地方の公共交通を立て直す!@高知家

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その4・地上設備編】

 

【その3・目的編】では、目的や目指すものについて整理しましたが、【その4】ではいよいよ地上設備を具体的にどのようにするのがよいかを解説していきます。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その3・目的編】

 

以下の地図をもとに話を進めていきます。【その1・概要編】で掲載した地図とは、予想される需要や運行上の問題により複線区間等を修正しています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180403225348j:plain

 

 ルート案概略

 

ルート案、駅・停留場設置案は上の地図の通りです。

 

太平洋沿いまでの多くの区間は、はりまや橋から海岸線まで伸びる県道34号線と同じルートを辿るかたちとなります。

 

太平洋沿いの部分は、県道14号線(通称「花海道」)のすぐ北側に沿って敷設し、桂浜付近はトンネルで抜けて桂浜駐車場に設けた「桂浜」駅で終点となります。

 

駅・停留場の設置場所案は、現在のバス停の位置、駅間距離、全体的な利便性等を考慮しています。

 

沿線に新興住宅地が広がっていおり、運行本数も多くなるであろう「雪蹊寺(長浜)」までは複線としています。現在も長浜バスターミナルがあり、多くの路線バスの発着点でもあります。

 

県道34号線は、「桟橋車庫前」から「瀬戸西町三丁目」を設ける予定のサニーマートあたりまでは、すでに旧宇津野トンネル部分を除いて四車線(片側二車線)に拡幅されています。その半分を流用して敷設すれば、新たな用地買収はほぼほぼ不要で、建設コストを削減可能です。車線が減ることによる渋滞の懸念等については後述します。

 

f:id:nomotoyasushi:20180405142524j:plain(県道34号線・西灘バス停付近 2017年7月28日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180406081712j:plain(県道34号線 一部区間には急カーブが生じる 2017年7月28日)

 

東側にある古い方の宇津野トンネル(南行き一方通行)を流用し、「瀬戸西町三丁目」以南は、東側の旧道に沿って敷設する関係上、四車線道路のうち東側半分を流用する形になるでしょう。

 

サニーマート付近では、現県道と旧道が分かれ、それぞれ二車線(片側一車線)になりますが、新線は東側の旧道に沿って通すのがよいと考えています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180405144212j:plain(旧道と現県道が分かれる三叉路 2017年7月28日)

 

その理由は、現在の路線バスが旧道経由というだけでなく、現県道34号線の方に通そうとすれば、「三叉路を過ぎてすぐに急勾配が生じる」、「そもそも敷設スペース確保が困難」、「御畳瀬(みませ)集落から遠くなりすぎる」という問題があります。特に、敷設スペースが問題で、仮に単線にしたとしても、主要道路なのでまさか二車線のうち半分を潰して片側一方通行とするわけにはいきません。

 

一方、旧道の方は狭いですが、敷設にあたって車線を半分潰して片側一方通行にしても、前述の県道34号線が平行しているため大きな問題はないかと思われます。むしろ歩道がなく危険なため、積極的に一方通行化して歩道を設置した方がいいくらいです。

 

f:id:nomotoyasushi:20180405145933j:plain(長浜バスターミナル付近の旧道 道幅は狭く歩道もない 2017年7月28日)

 

新線についても最初の考えでは、本当は拠点駅となる「雪蹊寺(長浜)」までは複線としたいものの、「瀬戸西町三丁目」以南は、用地買収を最小限に抑える観点から、妥協して単線で敷設と考えていました。二車線道路を鉄道と道路で半分ずつ分け合う形です。

 

しかし、後述の宇津野トンネル部分と同様に、桂浜への多客が予想される時期は、増発が必要になります。「雪蹊寺(長浜)」までにある、中途半端な単線区間が運行上のネックになるという指摘を知り合いから受けました。特に遅延回復に対して脆弱になってしまいます。

 

そのため現在では、旧道部分や宇津野トンネル部分も含めて、「桟橋車庫前」から「雪蹊寺(長浜)」まで、完全に複線で敷設と考えを改めています。

 

