地方の公共交通を立て直す!@高知家

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その6・車両編】

 

【その5・〔続〕地上設備編】から続きます。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その5・〔続〕地上設備編】

 

主力車両は28m級大型部分低床車を想定

 

【その1・概要編】でも述べましたが、桂浜へ延伸するにあたって投入する主力車両は、下写真のような定員150人クラスの大型部分低床車が最も適していると考えています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180122160808j:plainポートランドMAX・TYPE2 28m級大型部分低床車 ※ウイキペディアより転載)

 

主力車両は超低床車両であることは必須条件ですが、その中でもこのタイプは「十分な輸送力」「座席数の確保」「通勤通学輸送と観光輸送の両立」「高速運転への対応」「整備性の良さ」などの観点から、桂浜線の路線特性に最も合致していると考えています。

 

「なぜ、現在とさでん交通で運行されている3000形・ハートラム2リトルダンサーUa・定員70名程度)の増備ではないのか?」と思われるでしょう。

 

f:id:nomotoyasushi:20180624210759j:plain(3000形ハートラム2 2018年登場の最新鋭車両 2018年3月27日 後免町)

 

筆者も「桟橋線を南部に延伸しても長浜までで十分」と考えていた当初は、他の事業者でも普及しているアルナ車両リトルダンサーUaを、車体幅を2500mmと現行よりも拡大しゆとりを持たせたものを主力車両にすれば十分と考えていました。

 

確かに、北部はイオンまで、南部は長浜までの延伸ならこれでも十分でしょう。その区間は原則的に複線(宇津野トンネル部分のみ単線という考えでした)となるでしょうから、需要が多い場合は基本的に増発で対応できますし、一編成で輸送力を増強する場合も、600形など従来車両を再度連結運転可能にすれば十分対応できます。

 

しかし、桂浜まで延伸を考慮した場合、収容力的には従来の単行ボギー車に毛の生えた程度のハートラム2(リトルダンサーUa)では、明らかに輸送力不足が懸念されます。長浜までの延伸の場合と異なり、沿線住民と観光客が同じ電車に乗ることになり、週末や観光シーズン時はかなりの利用が想定されます。

 

平日日中や土休日で、「高知駅」から「雪蹊寺(長浜)」までは10分ヘッド、「雪蹊寺(長浜)」から「桂浜」までは20分ヘッドのダイヤを前提にすれば、【その2・需要予測編】で述べたように、現在の沿線人口、桂浜への観光客数のデータから類推するに、単行車程度の定員では輸送力不足の懸念濃厚です。桂浜発着運用は平日でも重連せざるを得ず、繁忙期は必要以上の高頻度運行となり、かえって効率が悪くなりそうです。

 

加えて、「雪蹊寺(長浜)」以南は単線ということを考慮すれば、最繁忙期やよさこい祭りなどのイベント時には、限界に近い10分ヘッドかつ三重連まで増結しても、捌けなくなる、もしくはとんでもない混雑になる懸念があります。単線である以上、一定以上の増発は不可能です。かといって、桂浜まで複線にすると明らかに過剰投資です。

 

さらにリトルダンサーUaは、70〜90km/hでの高速運転の実績がなく、あの構造でそれほども出すと蛇行動が激しくなりそうです。リトルダンサーUaであれば、最高速度は60km/h程度に抑えざるを得ません。最高60km/hでは、郊外部ではやっぱり遅いなと思います。

 

ということで、リトルダンサーUa富山ライトレールなどで運行されているブレーメン形2車体連接車の約2倍の定員を持つ大型低床車を桂浜線の主力車両とするのが望ましいと考えています。

 

全長30m級・定員150人クラスの大型低床車は、現在国内では広島電鉄グリーンムーバー(5000形・5100形)福井鉄道のフクラム(F1000形)が運行されています。 新たに宇都宮で導入されるLRTもこのクラスが導入予定です。どちらのタイプも70〜80km/h程度の高速運転にも対応可能です。

 

f:id:nomotoyasushi:20180625185023j:plain福井鉄道F1000形フクラム ※ウィキペディアより転載)

 

しかし、これらの車両は車軸がない「独立車輪」構造を採用しており、相当シビアなメンテナンスが要求されるそうです。とさでん交通では独立車輪を扱った実績がなく、現場は明らかに嫌がりそうです。そのためか、初代ハートラムの中間台車も、車軸付車輪を採用しているくらいです。

 

リトルダンサーUaでも同様ですが、車内も構造上の問題で結構デッドスペースがあります。ロングシートも少なく、いざという時に詰め込みが効かず、台車上など無理矢理設置された感のある座面の高い座席など、細かい欠点も見受けられます。

 

何はともわれ、シビアな「独立車輪」の扱いが最大のネックになるかと思われます。決して、ベストな選択肢ではないです。

 

ここは様々な側面を考慮した結果、仏グルノーブルのトラムで超低床車黎明期に採用され、現在でも北米のLRTで広く導入されている、両端部分をボギー台車を配置し高床とした大型部分低床が最も適していると考えています。前述のポートランドMAX・TYPE2は、まさにこの構造を採用しています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180624190209j:plain(仏グルノーブルのトラムで導入されているTFS形 ポートランドMAX・TYPE2と同じく部分低床方式となっている。全長は30m級 ※ウィキペディアより転載)

 

お分りかと思いますが、2002年よりとさでん交通で運行されている初代ハートラム(100形)と全く同じ構造です。初代ハートラム(全長約17.5m)を、そのまま大きくした感じです。

