でより盛り上がっていくものと確信しております!

 

沿線住民や沿線に通勤している方々にとっても、マイカーに頼らない選択肢が生まれます!実質の可処分所得につながり、地方都市の暮らしがよりよくなります!

 

桂浜延伸は、高知県全体にとって前向きで夢がある高知がより面白くなる構想です!!

 

桂浜延伸構想あらまし

 

<延伸ルート案>

 

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(延伸ルート・設置駅案)

 

【2018年7月5日修正】

 

・「桟橋車庫前」〜「雪蹊寺(長浜)」は、全線複線に変更
・「雪蹊寺(長浜)」〜「桂浜」は、桂浜駅部分以外は地上敷設に変更

・最大幅は、2600mm→2650mmに変更

 

 

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(運行計画案)

 

まずルート案は、既存のとさでん交通桟橋線「桟橋車庫前」電停より南へ延伸し、「雪蹊寺(長浜)」までは、県道34号線や市道の道路空間の一部を流用します。ここまでは、現在の長浜・桂浜方面の路線バスと同じルートを辿ります。「雪蹊寺(長浜)」までは、本当は全部複線としたいものですが、流用する県道の宇津野トンネル(旧)が古く1車線分しかないこと、「瀬戸西町三丁目」~「雪蹊寺(長浜)」間は、流用する市道が片側1車線で歩道なしと狭いことから、この区間のみ単線としています。

 

【2018年3月28日追記】

 

旧宇津野トンネル部分と「瀬戸西町三丁目」以南は、スペースの問題からやむを得ず単線でと考えていましたが、観光シーズン時やよさこい等のイベント時における桂浜への観光需要は相当多く、桂浜発着を10分間隔に増発した上、市内から「雪蹊寺(長浜)」までの便をその間に走らせ、「雪蹊寺(長浜)」までは、5分間隔にする必要がありそうです。それを踏まえると、中途半端にある単線区間が運行上のネックになります。特にトンネル部分は一旦運行をはじめてしまうと、後で拡幅となると余計に予算と工期がかかってしまいます。ということで、「雪蹊寺(長浜)」以北は完全に複線とするのがよいと考えを改めました。

 

雪蹊寺(長浜)」から南へは、一部で用地買収を伴いながら、主に県道34号線に沿って海岸線まで南下し、そこから東に直角に曲がり、県道14号線(花海道)のすぐ北側に沿って進み、トンネルを抜け、桂浜公園駐車場を流用して設けた「桂浜」へ至る形とします。需要や用地の観点から単線としています。

 

新線部分は、法律上の問題(新線では併用軌道以外では踏切の設置不可)、高速運転の必要性、津波対策などの観点から全線高架で敷設し、最高速度は、線形がよい区間では通常75km/h、回復運転が必要な場合は90km/hを想定しています。

 

【2018年7月5日追記】

 

新鮮部分は全線高架という考えでしたが、「雪蹊寺(長浜)」から「桂浜」までは、単線で本数も少なくなる(日中20分間隔)予定であること、ニュータウンを離れ沿線人口も少なくなること、幹線道路と交差がないこと、花海道の景観上の問題などから、「いくらなんでもこの区間で高架は大げさでは?建設費も嵩むので、地上敷設で十分ではないか」と考えを改めています。踏切を設置することになるので、特認を得る必要はありますが、ごめん・なはり線やJR可部線の実績から決して不可能ではないと考えています。

 

 

<運行種別・運行間隔案>

 

運行種別は、定期運行については「各駅停車」のみとします。快速の必要性はないでしょう。

 

運行間隔は、従来の桟橋線区間をほぼ踏襲する市内区間である「高知駅」〜「孕橋」間は、ラッシュ時3〜5分間隔、日中5分間隔、ニュータウンが広がり利用客が多く見込まれる「孕橋」〜「雪蹊寺(長浜)」間は、ラッシュ時6~7分間隔、日中10分間隔を想定しています。

 

単線区間となる「雪蹊寺(長浜)」~「桂浜」間は、ラッシュ時10~15分間隔、日中20分間隔(他にイベント車両あり、観光シーズン時は増便あり)を想定しています。

 

所要時間は、「はりまや橋」~「桂浜」間で、23~24分を想定しています。その区間の表定速度は約30km/となり、路面区間のスピードアップを伴えば十分可能だと考えられます。現在運行されている路線バスが同区間で標準で30分、最速で27分(実際には数分遅れる)で結んでいますので、それなりにスピードアップし、特に定時性は大幅に向上します。