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雪蹊寺付近の敷設ルート案)

 

なお、三叉路付近の「瀬戸西町三丁目」までで複線区間を打ち切って、そこを本数が変わる拠点駅とする妥協案も考えられますが、やはり「雪蹊寺(長浜)」の場所が、現在のバス路線では拠点ターミナルになっていること、その付近までニュータウンが発達しており、また長浜地区の中心地でもあること、御畳瀬(みませ)地区の入り口であることを考えたら、「雪蹊寺(長浜)」まで、利便性の高い本数を確保(日中は10分に1本)するため、建設費が増加するものの複線で敷設した方がよいと考えています。

 

雪蹊寺(長浜)」までの旧道に沿う部分ですが、幸いにも駐車場や空き地が多く、建物も住宅やマンションというよりは、倉庫等が多く、立ち退きは大幅に困難ではないと考えられます。現状の二車線道路部分と合わせて、道路一車線(+歩道確保)と鉄道複線分確保する形に再編します。

 

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(旧道沿いは駐車場、空き地、倉庫等が多い)

 

 「雪蹊寺(長浜)」以南は、沿線人口も少なくなり運行本数も減らす前提のため(日中は通常時は20分間隔を想定)単線で十分と考えています。

 

問題は、「雪蹊寺(長浜)」を過ぎてから県道34号線沿いに復帰するまでの間、住宅地を貫く形になり、かなりの立ち退きが生じてしまうことです。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406080926j:plain(「雪蹊寺(長浜)」~南海中学校付近のルート案 立ち退きが生じてしまう)

 

一応、平行させうる道路はありますが、中央線を描けないほど狭く、両側に住宅が建て込んでおり結局立ち退きが必要で、橋付近がかなりの急カーブになるため速度が出せない等の問題があります。

 

県道34号線沿いに復帰後は、県道の東側に沿った形で海岸線まで南下します。ここも幾分は立ち退きが生じます。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406230745j:plain(県道34号線・鎮守の森公園付近 道幅に余裕はある 2017年7月28日)

 

海岸線に突き当たる愛宕病院分院付近で、東に直角に方向を変え、今度は県道14号線(花海道)に沿って進みます。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406204453j:plain愛宕病院分院付近 この付近で直角に方向を変える 2017年7月28日)

 

問題は、現在の花海道は弄らず、北側に沿う松林や墓地などがある部分に敷設するか、歩道も両側にあり停車帯もあるなど幅員に余裕のある花海道を狭めて用地買収を最小限にして敷設するかどうかです。

 

前者は、花海道の開放的な景観への影響は最小限で済みますが、用地買収費はどうしても嵩んでしまいますし、松林を伐採してしまうため環境面でも問題が出てきます。後者は、用地買収費は最小限ですが、狭くなった道路のすぐ脇に高架橋ができるため、景観面で圧迫感が出てしまいます。議論の余地があります。

 

電車延伸後に、新たに花海道を「よさこい祭り」の会場とするなら、概ね前者の方が良いとは思いますが、地点によってケースバイケースでしょう。

 

【2018年6月23日追記】

 

新線部分は法律上の問題もあり、全線高架という考えでしたが、現在では単線となる「雪蹊寺(長浜)」以南は、桂浜駅部分はを除いて、踏切設置の問題はありますが、建設費削減、景観上の配慮から地上敷設で十分と考えに改めました。

 

地上敷設の場合は、花海道の停車帯を削ったり歩道を少し狭めて単線分のスペースを捻出しても景観上の問題は出ず、用地買収はほとんど生じないと考えています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406082430j:plain(県道14号線・花海道 幅員に余裕はある 2017年7月28日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180406201933j:plain(車線と歩道の間にもスペースがあり単線分の捻出は容易だが 2017年7月28日)

 

桂浜へ至る直前は、浦戸小学校のすぐ南側からトンネルを掘り、龍馬記念館や桂浜荘の真下付近を抜け、最後は現在の桂浜駐車場に高架で設けた「桂浜駅」へ至ります。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406203547j:plain(桂浜近辺のルート案)

 