 

f:id:nomotoyasushi:20180114135613j:plain(初代ハートラム100形101号 2017年4月27日 高知城前~県庁前)

 

何はともわれ、両端の台車部分は通常のボギー台車であるため整備面ではかなり有利です。車内のデッドスペースもない上に、中間車部分以外は通路幅の制約もなく、狭軌(1067mm)であるデメリットを感じさせない構造でもあります。製造費も独立車輪の特殊構造よりもかなり低減できるでしょう。

 

高速運転の実績も十分で、北米のLRTでは100km/hを超える速度でも運行されています。

 

座席配置も、地域輸送と観光輸送を一手に担う桂浜線の路線特性にも合致したものにできます。両端の台車上の高床部分は転換クロスシートにして観光客向け(空いていれば沿線住民ももちろん座るでしょうけど)とし、低床部分はロングシートにして通勤通学客向けとして、両方のニーズに応えられます。さらに、高床部分の最前列に座れば前面展望が楽しめます!!海の景色が何度も車窓に広がる桂浜線だけに、観光客に大受けしますぜ!!

 

台車のある中間車両は、ポートランドMAX・TYPE2の場合は独立車輪を採用しロングシートとしていますが、高知で導入する場合は、初代ハートラム同様に車軸付き車輪とし、一人がけの対面クロスシート8席でいいでしょう。

 

ドアは、ポートランドMAX・TYPE2の車両と同様、両開きプラグドアを片側4ヶ所が良いと思います。一般的な引き戸の方がメンテナンスはしやすいですが構造上、台車部分で干渉してしまうので、両開きにはできない問題があります。また、ポートランドMAX・TYPE2の車両にはありませんが、乗務員扉は設置した方がいいと思われます。

 

車体幅は、【その5・〔続〕地上設備編】で述べたように桟橋線既存区間も含めた車両限界拡大を前提とし、車椅子、ベビーカー、キャリーバッグなどのニーズに応えたゆとりある2650mmとします。ただし、その点や最小回転半径の問題により、後免線・伊野線での運行は改良しない限り不可能なため桂浜線専用とします。

 

車体デザインも、個人的には変に流線型にするよりも、ポートランドMAX・TYPE2のような角ばっているデザインの方が好感が持てます。日本の軽快電車に雰囲気が近いですし、江ノ電2000形にもどことなく似ています。このデザインをアレンジしての導入を個人的に希望します。塗装については、別途考慮としますが、一編成は確実にアンパンマン電車」になるでしょうね。おとどちゃんラッピング」も登場するかも?

 

f:id:nomotoyasushi:20180626144800j:plain江ノ電2000形 前面デザインはポートランドMAX・TYPE2によく似ている 2018年5月14日 七里ヶ浜稲村ヶ崎

 

一つ大きな問題もあります。この車両構造では、運転士が運賃収受を行う従来のワンマン運転はできません。かと言って、いまさら常時車掌を乗せるわけにもいきません。これに関しては、桂浜線から「ソフト面含めたトータルでの近代化(LRT化)を目指す」ということで「信用乗車方式」の採用が前提です。詳しくは後ほど述べます。

 

想定スペックは、近代的なLRTに相応しい性能とし、駅間が短い路線特性に応じて高加減速に力点を置いたものとしています。そして多客時に備え、新型低床車重連、改造した単行車を増結して運用できるよう、ポートランドMAX・TYPE2同様に連結器の装備を想定しています。

 

編成数は、想定ダイヤおよび下記の旧型車両の改造数を鑑みて、ひとまず10編成あれば十分でしょう。

 

<新型部分低床車両 想定スペック等>

 

全長:約28m 

全幅:2650mm

床面高さ:低床部 400mm、高床部 920mm

起動加速度:4.0km/h/s(3.0km/h/s、3.5km/h/sも選択可能)

減速度:常用最大5.0km/h/s(非常6.0km/h/s以上)

最高速度:75km/h(回復運転時:90km/h)

定員:約150名(座席:約60名)

制御方式:SiC素子VVVFインバータ制御

主な運用:高知駅雪蹊寺(長浜)、高知駅〜桂浜(※後免線・伊野線は入線不可)

 

形式名は「4351形(よさこい形)」にしよう!!

 

さて、新型部分低床車の形式名。満を持して桂浜線に投入する新型車両、ここは「よさこい祭り」にちなんで「4351形」とするのはどうでしょう。

 

高知の将来を担っていく電車としても、よさこい祭りのさらなる発展を願う上でも良い案だと勝手に思っています(笑) ごめん・なはり線の車両だって「9640形(くろしお形)」と命名していますね。

 

旧型車両も定期運行で活用して観光資源に!