 

<運行車両案>

 

運行する車両は、下写真のような大型部分低床車(LRV)を、路面区間〜新線区間で運行する主力として投入するのが望ましいと考えています。連結運転にも対応し、多客期に写真のように「LRV重連」や「LRV+単行車(性能を揃えた改造車・後述)」でも、運行できるものとします。(全長30mを超える編成を路面区間で運行するには、軌道法の改正か特認が必要ですが)

 

十分な輸送力(沿線人口、桂浜への観光客数などのデータより従来の単行車レベルだと輸送力不足になる懸念あり)、座席の確保、ロングシート主体にできる構造、通勤通学輸送と観光輸送の両立、高速運転への対応、整備性の良さなどの観点から、リトルダンサーUaグリーンムーバーなどの100%低床車よりも総合的に優れていると筆者は判断しています。

 

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ポートランドMAX・Type2 70%低床車、全長約28m、郊外では最高速度55mile/h(約88km/h)で高速運転を実施。※ウィキペディアより転載)

 

ただ、観光路線でもあるだけに新型LRVに統一では味気ないと思います。車両も観光資源として、鉄道ファンのみならず広く観光客に訴求し、日常の地域輸送もこなせるものとして、他社で走っていた中古車やとさでん交通の在来車を活用し面白い路線にしていきたいものです。

 

まず、バリアフリー以外は新型LRVと同等の輸送力、性能を持ち、新型LRVと同等に、主に「雪蹊寺(長浜)」や「桂浜」発着運用で活用する車両として、今後広島電鉄で引退が予定されている元京都市電1900形を2両固定に改造したものや、元西鉄福岡市内線で走っていた筑豊電鉄2000形(3両連接車)あたりを、足回りを新品に総取替えして(軌間の問題以前に、定期運行するなら新線区間で吊り掛け駆動の騒音を撒き散らすのはマズイですし、LRVと性能を合わせた方がダイヤ上都合がいい。それに、鉄道ファン以外は足回りが新しくなってても特に気にしない)、ラッシュ時の他に、日中にも観光資源として桂浜発着のうち1運用に投入したらと思っています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180129150157j:plain(元京都市電の広島電鉄1900形 2両固定編成にすれば前述の大型部分低床車と同等の定員を確保でき幅も広くゆとりも十分。立派な観光資源になりうる。※ウィキペディアより転載)

 

f:id:nomotoyasushi:20180129155103j:plain筑豊電鉄2000形 元は西日本鉄道福岡市内線で走っていた。現在は現役1編成、休車1編成の計2編成が残るのみ。※ウィキペディアより転載)

 

そして、まさに路面電車チンチン電車の風情を伝える旧型の単行車も、日中の市内区間高知駅~孕橋)折り返し運用を基本とし、早朝深夜時間帯やラッシュ時には孕橋以南にも乗り入れ、観光シーズン時など多客時に新型LRVに増結も可能な車両として活用したいものです。

 

筆者の考えでは、高知生え抜きの600形(状態の良い後期型が対象)、1000形、2000形や元名鉄の590形、広島電鉄で引退が予定されている同じく元京都市電1900形(こちらは単行のままで運行)や元大阪市電900形などが候補です。同じく、定期運行を前提としているため足回りは新品に総取替えが必須になるでしょう。

 

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(引退しつつある元大阪市電の広島電鉄900形 色々集めて定期運行すればそれも観光資源になりうる ※ウイキペディアより転載)

 

最後に、元々イベント車両である7形維新号や外国電車、そしてレトロな内装を持つ200形原型車なども、臨時、団体、貸切で走らせ、観光資源として是非とも活用したいものです。これらは、足回りを含めたレトロ電車ということで、ATS設置など最小限の改造にとどめ走行機器はそのままの方が趣が出ます。他には、車内で宴会ができる「おきゃく電車」や「トロッコ電車」も桂浜へ走らせたら最高ですね!