新線区間は全線高架による敷設一択!【追記により一部修正】

 

どのような形で敷設するかの問題ですが、新線部分は「高架橋による敷設」しか事実上選択肢はありません。専用軌道で敷設するなら法律上、踏切は余程の例外でもない限り設置できないので、住宅街を貫く県道34号線の半分を流用して地上に鉄道線として建設することは不可能です。なお、地下での敷設は論外です。

 

海岸線の花海道沿いは、住宅が建て込んでおらず、コスト面を考えると地上敷設でもよさそうなものですが、交差する道路が多い上、花海道に踏切待ちの滞留スペースが十分にとれないなどの問題があり、地上で踏切設置の許可が降りるのはかなり困難だと思われます。それに高架橋の方が、津波避難施設としても機能でき防災対策を兼ねることができるため、やはり高架での敷設がベストです。

 

【2018年6月23日追記】「雪蹊寺(長浜)」以南は地上敷設で十分!

 

ニュータウンが発達し複線による敷設を考えている「雪蹊寺(長浜)」以北は、高架による敷設しか考えられませんが、「雪蹊寺(長浜)」以南は、一気にローカルな雰囲気になり、単線による敷設で運行本数も減る想定(日中20分間隔)であり、予定ルートでは主要道路と交差もしないので、全部高架で敷設するのはいくらなんでもバカバカしいと思うようになりました。

 

地上敷設であれば、当然ながら建設費は大幅に縮減できますし、花海道の開放的な景観が犠牲になることもありません。さらに、地上区間があることで、より親しみが持てる電車になります。防災施設としての機能はなくなりますが、幸いすぐ北側に高台がありますし、愛宕病院分院など避難可能な施設も沿線にあります。

 

雪蹊寺(長浜)」を過ぎて川を渡ったら、最後の桂浜駅を除いて地上敷設で問題ないと現在は考えています。

 

最大の問題は、やはり国土交通省の特認を得ることです。極めて大きな壁になるでしょうが、JR可部線では復活区間で踏切が認められており、ごめん・なはり線も新線ながら踏切が存在しいることを考慮すれば、不可能ではないと考えています。大体、都市部でも田舎でもぞれぞれの地域事情を考慮せずに踏切一切ダメという法律の方がバカげています。アメリカの新設LRTなんか郊外区間でも普通に踏切ありますぜ。

 

一応、地上で敷設可能な裏技(?)はあります。「桟橋車庫前」の交差点から「瀬戸西町三丁目」付近までなら、路面電車として併用軌道として敷設するなら地上でもできないことはありません。実際に、富山ライトレールでは新規の路面区間が登場していますし、宇都宮のLRTでもかなりの部分が路面電車として計画されています。建設コストは確かに安くなるでしょう。

 

しかし今度は、速度が低く制限される上、交通信号にも影響されるため所要時間がかなり伸びてしまいます。桂浜までの距離を考えたらこれでは話になりません。高知駅から桟橋車庫前までの約3kmを、すでに15分近く路面電車として走っていることを考えたら、それより先は広島電鉄宮島線のように速度を出せる鉄道線として通すのがベストです。現行のバスより時間短縮できることは、この構想の要でもあります。

 

先ほども述べたように、「瀬戸西町三丁目」付近(旧道とバイパスが別れる三叉路があるところ)まで県道は旧宇津野トンネル部分を除いて四車線に拡幅されています。その半分を流用し高架で敷設することになるかと考えられます。二本ある宇津野トンネルは狭い東側の旧トンネルを流用する形になるため、東側の南行き二車線を潰して敷設となります。

 

道路が削られ対面通行の二車線になってしまうため、渋滞の悪化が懸念されるかもしれませんが、そこはいかにクルマ(マイカー)から鉄道へ、通勤通学、通院、観光、買い物等の交通需要をシフトできるかにかっています。場合によっては、郵便や宅配便などの荷物輸送も考えられます。そもそも、道路一車線と線路一本では、線路の方が桁違いに高い輸送力を持っています。

 