 

さきほど提案した新型車両は、通勤通学客と観光客、両方のニーズに応え、転換クロスシートあり、前面展望も楽しめる、快適で大人気の電車になるかと思います。

 

雪蹊寺(長浜)」、「桂浜」へは、基本的に先ほどの新型低床車での運行とする考えですが、せっかく観光地へ行き車窓も素晴らしい路線だけに、電車もより観光資源となるよう敢えてレトロな旧型電車も日常的に走らせたいところです。江ノ電も、レトロな旧型車両が日常的に走ることも、人気の一つになっています。

 

ここは、とさでん交通で現在走っている在来車両の他、広島電鉄などで今後引退が予定されている元京都市電や元大阪市電なども改造の上走らせることを提案します。

 

「様々な電車を走らせることによって電車自体もさらなる観光資源化を促したい」「資金調達(寄付およびクラウドファンディング)の上で鉄道ファンや都市部住民等の支援を引き出したい」というのが大きな理由です。

 

高知へ行けば、かつては京都や大阪や福岡の街中を走っていた路面電車に当たり前に乗れ、しかも当時は存在しなかった海沿い(しかも太平洋沿い!)も走るとなれば、大いに観光客を惹きつけるでしょう。

 

ただし、桂浜線で旧型車両を定期運用するならば、足回りは総取替えが必要になります。広島電鉄筑豊電鉄の中古車の場合、そのままでは軌間が合わない(とさでん交通1067mm、広島電鉄筑豊電鉄1435mm)という問題だけでなく、省エネ対策面、騒音対策面(新線で恒常的に吊り掛け駆動の騒音を撒き散らすのは明らかにマズい)、旧式機器の部品枯渇問題、新型低床車と性能を合わせる必要性(揃えないと新型車の性能が十分発揮できない)、前述の性能を合わせることによる新型低床車を含め相互に連結できることによる運用の柔軟性、そもそも桂浜線構想は設備近代化(LRT化)の第一弾であるという側面からも、足回りは現代の水準に合わせて一新すべきです。

 

【 原則 】

桂浜線(高知駅~桂浜)は、定期運行についてはVVVF車両で統一(※後免線・伊野線の出入庫運用、高知駅〜枡形方面の運用は除く)

 

電車も地域の観光資源となっている江ノ電の旧型車両やポルトガルリスボンのトラムも車体こそレトロなままですが、両者とも足回りは近代的なものに取替えられています。だからと言って、決して人気が下がっているわけではありません。吊り掛け駆動の走行音がしなくても鉄道ファン以外は全然気にしません(笑)いやむしろ、走行機器が近代化されているからこそ今でも現役を続けられているとも言えます。

 

f:id:nomotoyasushi:20180624211733j:plain江ノ電305編成 レトロな車体ながら足回りはカルダン駆動で近代化され、最新型とも併結可能になっている 2017年12月25日 鎌倉高校前~七里ヶ浜

 


リスボンのトラム 車体は戦前製でも同じくカルダン駆動で近代化されている)

 

旧型車両近代化改造案を候補車両ごとに書いていきます。<>内は確保したい車両数(編成数)です。

 

広島電鉄1900形(元京都市電)2両固定バージョン<2編成>

 

京都市電である広島電鉄1900形は、計15両譲渡され、他の旧型車が数を減らす中、現在も15両全車が健在です。しかし、新型車両導入により今後は順次引退が予定されています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180129150157j:plain
広島電鉄1900形 元京都市電 ※ウィキペディアより転載)

 

この電車は是非とも引き取って桂浜線で走らせたいと思います。スタイルも塗装も秀逸で、これが桂浜へ行くと思えば情緒たっぷりです。

 

車体幅は2440mmでとさでん交通の在来車両(最大2300mm)よりも、かなりゆとりがあります。定員85名と収容力も高く、ドア幅も広く実用面でもかなり優れた車両です。実用面も加味して、桂浜へ行く旧型車両の第一候補にしたい車両です。

 

桂浜まで日常的に走らせるなら、新型低床車と同等の輸送力を確保するため、2両(定員170名)編成にする必要があります。恒常的に2両を組んで走るなら、最初から2両固定編成として改造した方が、コスト面や実用面でも良いでしょう。この形式ではないですが、京都市電ではラッシュ時に2両連結運転の実績があり、2両編成で走る意義は大いにあります!

 

位置付け的には、一部桂浜発着運用やラッシュ輸送を担う「新型低床車4351形の補佐役」と言えるでしょう。ラッシュ運用の他、日中も桂浜発着のうち1運用は、観光促進面でも是非とも元京都市電他旧型車両による運行としたいと思います。

 

高知駅〜桂浜間で日中20分間隔運行の場合、4運用必要なので1運用を旧型車両での運行にすれば、1時間20分に1本は旧型車両による運行になります。

 

f:id:nomotoyasushi:20180627141541j:plain

 

かつては京都の街中を走っていた路面電車が、巡り巡って土佐の地へやってきて「 桂 浜 」の方向板を誇らしげに掲げて浦戸湾沿いや太平洋沿いを走り、時には新型低床車や他の近代化改造された旧型車両と連結して活躍する光景を思い浮かべたら胸熱です!!面白い観光資源になるぜよ!

 

編成数は、検査入りも考慮して2両固定バージョンは2編成確保したいところです。

 

筑豊電鉄2000形(元西鉄福岡市内線)<1編成>

 

 

 筑豊電鉄2000形(3両連接車)は、かつては西鉄福岡市内線西鉄北九州線を走っていた車両ですが、近年は新型車両の増備が進み、7編成あった同形式も現在では現役1編成(2003F)、休車1編成(2002F)を残すのみとなっています。

 

この車両もスタイルは良く、福岡市内線の面影を良く残しています。車体幅2400mmとそれなりに広く定員も150名近くあり、車内も結構近代的で古さを感じさせません。広島電鉄1900形の2両固定バージョン同様に「新型低床車の補佐役」として活用が期待できます。

 

 

ラッシュ時の他、一部の曜日で京都市電に替わって日中の桂浜発着運用に就く旧型車両として活用したいものです。

 