 

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(金太郎塗装のとさでん交通200形207号 臨時・団体で桂浜まで走らせよう! デンテツターミナルビル前電停 2017年1月2日撮影)

 

<運賃収受方法案その他>

 

車両構造やホーム構造面で、運賃収受方法の問題が出てきます。従来のワンマン運転を行うのは不可能になってしまいます。かといって、今さら全便に車掌を乗せるわけにもいきません。

 

これに関しては、南北系統で先陣を切る形で、海外のLRTでは広く導入されている信用乗車方式(駅・電停で精算。主要駅では自動改札を導入)に移行するしかないでしょう。運転士の負担軽減、乗降時間短縮の面からもそうすべきです。昔と違ってICカードが普及していますし、スマホを活用することもできます。デジタル化が進み監視カメラも低コストで設置しやすくなっているなど、不正乗車を最小限に抑えることは可能だと考えています。

 

路線バスとの連携も重視します。「横浜ニュータウン口」、「雪蹊寺(長浜)」、「桂浜」などでは、路線バスとの接続を考慮しています。電車とバスが連携することによって、公共交通ネットワークがさらに便利になることが期待できます。

 

桂浜延伸は、最近までほとんど関心持たず…

 

実のところ筆者も、つい最近(2017年夏ごろ)まで、桟橋線の南部延伸、特に桂浜までの延伸については、全くと言っていいほど考えていませんでした。

 

ごめん・なはり線への直通運転を軸とした東西系統のインフラ近代化の方を重要視していましたし、桟橋線の延伸に関しても、実際に行政の中でも議論されたように、高知駅からイオンモール方面への北部延伸の方に関心がありました。

 

南部延伸については、以下に述べている程度の認識でした。

 

「南部にも住宅地が発達しているし、長浜のバスターミナル(高知南郵便局前)までは、余力があるなら伸ばしてもいいのではないか。県道は4車線あるので半分潰して専用軌道で敷設けば低コストで出来るだろうし、車両も東西系統の改良に伴い追い出された旧型車両を再就職させれば安上がりにすむ」

 

「他の部分の改良のついでに、伸ばす余力があれば伸ばしてもいいんじゃないか?」くらいにしか考えていませんでした。それゆえ、地上で敷設(後ほど法律上無理だと判明)、在来車両を活用と、相当なケチケチ発想でした。「車両を再就職」とはいいように聞こえますが、露骨には「掃き溜め」ですね…。

 

そこから先、桂浜までの延伸は全くと言っていいほど、考えていませんでした。

 

「(桟橋線も)桂浜まで伸ばしたらいいのにね」と言う意見を聞いても、「長浜から先は道路が狭すぎる上に入り組んでおり、道路空間を流用して敷設する場所もないし、道路とは独立して敷設するにも、住宅が建てこんでいるか山かどっちかで、建設費用が莫大にかかって非現実的」と、消極的に捉えているくらいでした。

 

下の図をご覧のとおり、現在の路線バスが通るルートに則って線路を敷設しようと思っても、「どうやって通すんだよ…」って感じです。

 

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(グーグルマップより加工)

 

地形は複雑で住宅地も広がっています。住宅を盛大に立ち退かすか、トンネルを掘りまくるしか方法はありません。

 

よって、「長浜までは伸ばせたとしても、そこから桂浜まではバス連絡だな。需要からしてもそれで十分だろう」という認識でした。

 

加えて、「桂浜にほとんど関心がなかった」というのも延伸を考えてなかった要因です。

 

2016年夏に久しぶりに行ったのですが、その前に行ったのは確か2005年頃だったかな。地元住民は、地元の観光地にはなかなか行かないものですね。松山在住の方だって、「道後温泉松山城には10年以上行ったことない」って言ってました。まあ、そんなものでしょう(笑)

 

正直に言いますが、桂浜を「俗化された寂れた観光地」くらいにしか思っていませんでした。電車を伸ばす価値があるとは微塵も思ってなかったです。

 

「地形上線路を通すのは困難という認識」「桂浜へ通したところで需要はないという思い込み」の二点もあって、つい最近まで「桂浜まで電車を伸ばそう!」とは考えていませでした。

 

桂浜のポテンシャルに改めて気づかされる

 

2016年には1回、2017年には4~5回にわたって桂浜へ行ってみて、そのポテンシャルを改めて認識するに至りました。

 

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(2017年10月8日)

 

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(2017年7月16日)

 

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(龍馬像 2017年10月8日)

 

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(年越しイベント時 2017年12月31日)

 

改めて行ってみて思いました。素直に「素晴らしいところ」だということを。

 

景色はメチャクチャえい!浜も海も綺麗!すっきりと晴れた日は最高です。(ただし、東側に目を向けるとテトラポッドが…)

 

実際、観光客の多くも桂浜を高く評価しています。半数がリピーターとはこれまた驚きです。

 

 

7月の3連休中に行ってみて、多くの観光客で賑わっている桂浜を見て、「寂れた観光地」という認識は完全に吹っ飛びました。

 