さらに言えば、県道34号線の西側にも高知競馬場の側を通り海岸線まで抜ける平行道路も出来ていますので、車線を減らすことに大きな問題はないと考えています。そもそも前提として、マイカーを減らすことも目的とした公共交通整備であるため、車線を削ってしかるべきです。

 

このように全線高架にせざるを得ず、建設コストはかかりますが、ほぼ全線高架のごめん・なはり線でも意外なほど建設費は安く済んでおり、決して非現実的な金額にはならないと考えられます。

 

ごめん・なはり線同様に高架だからこそ、地上の道路からは見えなかった浦戸湾や漁港の風景が車窓に広がるようになりますし、花海道沿いからの太平洋の眺望もより素晴らしくなります。

 

【2018年6月23日追記】

 

花海道沿いの区間は、江ノ電の鎌倉高校前付近と同じ感じになり地上敷設であっても十分に眺望は素晴らしいです。むしろ地上の方が、花海道の歩道に植えられている色とりどりの花も見れてより車窓が楽しくなるでしょう。江ノ電同様に親しみのもてる電車になります。

 

流用予定の旧宇津野トンネルは複線分に拡幅が必要

 

先ほど述べたように、現在の路線バスでも運行上の拠点でありニュータウンの発達して輸送量が多いと思われる、中心街から「雪蹊寺(長浜)」までは、複線で敷設と考えていますが、流用予定の古い方の宇津野トンネルが最もネックになってきます。

 

昭和26年(1951年)に完成したこのトンネルは狭く、現在も県道の南行きはトンネル部分だけは一車線のままとなっています。一応、拡幅等改良の計画はあるそうです。

 

www.kentsu.co.jp

 

f:id:nomotoyasushi:20180406210256j:plain(旧宇津野トンネル入口[はりまや橋側] 2017年7月28日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180406210410j:plain(旧宇津野トンネル内部 2017年7月28日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180406210714j:plain(新宇津野トンネル入口[横浜側] 片側二車線確保されている 2017年10月10日)

 

トンネル拡幅は大変だろうし、日中10分間隔、ラッシュ時6~7分間隔程度なら、単線区間を1分程度で走り抜けられるだろうから、理論上は問題なく、この箇所は単線で妥協でも仕方ないと思っていました。同様に、道が狭い「瀬戸西町三丁目」~「雪蹊寺(長浜)」間も建設費縮減のために、単線で妥協するという考えでした。

 

しかし、【その2・需要予測編】を書くにあたって、桂浜の来場者数のデータを調べてみたら、ゴールデンウイークなどのピーク時は、桂浜発着を10分間隔にしても、桂浜への観光客だけで中心街~桂浜間が満員になる可能性が高いことが判明しました。その場合、沿線住民に迷惑がかからないよう臨時で増発し、中心街から「雪蹊寺(長浜)」まで5分間隔での運行が必要になりそうです。よさこい祭り他のイベントを桂浜等でも開催する場合も同様です。

 

そうすると、トンネル部分や「瀬戸西町三丁目」~「雪蹊寺(長浜)」間にある単線区間がネックとなってきます。多客で遅れも予想されるので、一列車が遅れてしまうとなかなかダイヤが回復しません。単線では明らかにまずいです。

 

最初は単線で妥協して、運行してみてやはり複線に変更したいとなった場合、トンネル拡幅工事は運行しながらになるので、余計に工期と費用が嵩んでしまいます。

 

ということで、旧宇津野トンネルは鉄道敷設にあたって複線分(+歩道)に拡幅が必要になりそうです。

 

高架区間は「桟橋通四丁目」から

 

先ほど、新線区間は全線高架一択(前述したように単線区間は地上敷設という考えに改めています)しかないと述べましたが、その高架区間が始まる場所が問題になります。

 

順当に考えれば、既存の桟橋線に「桟橋車庫前」から接続(既存の「桟橋車庫前」~「桟橋通五丁目」は廃止になるだろう)するので、「桟橋車庫前」の交差点を過ぎてから高架に上げることになります。

 

しかしこの交差点、極めてやっかいな交差点です。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406221940j:plain(「桟橋車庫前」交差点 2017年7月25日)