こちらは1編成で十分でしょう。もはや2編成しか残ってないですし。

 

広島電鉄900形(元大阪市電)<2両>

 

 

大阪市電で走っていた広電900形もなかなか良いデザインですね。新型車両の導入により、2018年6月現在では5両(一部休車)まで数を減らしているようです。

 

こちらは単行車のままで活用する前提で、日中の市内区間高知駅〜孕橋)折り返し運用の他、早朝深夜およびラッシュ時に孕橋以南で一部運用したり、土休日や多客期に新型低床車および桂浜発着運用に就く旧型車両に増結したりと、マルチな活躍が期待できます。

 

単行車両ではありますが、車体幅の関係上、後免線・伊野線には入線できないため桂浜線専用になります。

 

広島電鉄1900形(元京都市電)単行バージョン<2両>

 

先ほどは、大型低床車の補佐役としての2両固定バージョンでしたが、単行バージョンも当然走らせたいところです。単行で走ってこそまさに路面電車ですからね。

 

役割は、先ほどの広島電鉄900形と同様です。こちらも車体幅の関係上、桂浜線専用とします。

 

とさでん交通在来車両<590形2両、600形8両、1000形2両、2000形3両 計15両>

 

とさでん交通で現在走っている車両も、敢えて路面電車の情景を将来にわたって残していくために、一部は桂浜線対応に改造して今後も走らせていくことを提案しています。

 

改造対象に以上の車両を挙げたのは、共通して「前中扉方式である」ことです。そのため、200形はもちろん、700形・800形も候補から外しています。

 

1000形・2000形は、車体に関しては他に比べて経年が浅く(それでも1000形は車齢40年が迫っていますが…)自ずと改造対象になるでしょう。

 

f:id:nomotoyasushi:20180626151747j:plain(左:1000形1002号 右:2000形2001号)

 

前面2つ窓の600形はまさに、「土佐の路面電車の顔」であります。今後も高知の街の景観として残していきたい電車です。車体の歪みが見られず全体的に状態がよいナニワ工機製(622~631)であれば、足回りを一新すれば今後も末長く運用できるでしょう。ナニワ工機製は10両製造され、事故廃車となった629を除く9両が今でも現役ですが、ここでは8両改造と設定しておきます。この際、塗装は4両は土佐電鉄時代のワンマンカラー、残りの4両は旧ツーマン塗装で。

 

f:id:nomotoyasushi:20180624213747j:plain(600形626号 2016年6月17日 鏡川橋)

 

名鉄岐阜市内線・美濃町線出身の590形2両も、車体は矍鑠としているようで、これも桂浜まで走れば「岐阜時代は海とは全く縁のなかった電車が海沿いに出てくる」ことになり、面白いので改造候補に入れています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180624214052j:plain(590形同士の並び 2008年1月31日 桟橋車庫前)

 

特に600形は、安芸線があった時代、2両編成や3両編成を組んで太平洋沿いを走っていました。場所は変われど、再び太平洋沿いを駆け抜けると思えば胸が熱くなります。「600形電車、再び太平洋へ!」、なかなかいいキャッチフレーズになりますぜ!

 

ということで600形も、例えば毎週土曜日に往年の安芸線を彷彿させる3両編成を組むなどして、一部で日中の桂浜発着運用で走らせましょう!

 

<桂浜発着旧型車両運行案一例(シーズン時以外)>

 

 月・水・金 ••• 広電1900形(元京都市電)2両編成

 火・木 ••• 筑豊電鉄2000形(元西鉄福岡市内線)1編成

 土 ••• 600形3両編成

 日 ••• 広電1900形(元京都市電)2両編成+単行車1両

 

f:id:nomotoyasushi:20180624180011j:plainhttps://umemado.blogspot.com/2017/08/blog-post_9.htmlより引用)

 

f:id:nomotoyasushi:20180624180028j:plainhttp://tsushima-keibendo.a.la9.jp/tosa/tosa1.htmlより引用)

 

とさでん交通在来車両の改造車であれば、これまでと同じように後免線・伊野線に入線可能です。桂浜線と後免線・伊野線を跨がる運用に就けますし、今まで通り後免線・伊野線内の運用も可能です。朝ラッシュ時に最大2両編成で「後免町→はりまや橋雪蹊寺(長浜)」や「桂浜→はりまや橋→朝倉」などの直通運用や、よさこい祭り時には2両編成を組んで後免線・伊野線でも踊り子・観客輸送で大いなる活躍も期待できます。全線で走れる車両として役割重大です。

 

なお、ハートラム(100形)およびハートラム2(3000形)については、貴重な後免線・伊野線で運用可能な超低床車であるため、基本的に桂浜線で走らせることはないかと思いますが、ラッシュ時には限定的に「後免線→桂浜線」「桂浜線→伊野線」など跨がる運用に就けるよう、ATS取り付けの上、桟橋車庫前以南への入線に対応させておいた方がいいでしょう。

 

<旧型車両近代化改造メニュー案>

 

・性能は、新型低床車(4351形)と揃える

・連結器を備え新型低床車(4351形)を含め相互に連結可能とする(最大4両相当分、ハートラム・ハートラム2は対象外)

・改造内容は、旧型車両全車で共通化

 

【走行機器】

台車、モーター、制御装置、運転台機器の一新(新型台車・新型モーターへの交換、VVVF化、運転台はツーハンドル式で新品に交換)、連結器新設、パンタグラフ交換(一部)、ATS設置

 