景色の良さと対照に(?)、土産物屋や飲食店は昭和の面影残るオンボロ店舗のままで、「魅力がある」とはお世辞にも言えない(あれじゃ観光客お金落とさないよ…)ですが、その辺はリニューアルすればなんとでもなります。また今度、記事にします。

 

この時点で、「これだけ多くの観光客が来てるのなら、絶対に桂浜まで電車を伸ばした方がいい!長浜で延伸をやめてしまうのはむしろモッタイナイ!電車が伸びれば、より魅力ある観光地になる!」と考えを改めるに至りました。

 

連休になると周辺道路は大渋滞し、駐車場になかなか入れないという事態も起こっています。酷い場合は、駐車場に入るまでに1時間かかることもあるそうです。せっかく遠くから観光へ来て駐車場に停めるまでに1時間もロスとは、なんという損失…。

 

その対策として、ゴールデンウイーク中には、高知競馬場からパークアンドライドを実施しているほどです。

 

3710920269.hatenablog.jp

 

kihtorun.blog130.fc2.com

 

まっこと上手いパークアンドライド

 

観光客に多くのお金を落としてもらうには、滞在時間は伸びた方が望ましいです。しかし、アクセスをマイカー(レンタカー)に頼っていれば、観光客が来れば来るほど、滞在時間が伸びれば伸びるほど、渋滞や駐車場のキャパシティに悩まされるというジレンマに直面してしまいます。

 

電車であれば、そのジレンマは一気に解消します。マイカー(レンタカー)以外の観光客にとっても格段にアクセスしやすくなります。それに「渋滞解消および観光交通における脱マイカー」という観点からも、観光交通をマイカーから公共交通へ転換を促していくべきでしょう。

 

「マイカーで高知へ来た観光客も、高知市内や周辺の観光はクルマを置いて公共交通で回ってね」ってことで。

 

花海道沿いであれば難なく通せる!しかも、車窓は超絶景!!

 

同じ頃、長浜から桂浜へのルートについても、バイクで桂浜西側の海岸線を通る県道14号線(花海道)を走っているとき、ふと思いつきました。

 

「”花海道”沿いだったら難なく線路通せる!そっちの方が、車窓も素晴らしく、より観光客を惹きつける路線になる!」

 

冒頭のルート案のように、長浜バスターミナル(図では「雪蹊寺(長浜)」と表記)から、そのまま南下し、県道34号線に出て沿いながらさらに南下、海岸線に突き当るところで東に直角に曲がって、桂浜の直前まで県道14号線(花海道)の北側に沿って通せば、立ち退きは最小限で抑えられ、トンネル掘削も桂浜付近の1本のみで済ますことができます。

 

花海道に沿って開ける太平洋の大海原の景色は素晴らしく、まさしく”絶景!”です。ドライブやツーリングの定番コースとしてすっかり定着しています。筆者も大好きなコースです。ここを走るのは本当気持ちがいいものです。

 

www.shikoku.gr.jp

 

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(桂浜へ至る道路より甲殿・宇佐方面を望む 2017年7月21日)

 

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(開放的な花海道 2017年7月28日)

 

もちろん電車を通せば、電車の車窓からも絶景が広がります。高架(開放的な花海道の景観への影響を少なくする配慮は必要です)で通すことになるので、道路よりも一段眺望はよくなります。はりまや橋から走ってきてカーブを曲がったら車窓一面に広がる太平洋!!素晴らしいではないですか!!

 

【2018年7月5日追記】

 

前述の通り、花海道沿いは道路の北側に沿って地上敷設という考えに改めました。ちょうど、江ノ電の鎌倉高校前付近のような感じです。地上ではありますが、江ノ電と同じように眺望は十分確保できるでしょう。

 

 

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(電車の車窓にはこんな景色が広がるだろう 2017年7月28日)

 

しかも、太平洋の大海原だけでなく、「安ヶ谷」付近では、風光明媚な浦戸湾の風景も車窓に広がります。中心街から桂浜へ向かう場合、トンネルを抜けた途端、浦戸湾が車窓一面に広がります。観光客の歓声が上がる瞬間になるでしょう。

 

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(車窓からは浦戸湾も 2017年10月8日)

 

江ノ電のような人気路線になること間違いなしでしょう。電車そのものも強力な観光資源になります。

 

このように花海道沿いに通せば、前述の問題点を解消できるばかりでなく、車窓から眺める風景も格段によくなって一石二鳥です。今まで考えつかなかったのが不思議なくらいです。

 

桂浜や花海道で「よさこい」が踊れる!