 

グーグルの航空写真を見れば一目瞭然です。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406222226j:plain

 

変則五叉路というかなりの変態(!)交差点であります。そのためか、結構信号待ちが長いように思います。

 

ここを路面で通してしまうと、優先信号を導入したとしても電車も信号待ちの時間が長くなるばかりか、クルマとの接触事故が多発する懸念があります。

 

明らかにこの交差点は、高架でパスした方がよさそうです。一つ「はりまや橋」方の「桟橋通四丁目」を過ぎてから高架にするのがよいでしょう。

 

だが、またもや問題があります。今度は、桟橋車庫への出入りをどうするかという問題が出てきます。引き込み線のところまで路面のままだと、距離的に「桟橋車庫前」や交差点部分を高架にするのは不可能ですし、「桟橋通四丁目」(交差点過ぎた側に南行きホームを設置)過ぎた直後に高架へ上がり始めた場合、今度は引込み線が設置できません。いずれにしても問題です。

 

それとも、桟橋車庫を完全廃止して移転する? この構想では、災害対策と大型LRV対応の側面から一部車庫機能を瀬戸に移転することは考えていますが、すべてを一度に移転するまでの財源確保は困難なので、ここではそれはない前提としておきます。

 

解決策は、下図のように高架への接続部付近から別途地上で車庫への引込み線を設置する方法が考えられます。緑が地上区間で赤が高架区間です。

 

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一部区間で、3線となりますが、桟橋通りの幅員は広く歩道の幅も余裕があります。一部歩道を狭くするなどすれば、3m程度の軌道敷部分のスペースは捻出はできるでしょう。

 

【その5・〔続〕地上設備編】へ続く

 

地上設備についてもう少し書きたいことはありますが、長くなったためもう一記事、地上設備編となります。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その5・〔続〕地上設備編】

 

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桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その3・目的編】

 

【その2・需要予測編】から続きます。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その2・需要予測編】

 

【その3】こそ地上設備案について書こうと思っていましたが、改めて桂浜へ電車を走らせる目的は何なのか、何を目指しているのかということを具体的に書こうと思います。

 

[目的1] 脱クルマ社会へ向けた公共交通整備の第一弾!

 

これが最大の目的です。

 

少子高齢化、人口減少が続き70万人を切ろうとしている高知県。一極集中の高知市も近年は減少に転じています。このままでは、高知県は縮小および衰退の一途を辿っていくことが容易に予想できます。

 

近年、地域再生、地方創生と叫ばれていますが、現実には歯止めはかかっていません。地方が衰退、疲弊しているのには様々な要因がありますが、行き過ぎたクルマ依存社会というのも間違いなくその一因でしょう。

 

クルマしか選択肢がない状態って、高額な家計負担を強いられる上に、言うほど便利でも快適でもないのですよね。交通手段としても都市構造としてもクルマ社会は効率が悪すぎ、ビジネス面でも不利です。

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

現在の高知の公共交通は、路面電車が便利などいい面もありますが、全体的には路線バスの水準が低すぎて、かなり不便です。高知市内であってもクルマに依存せざるを得なくなっています。このまま使えない公共交通を放置し続けたら高知は衰退の一途を辿ると確信しています。

 

人口減少を食い止め、むしろ移住者や仕事を増やし回復に持っていくためにも、地方都市をより住みやすく魅力のあるものにしていかなければなりません。それには、便利で快適な公共交通をきちんと整備してマイカーを持たない選択肢を作っていくことが求められます。基幹交通はバスでごまかすのではなく、快適性が高く安定輸送が可能な軌道系交通の整備が必要です。

 

mobility.blog.jp

 

だけど、高知市都市圏で一度には整備できません。第一弾として、かなりの人口集積がありながらも公共交通が貧弱な高知市南部地域から、後述の観光輸送改善も合わせて公共交通の利便性向上を図ってはと考えています。

 

クルマに依存しない地方都市を高知市南部エリアから目指していきましょう!