【車体・車両外観】

台枠強化、塩害対策、側面に行き先表示器設置(前面ともにフルカラーLED)、半自動ボタン新設(桂浜駅での長時間停車対策)、他各種老朽化対策

 

【車内】

車内照明LED化、案内表示装置(LCD)設置(中扉上および運転台背後・1ヶ所につき2面)、ドアチャイム設置、停車ボタン・料金箱等の撤去(桂浜線専用車両のみ)

 

車両数・車両新製および改造費用について

 

先ほどまで述べた、運行車両案を表にすると以下のようになります。

 

f:id:nomotoyasushi:20180627143416j:plain

 

上に挙げた時刻表のように、平日日中で「高知駅」から「孕橋」まで5分間隔、「雪蹊寺(長浜)」まで10分間隔、「桂浜」まで20分間隔のダイヤとすると、大型車7編成、小型車4両が必要と想定されます。

 

それからすると一見、「ラッシュのことを考えても、車両多すぎでは?」と思われるかもしれませんが、小型車の多くは後免線・伊野線でも運用可能(それだけ省エネ、少メンテナンスに貢献)であること、桂浜線だけでなくイオン方面への延伸や追手筋線の新設を考慮するならば、さらに車両が必要になるため、決して過剰ではないと考えています。

 

新たに桂浜や花海道でもよさこい祭りを開催するならば、相当な多客が想定され、「高知駅」~「桂浜」では、大型車重連(単行車4両相当)で10分間隔、「高知駅」~「雪蹊寺(長浜)」では、その間に単行車2両編成の運行を挟む形で5分間隔にしないと捌けないほど混雑するかと思われます。

 

その場合、大型車は14編成(7運用)、単行車は10両(5運用)が単純に必要になります。上の表では大型車は計13編成で1編成足りないので、大型車をフル稼働しても最低2両の単行車が大型車の増結用として必要になります。そうすると桂浜線で単行車は最低12両が必要で、残りも後免線・伊野線の輸送力確保に回ることになるでしょうから、この車両数でもカツカツになることが予想されます。この時期は、大掛かりな検査は避ける必要があるレベルです。

 

最後に車両に関する費用は、新型低床車(4351形)新製費を1編成3億円と仮定すると、10編成で30億円かかります。旧型車両の改造費は1両1億円と仮定すると、大型車も含めて単行車25両分(ハートラム・ハートラム2除く)あるので25億円となります。合計で55億円となりますが、他事業者の実績からもう少しかかると推測される(※)ので、合計で60~70億円くらいはかかると想定しています。

 

(※)東京都交通局都電荒川線の7000形の車体を流用し、足回り等を近代化改造した7700形は、1両あたり1億3000万円の改造費を要しています。

toshoken.com

 

車両費で60~70億円、決して安いものではありません。かなりの投資です。だが、桂浜線はかなりの乗客が想定され、従来の路面電車よりも生産性の高いシステムであるため、 建設費用は上下分離方式で別扱いにすれば、事業者にとっても十分黒字が出る路線になりそうです。車両費用(補助金部分以外)は、運賃収入により十分回収可能と考えています。それが、年間5億円か年間2億円かでは、回収期間は大分変わってはきますけど。

 

【その7・〔続〕車両編】へ続く

 

【その7】では、維新号、外国電車、おきゃく電車、トロッコ電車など特別運行や臨時・団体等で活用する車両案について書いていきます。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その7・〔続〕車両編】

 

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桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その5・〔続〕地上設備編】

 

【その4・地上設備編】から続きます。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その4・地上設備編】

 

軌間、架線電圧、ホーム高さは既存線を踏襲

 

f:id:nomotoyasushi:20180403225348j:plain

 

基本的なスペックは、上の図の中に書いてある通りです。

 

軌間は書き抜かっていましたが、当然ながら既存の桟橋線と同じ「1067mm」です。これは、さすがに異論はないでしょう。

 

架線電圧は桟橋線他現在の軌道線と同じ「直流600V」と想定しています。これについては、「桟橋車庫前」~「孕橋」間にデッドセクションを設けて、新線部分はより効率の良い直流750Vとした方が良いという意見もあるかと思います。宇都宮のLRTは直流750Vで計画されていますし、直流600V~750Vのデッドセクション伊予鉄道高浜線で実績があります。

 

それも一案ではあるのですが、そうすると乗り入れ可能な車両が極めて限られてしまいます。最初から対応している新型の低床車(現在運行中のハートラム・ハートラム2のことではありません)とVVVF化など大幅改造して対応させた従来車両に限られてしまいます。

 

せっかくの車窓が素晴らしい上に高知県屈指の観光地へ行く路線であり、電車自体も観光資源として一層盛り上げていくために、維新号、外国電車、200形(原型車)、おきゃく電車なども是非とも臨時・貸切運用で観光用として走らせたいところです。

 

直流600Vであれば、それらの車両もATS取り付け他最小限の改造で乗り入れ可能となります。以上より架線電圧は、現在の軌道線と同じ直流600Vが良いと考えています。

 

ホーム高さも、従来の路面電車と同じ低床ホームとし高さは300~350mmを想定しています。これについても、新線部分は高架で造るのだから低床ホームである必然性が全くないですし、桟橋線も短いし道路も広いのでこの際、「高知駅」~「桟橋車庫前」も含めてホームを高くして嵐電都電荒川線方式に一新した方がいいと言う意見もあろうかと思います。

 