 

ある時、雄大な大海原広がる桂浜を見て、ふと思いつきました。

 

「電車を桂浜まで伸ばしたら桂浜を”よさこい祭り”の会場に出来る!」

 

f:id:nomotoyasushi:20180128161046j:plainhttp://www.plamrec.com/shityou17.htmより引用)

 

高知市を代表する名所桂浜は、よさこい節にも出てきます。ここをよさこい祭りの会場にしないのはモッタイナイ!と思ってます。

 

しかし実際は、現状の交通体系で桂浜を会場にしようにも困難です。

 

多くの会場が集まる中心街から10km以上離れている上、道路事情が良いと言い難い中で、実施しようとするならば、それこそ中心街から桂浜まで徹底した交通規制を強いた上で、5分ごとに(それ以上に?)シャトルバスを走らせるくらいでないと、踊り子や観客の往来を捌けないでしょう。窮屈で揺れるバスを敬遠して、期待したほど桂浜に観客が来ないという事態も想定されます。それ以前の問題として、それだけのシャトルバスを走らせる運転手や車両を確保するのは極めて困難です。

 

これも桂浜へ電車を通せば一挙に解決します。踊り子や観客を、大量かつ的確に中心街と桂浜の間を往復させることができるようになります。

 

路面電車1両であっても、バスよりは多くの人数を運べますし、それを繋げて2両、3両と編成を組んだり、広島電鉄グリーンムーバーや北米のライトレールような編成長の長い低床車(LRV)を運行すれば、バスとは桁違いの輸送力を確保できます。10分に1本程度のダイヤでも余裕でしょう。車両案については、後ほどの【その6・車両編】で詳しく述べます。

 

その輸送力をもってすれば、よさこい祭りだけでなく、様々なイベントが桂浜で開催できるようになります。毎年3月に開催される「土佐のおきゃく」でも桂浜を中心市街地の分身のような扱いで色々できるようになるでしょう。

 

桂浜の可能性は大きく広がります。さらに”よさこい祭り”についても、桂浜だけでなく「浦戸の漁村」や 「花海道」も会場にできますぞ!

 

f:id:nomotoyasushi:20180407005309j:plain(花海道でもよさこい踊りましょう! 2017年7月21日)

 

よさこい祭り開催の件は、電車を延伸することによって生じる副産物ではありますが、延伸構想の支持を得る上では極めて強力なネタだと思っています。何しろ、よさこい祭りの経済効果は100億円近くあるのですから。

 

  

富山ライトレールや今後着工される宇都宮と並ぶ本格的なLRTに!

 

桂浜観光に関することを中心に述べましたが、延伸を提案している最大の理由は、最初に長浜までの延伸で考えていたとおり、あくまでも住宅地が発達している高知市南部地域の公共交通利便性向上、それによるクルマ利用の削減(クルマ依存軽減)、そして災害に強い地域への住宅等の移転促進です。

 

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(住宅地が発達している高知市横浜・瀬戸地区)

 

これだけ住宅地が発達していながらも、これまで軌道系交通は敷かれず、公共交通は路線バスに頼ってきました。しかし、その路線バスもあまり使い勝手がいいとは言えず(本数はともかく運賃高すぎる…)、住民はマイカーに依存している傾向が強いです。

 

たびたび書いていますが、地方都市だからと言ってクルマ依存をいつまでも続けていくのはもうお終いにすべきです。「高価なマイカーなんて持たなくても全く困らない」のが理想です。

 

まずは、高知市南部地域の公共交通を快適にし、カーシェアリングを導入して、マイカー所有脱却を実現できる地域の第一弾にしようではないですか!

 

そして、横浜地区や瀬戸地区を中心に、幸いに津波の届かない高台の住宅地が多く、将来的に発展を見込まれる地域でもあります。災害対策としても公共交通整備は意義があります。

 

筆者はあくまでも単に「電車」と表現していますが、設備的には本格的なLRT(ライトレール)です。富山ライトレールや建設が決定しいよいよ着工というところまで来た宇都宮と並ぶLRTになります。

 

市街地は路面電車として走り、郊外はニュータウン鉄道として高架橋やトンネルを駆け抜け、車窓からは風光明媚な浦戸湾や太平洋が広がり、時には漁港の風景も垣間見える、地域輸送と観光輸送を一手に引き受けるLRT路線。なかなか楽しいものになりそうです。

 

【その2・需要予測編】へ続く

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その2・需要予測編】

 

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