 

[目的2]桂浜へのアクセス手段改善による渋滞対策と閑散期の底上げ

 

観光シーズンになると驚くほどの観光客が桂浜へ来ていますが、駐車場のキャパシティの問題、周辺道路の構造もあって、かなり渋滞します。酷い場合は、駐車場に入るのに1時間以上かかってしまうこともあるようです。

 

f:id:nomotoyasushi:20180403112529j:plain(My遊バス車内より撮影 2017年7月16日)

 

しかし、駐車場は広いとは言えず拡張も困難です。周辺道路もこれ以上改良のしようがありません。

 

f:id:nomotoyasushi:20180403112447j:plain(2017年10月8日)

 

せっかく遠くから高知へ観光に来たのに、渋滞でマイカーの中で1時間つぶれるのは勿体ないですよね。その分滞在時間減らしたり、回れる箇所が減るので高知県全体にとっても機会損失でもありますし、イメージダウンに繋がってしまいます。

 

これだけ見ても、電車を伸ばした方が絶対いいです。それに決して広くない土地のかなりの部分を駐車場に割かれているのは極めてもったいないことです。桂浜へは、途中でパークアンドライドしてもらって、なるべく電車やバスで来てもらうようにして、乗用車用駐車場は削減&大幅値上げが良いと考えています。

 

観光においても、マイカーを制限するところはしっかり制限して、クルマに依存し過ぎは是正するのが望ましいです。

 

一方、冬の平日など閑散期になると、うってかわってガラガラで寂れた観光地の風情です。実のところ、マイカーやバイク以外の手段で高知市へ来た観光客はそれほど桂浜へ行ってないようです。日曜市やひろめ市場で話した観光客も「交通手段がよく分からないので桂浜へ行ってない」って言っていたくらいです。

 

f:id:nomotoyasushi:20180403120241j:plain(閑散期の土産物屋エリア 2018年1月30日)

 

「桂浜公園整備基本計画」(資料編)には、以下の記述があり「閑散期の底上げ」に言及されています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180403115923j:plain(「桂浜公園整備基本計画」(資料編)より転載)

 

それなら、電車を引いてアクセスしやすくした上、飲食店等の魅力を上げ、観光客だけでなく地元民にも来てもらえる場所にするのが一番ではないですか!

 

上の記述には、「駐車場のキャパの問題で繁忙期のこれ以上の集客は困難である」と書かれていますが、これも輸送力のある電車を伸ばすことで、さらなる伸びが期待できます。

 

繁忙期も閑散期も電車伸ばすことによって、桂浜はさらによくなるでしょう。

 

[目的3] 桂浜の魅力向上、観光客がより楽しめる場所に!

 

先ほども写真載せましたが、現在の駐車場や土産物屋エリアはこんな状態です。

 

f:id:nomotoyasushi:20180403121807j:plain(2017年8月6日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180403121932j:plain
(2017年8月6日)

 

思いっきり昭和の観光地ですね。土産物屋も飲食店も昔からやり方は変わっておらず、お世辞にも魅力があるとは言えない状態です。せっかく観光客が来てるのに、これではお金落とさないよですよね…。

 

こういう問題もあって、高知市では桂浜土産物屋エリアの再開発を計画していますが、そのイメージ図は…

 

f:id:nomotoyasushi:20180403122933j:plain(「桂浜公園整備基本計画」より転載)

 

これアカンでしょ!! アスファルトで塗り固めた広大な駐車場と、もともとの地形を隠すように配置した施設群…。これでは、ただの道の駅…、いやロードサイド店と言っても過言ではないです。ありきたりな感じで桂浜らしさなど全然感じられません。

 

施設の魅力向上は必要ですが、こんなことするなら現施設のリニューアルに留めておいた方が、はるかにマシです。やめて欲しい、こんな計画!