これは高知駅より北部への延伸や追手筋線(元乗務員さんが提案されています。これはさすがにホームを高くはできません)の兼ね合いの他、筆者も東西系統については路面区間もホームを高くしてJR線、ごめん・なはり線と一体化したネットワークを構築することこそが正統進化と考えている反面、南北系統はLRTに進化しつつも在来車両も改造の上引き続き走らせ、ストリートカー、チンチン電車、トラムの雰囲気を残す路線としたいと考えています。

 

車体幅は最大2650mm、編成長は最大60mに対応

 

車両限界は、従来の最大幅2300mmから2600~2650mmと大幅な拡大を想定しています。現在のとさでん交通起軌道線の最大幅2300mmというのは、路線バスよりも狭く、都電荒川線長崎電気軌道札幌市電と並ぶ最狭クラスです。2400mmちょっとの伊予鉄市内線(旧型車両)や筑豊電鉄、2500mm近くある広島電鉄富山地方鉄道市内線、江ノ電などと比べるとその狭さは際立ちます。

 

せっかくの新線なので車両限界を見直す大きなチャンスです。従来の桟橋線区間も幸いにも距離自体が短い上に、直線主体で道路幅も広いので、新線部分の規格に合わせた改修は比較的容易だと考えらます。

 

f:id:nomotoyasushi:20180410144404j:plain(桟橋線の高知駅~潮江橋北詰間はセンターポール化されており、見たところ幅に余裕もありそのままでも最大幅2650mmに対応可能だと思われる 2018年2月18日)

 

普段からも沿線住民と桂浜への観光客が同じ電車に乗り、観光シーズン時はかなりの多客が予想されます。昔と違って、車椅子やベビーカーを押してのお客様、キャリーバッグを引いたお客様も当たり前になりました。それらへの対応を考慮したら幅にゆとりがある方が断然いいです。さらに、高知駅より北部へ延伸した場合、イオンモール関連や日赤病院の需要が加わることを考えたら幅のゆとりは絶対必要です。

 

最初は、広島電鉄江ノ電と同様の2500mm程度で十分と考えていましたが、せっかくの新線ですし、想定する新型部分低床車では台車上の高床部分に2列+2列の転換クロスシートを設けることを考えたら、もう少し拡大して2600~2650mmと福井鉄道のフクラム(F1000形)と同等のゆとりは持たせた方がよいと考えています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180122160808j:plain(想定している南北系統用の部分低床車両 ※ポートランドMAX、Wikipediaより転載)

 

ホーム長さは、既存の桟橋線も含めて全長28m級の大型低床車重連に対応できる60m(※)を想定しています。観光シーズン時や桂浜でのイベント時など多客時に、増発に限界のある単線区間での輸送力増強策として増結運用を考慮しているためです。(平日ラッシュ時は主に複線区間での需要が大きいため、原則増発で対応)

 

(※)併用軌道では軌道法により、原則として全長30mまでとなっています。実現するには、特認か法改正が必要ですが、宇都宮のLRTも将来は45mの編成長を予定しており、法改正の流れも期待できます。

 

詳しくは【その6・車両編】で述べますが、【その2・需要予測編】で述べたように、従来の単行車やハートラム程度の定員70名クラスでは、間違いなく輸送力不足が懸念されます。高知駅より北部への延伸も視野に入れるとなおさらです。それらを入れてしまうと必要以上に増発に迫られ、人件費や車両費が無駄に増加してしまいます。

 

日中(通常時)の運行間隔は、「高知駅」~「孕橋」5分間隔、「孕橋」~「雪蹊寺(長浜)」10分間隔、「雪蹊寺(長浜)」~「桂浜」20分間隔を想定するなら、孕橋以南へ運行する車両は、早朝、深夜、ラッシュ時の増便などを除いてフクラム(F1000形)やグリーンムーバー(5000形、5100形)など定員150人クラスの輸送力(単行車の約2倍)を持った車両が要求されるでしょう。

 

桂浜への観光客は、観光シーズン時は相当な多客が予想されますし、電車延伸によって現在より大幅に増加すると思われます。それを機にマイカーでの直接アクセス規制(パークアンドライド)を実施するならば、さらならる輸送力が求められます。

 

閑散期の平日日中は、桂浜発着20分間隔、大型低床車1編成(単行車2両分)で十分捌けるかと思われますが、閑散期であっても土休日やシーズン時の平日では、同じ20分間隔でも増結して大型低床車+単行車(単行車3両分)、もしくは大型低床車重連(単行車4両分)と輸送力強化が必要になりそうです。

 

さらに、最繁忙期や桂浜でよさこい祭りなどイベント実施時は、大型低床車重連(単行車4両分)かつ倍の10分間隔に増発して対応が迫られるでしょう。

 

そららを考慮すれば、ホーム長さは大型低床車両2編成分に対応した60mが求められると考えられます。

 

JR車両乗り入れなど将来への拡張性も考慮?