 

【2018年4月8日追記】

 

「桂浜公園整備基本計画」は、一旦なしになったとの情報が入りました。現施設のリニューアルで進めるそうです。

 

 でも、分からんでもないです。マイカーでのアクセスを前提として構想を考えると、確かにこうなってしまいます。どうしても広大な駐車場が必要ですから。それほど広くないのに関わらず、駐車場という無機質な空間に多大な面積を割かれてしまうのは、極めてもったいないですが、クルマが集まる以上そうせざるを得ません。

 

要するに、マイカー中心のアクセス前提でいくら構想を練っても限界と言うことでしょう。やはり、電車を伸ばしてそれとリンクさせる形で桂浜のリニューアルを図っていくのがベストです。

 

電車だとお酒が飲めます!夜も楽しめる場所にできます!大きなヒントです。

 

2018年4月には、龍馬記念館の新館もオープンします。それも踏まえて、桂浜エリアがより魅力的になるたに、施設単体だけでなく、公共交通の活性化と結びつけて考えていってほしいものです。

 

[目的4] 高知をより面白くしたい!もっと観光客を呼びこもう!

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせる構想は、単なる沿線住民の利便性向上、観光アクセスの改善、都市交通におけるクルマ依存軽減などだけでなく、【その1・概要編】でも述べたように、色々とエンターテイメント性を持っています。

 

浦戸湾や太平洋が広がる車窓は素晴らしく、これだけで観光客を惹きつける路線になります。また新型電車だけでなく、敢えて600形をはじめとするとさでん交通の在来車両や他社の中古車両を改造して定期運用で走らせ、維新号、外国電車、おきゃく電車なども臨時・団体で走らせれば、より面白くなります。

 

f:id:nomotoyasushi:20180403134822j:plain(花海道から太平洋を望む 2018年1月30日)

 

電車そのものも江ノ電に引けをとらない観光資源になり得ます。

 

そして、桂浜や花海道をよさこい祭りの会場にできます!よさこいがより面白くなります!よさこいの経済効果はさらに伸びるでしょう。

 

「土佐のおきゃく」も中心市街地の分身として、桂浜でも開催可能になりますし、その他色々なイベントが開けるようになるでしょう。

 

より高知が面白くなって、さらなる観光客を惹きつけ、地域経済の活性化につながればと願っています。

 

[目的5] 防災対策としても有効

 

意外かもしれませんが、防災対策も兼ねることができます。

 

新線部分は全線高架となるため、特に花海道沿いの海岸部では、ところどころに非常階段を付けることによって、津波避難施設として機能できます。ここの地盤はもともと標高10mくらいとかなり高いので、それよりさらに高い高架橋は「線上の津波避難タワー」になります。最悪、高架部への浸水も考えられますが更なる高台へ避難する上での時間稼ぎになります。

 

ちなみに非常階段の踊り場は、平常時においては撮影スポットして活用できます。

 

さらに、津波の浸水や液状化の被害が予想される桟橋車庫の移転も検討できるようになります。ちょうど、長浜のバスターミナル付近に広大な駐車場を備える遊技場があり、広さも車庫と整備工場を設置する上で十分あり、そこに高架で移転できそうです。(高架なら遊技場も高架下の1Fで引き続き営業できますし…)

 

【その4・地上設備編】へ続く

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その4・地上設備編】

 

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桂浜へ電車を走らせようプロジェクト

 

地方はクルマ社会ですが自転車だって普通に使える乗り物です!活用されてないのはもったいなさ過ぎる!

 

たびたび、「地方でも積極的に自転車を移動手段として活用しよう!」と言っています。

 

それは、地方は確かにクルマ社会でマイカーは必需品ではありますが、坂が多いとか冬場に積雪が多いとかでなければ、「地方都市であっても自転車で十分な機会は多く、経済的かつ疲れるどころかむしろ爽快な運動になって健康的!」の一言だからです。

 

高知県で言えば、高知市のような人口30万人以上を抱える地方中核都市はもちろん、四万十市安芸市宿毛市須崎市土佐市のような人口数万人の小規模都市であっても十分便利で快適です。

 

幡多地方の中心地である四万十市(旧中村市)なんか、自転車にとってもすこぶる快適な環境だと思うのですよね。

 

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(2017年2月12日撮影)

 

f:id:nomotoyasushi:20180401074219j:plain(2017年8月29日撮影)

 

写真のように、ほぼ平坦な地形です。アップダウンはほとんどありません。まさに、自転車向きな都市です。

 

都市規模も大きくはなく、郊外も含めて半径3km以内に収まっています。自転車はママチャリでもいいですけどクロスバイクやツーリング自転車であれば、その範囲を十分快適に移動できる能力を持っています。

 

上写真のように、市役所等がある中心部から郊外までも3kmも離れておらず、時速15kmのゆっくり走行でも12分もあれば走れます。その程度の時間、自転車乗っていればほんとに「あっという間に着く時間」です。

 

郊外から郊外へ走っても5km程。ママチャリでも20分で走れます。いくら郊外化が進んだと言っても、ちょっと走れば着く距離にお店などはあります。

 

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(2017年2月12日撮影)

 

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(2017年10月13日撮影)

 

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(2017年11月4日撮影)

 

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(2017年11月4日撮影)

 

道路環境も自転車にとっても走りやすいですし、空気もきれいです。

 

極めて自転車向きな環境だと思うのですよね。実際に自転車で走ったことは何度もありますが、本当気持ちよく走れます。適度なスピードで、何の問題もなく走れます。

 

「ちょっとした移動」は自転車が一番便利です。

 

だが現実には、自転車は地域の足としてまるで活用されていません。いつ行っても街中で自転車はほとんど走っておらず、完全なクルマ一辺倒です。中高生が乗っているか、ごく狭い旧市街内だけで使われているという状況です。

 

それは、仕方ないのかもしれません。此の地の高校生は、一部で原付通学が認められており、高校卒業どころか中学卒業した時点で自転車を降りてしまいますから。一旦クルマに乗り出すと自転車に乗る習慣をなくしてしまいます。

 

適度な運動で健康に寄与し、省スペースで、ガソリン代等も節約でき、短距離走行を減らし愛車を労わることにもなる自転車が、クルマ一辺倒でまるで使われてないのは、本当もったいないです。たかだか数km、クルマに乗るほどの距離ではないと筆者は思っています。

 

 

市民レベルでも行政レベルでも、地方が自転車活用に目を向けないのは、分かるようで分からないもどかしさがあります。ドイツやデンマークなどに目を向ければ、大々的に自転車活用に取り組んでいる地方都市は実際にあるわけですから。

 

普及しない要因の一つに、「業界が地方で自転車を売る努力をまるでしていない」というのはあるでしょうね。ショールームとなりうるお店や試乗会など、実際にクロスバイクロードバイクに触れたり乗ったりできる機会は地方ではほとんどありません。

 

未だに田舎のオッちゃん、オバちゃんの多くはクロスバイクにすら乗ったことなく、「自転車=ママチャリ」のイメージのまま変わってないというのがそれを如実に物語っています。

 

クルマでもハイブリッドカーがヒットするなど燃費に敏感になっている昨今、究極のエコカーである自転車は、ほんの一押しあれば地方でも売れそうなものです。その場合、非常に高価で維持費も高いクルマとの比較になるので、メーカーもお店もしっかり利益を出せる価格を設定できるので、いいことずくめに思います。

 

売る気ないでしょ、自転車業界…

 

残念ながら、地方には自転車文化がないですし、それが育つ土壌もないのですよね…

 

人口10万人未満の小規模都市こそ、クルマの代替手段として自転車の果たす役割は大きいはずです。市街地内で、路面電車や路線バスが網の目に走ることが全く期待できませんから。

 

 

そういう中でも、「電動アシスト自転車」は地方での自転車利用を促進する突破口になるかもしれないと期待しています。「電動アシスト自転車」は、発売当初より大幅に進歩しており、実際に乗ってみれば「目から鱗!」なんですが、これにしても地方では試乗できる機会は、限られています。

 

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

そういうクルマ一辺倒な地方の現状を変え、地方に新しい時代をつくって行こうと、地方の自転車活用とクルマ依存脱却をテーマにした本を出版しようとしているのですが、残念ながら未だ叶わずです…

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

 なんとか、出版社を見つけるべく頑張らないとと思っています。