 

走らせる車両は、最大でも幅2650mm、全長60m弱までで、ホームも低床でその車両規格を前提に構築することを想定していますが、せっかくの新線であるのでそれに留まらず、将来への拡張性を織り込んだものにしてはと考えています。

 

 

せっかくのJR在来線と同じ1067mm軌間なので、いざとなったら最低限の改修で、JR在来線規格の車両も乗り入れ可能な構造で造っておけば、JR土讃線から乗り換えなしで臨時列車やクルーズトレインが桂浜まで入線できるようになります。

 

ただし、高架の新線区間まで路面区間を通ってやって来るのか、果たして別の新線を経由してやって来るのか分からないですし、そもそも将来実現するかどうか分かりませんし、いくらJR在来線車両が走れるように設計しておいても、一部に急カーブが存在する以上、ボルスタレス台車の車両は入線できそうもないです。さらに、電化と非電化、さらにJR土讃線が電化されたとしても架線電圧の違いもあるなど、色々と難しい面はあります。気動車による乗り入れであれば比較的容易でしょうけど。

 

かなり難しい問題ですが、あくまでも「将来への拡張性」という意味でJR在来線規格に対応させておいた方がいいでしょう。

 

最高速度、保安装置について

 

新線部分は、軌道法準拠の軌道線ではなく鉄道法準拠の「鉄道線」とする考えのため軌道法による最高速度40km/hの制限はありません。直線が続くところなど速度が出せるところは、通常時は75km/hまで、回復運転時は90km/hまで出せるものを考えています。

 

所要時間は、はりまや橋~桂浜間で23~25分程度を目指しています。現在のバス路線は、最速で27分でほとんどが30分ダイヤ上かかっており(バスなので実際はそれより遅れると考えた方がいい)、それに比べると大幅な時間短縮となります。

 

鉄道線であるため保安装置は当然ながら必要になります。新設路線であること、高い安全性、イベント用など旧型車両への設置も考慮すればATS-Pが最も妥当でしょう。

 

JR東日本仙石線埼京線に導入されている、閉塞方式にとらわれずコスト削減も可能な最新の保安装置であるATACSも候補になりえます。ただし、維新号などの旧型車両を走らせようとすれば、そのままでは対応不可で、ブレーキ方式を電気指令式に改修する必要が出てきます。

 

 

既存の桟橋線も近代化してトータルでLRT

 

先ほども、既存の桟橋線についても車体幅2650mmに対応させ、ホームも60mまで延長すると述べましたが、それに留まらずよりLRTとしてふさわしい路線になるためには、スピードアップ、定時性向上につながる改良が求められます。

 

f:id:nomotoyasushi:20180410144624j:plain(桟橋線「桟橋通二丁目」へ繋がる歩道橋よりはりまや橋方面を望む 2018年2月18日)

 

まず、最高速度も従来の40km/hは、さすがに遅すぎます。軌道法の改正が必要ですが50km/h以上に引き上げたいところです。

 

 

無駄な信号待ちを減らすため、青信号の延長が可能な優先信号も導入したいところですし、道幅に余裕があるので安全性の向上面で軌道敷との間に縁石を設置してセンターリザベーション化も検討項目に入ってきます。

 

 

電停については概ね現行通りで問題ないですが、「桟橋通一丁目」~「桟橋通四丁目」間は比較的詰んでいるので、「桟橋通二丁目」と「桟橋通三丁目」は、中間の国道56号線との交差点部分に電停を新設し統合した方がいいでしょう。

 

以上の改良と運賃収受方式の見直しによる乗降時間短縮により、現在「はりまや橋」~「桟橋通五丁目」間で約10分要しているところ、実質さらに一区間増える「はりまや橋」~「孕橋」間を、1分短縮した9分で運行できるようになるでしょう。

 

高知駅前電停がそのままでは60mホームに改修できない、一部ではその編成長の車両が停まると後方の交差点にはみ出る箇所があるなどの問題もありますが、それらについても書き出すと長くなるので、また別の機会に譲ります。

 

【その6・車両編】へ続く

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その6・車両編】

 

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桂浜へ電車を走らせようプロジェクト

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その4・地上設備編】

 

【その3・目的編】では、目的や目指すものについて整理しましたが、【その4】ではいよいよ地上設備を具体的にどのようにするのがよいかを解説していきます。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その3・目的編】

 

以下の地図をもとに話を進めていきます。【その1・概要編】で掲載した地図とは、予想される需要や運行上の問題により複線区間等を修正しています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180403225348j:plain

 

 ルート案概略

 

ルート案、駅・停留場設置案は上の地図の通りです。

 

太平洋沿いまでの多くの区間は、はりまや橋から海岸線まで伸びる県道34号線と同じルートを辿るかたちとなります。

 

太平洋沿いの部分は、県道14号線(通称「花海道」)のすぐ北側に沿って敷設し、桂浜付近はトンネルで抜けて桂浜駐車場に設けた「桂浜」駅で終点となります。

 

駅・停留場の設置場所案は、現在のバス停の位置、駅間距離、全体的な利便性等を考慮しています。

 

沿線に新興住宅地が広がっていおり、運行本数も多くなるであろう「雪蹊寺(長浜)」までは複線としています。現在も長浜バスターミナルがあり、多くの路線バスの発着点でもあります。

 

県道34号線は、「桟橋車庫前」から「瀬戸西町三丁目」を設ける予定のサニーマートあたりまでは、すでに旧宇津野トンネル部分を除いて四車線(片側二車線)に拡幅されています。その半分を流用して敷設すれば、新たな用地買収はほぼほぼ不要で、建設コストを削減可能です。車線が減ることによる渋滞の懸念等については後述します。

 

f:id:nomotoyasushi:20180405142524j:plain(県道34号線・西灘バス停付近 2017年7月28日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180406081712j:plain(県道34号線 一部区間には急カーブが生じる 2017年7月28日)

 

東側にある古い方の宇津野トンネル(南行き一方通行)を流用し、「瀬戸西町三丁目」以南は、東側の旧道に沿って敷設する関係上、四車線道路のうち東側半分を流用する形になるでしょう。

 

サニーマート付近では、現県道と旧道が分かれ、それぞれ二車線(片側一車線)になりますが、新線は東側の旧道に沿って通すのがよいと考えています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180405144212j:plain(旧道と現県道が分かれる三叉路 2017年7月28日)

 

その理由は、現在の路線バスが旧道経由というだけでなく、現県道34号線の方に通そうとすれば、「三叉路を過ぎてすぐに急勾配が生じる」、「そもそも敷設スペース確保が困難」、「御畳瀬(みませ)集落から遠くなりすぎる」という問題があります。特に、敷設スペースが問題で、仮に単線にしたとしても、主要道路なのでまさか二車線のうち半分を潰して片側一方通行とするわけにはいきません。

 

一方、旧道の方は狭いですが、敷設にあたって車線を半分潰して片側一方通行にしても、前述の県道34号線が平行しているため大きな問題はないかと思われます。むしろ歩道がなく危険なため、積極的に一方通行化して歩道を設置した方がいいくらいです。

 

f:id:nomotoyasushi:20180405145933j:plain(長浜バスターミナル付近の旧道 道幅は狭く歩道もない 2017年7月28日)

 

新線についても最初の考えでは、本当は拠点駅となる「雪蹊寺(長浜)」までは複線としたいものの、「瀬戸西町三丁目」以南は、用地買収を最小限に抑える観点から、妥協して単線で敷設と考えていました。二車線道路を鉄道と道路で半分ずつ分け合う形です。

 

しかし、後述の宇津野トンネル部分と同様に、桂浜への多客が予想される時期は、増発が必要になります。「雪蹊寺(長浜)」までにある、中途半端な単線区間が運行上のネックになるという指摘を知り合いから受けました。特に遅延回復に対して脆弱になってしまいます。

 

そのため現在では、旧道部分や宇津野トンネル部分も含めて、「桟橋車庫前」から「雪蹊寺(長浜)」まで、完全に複線で敷設と考えを改めています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180405152359j:plain
雪蹊寺付近の敷設ルート案)

 

なお、三叉路付近の「瀬戸西町三丁目」までで複線区間を打ち切って、そこを本数が変わる拠点駅とする妥協案も考えられますが、やはり「雪蹊寺(長浜)」の場所が、現在のバス路線では拠点ターミナルになっていること、その付近までニュータウンが発達しており、また長浜地区の中心地でもあること、御畳瀬(みませ)地区の入り口であることを考えたら、「雪蹊寺(長浜)」まで、利便性の高い本数を確保(日中は10分に1本)するため、建設費が増加するものの複線で敷設した方がよいと考えています。

 

雪蹊寺(長浜)」までの旧道に沿う部分ですが、幸いにも駐車場や空き地が多く、建物も住宅やマンションというよりは、倉庫等が多く、立ち退きは大幅に困難ではないと考えられます。現状の二車線道路部分と合わせて、道路一車線(+歩道確保)と鉄道複線分確保する形に再編します。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406073416j:plain
(旧道沿いは駐車場、空き地、倉庫等が多い)

 

 「雪蹊寺(長浜)」以南は、沿線人口も少なくなり運行本数も減らす前提のため(日中は通常時は20分間隔を想定)単線で十分と考えています。

 

問題は、「雪蹊寺(長浜)」を過ぎてから県道34号線沿いに復帰するまでの間、住宅地を貫く形になり、かなりの立ち退きが生じてしまうことです。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406080926j:plain(「雪蹊寺(長浜)」~南海中学校付近のルート案 立ち退きが生じてしまう)

 

一応、平行させうる道路はありますが、中央線を描けないほど狭く、両側に住宅が建て込んでおり結局立ち退きが必要で、橋付近がかなりの急カーブになるため速度が出せない等の問題があります。

 

県道34号線沿いに復帰後は、県道の東側に沿った形で海岸線まで南下します。ここも幾分は立ち退きが生じます。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406230745j:plain(県道34号線・鎮守の森公園付近 道幅に余裕はある 2017年7月28日)

 

海岸線に突き当たる愛宕病院分院付近で、東に直角に方向を変え、今度は県道14号線(花海道)に沿って進みます。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406204453j:plain愛宕病院分院付近 この付近で直角に方向を変える 2017年7月28日)

 

問題は、現在の花海道は弄らず、北側に沿う松林や墓地などがある部分に敷設するか、歩道も両側にあり停車帯もあるなど幅員に余裕のある花海道を狭めて用地買収を最小限にして敷設するかどうかです。

 

前者は、花海道の開放的な景観への影響は最小限で済みますが、用地買収費はどうしても嵩んでしまいますし、松林を伐採してしまうため環境面でも問題が出てきます。後者は、用地買収費は最小限ですが、狭くなった道路のすぐ脇に高架橋ができるため、景観面で圧迫感が出てしまいます。議論の余地があります。

 

電車延伸後に、新たに花海道を「よさこい祭り」の会場とするなら、概ね前者の方が良いとは思いますが、地点によってケースバイケースでしょう。

 

【2018年6月23日追記】

 

新線部分は法律上の問題もあり、全線高架という考えでしたが、現在では単線となる「雪蹊寺(長浜)」以南は、桂浜駅部分はを除いて、踏切設置の問題はありますが、建設費削減、景観上の配慮から地上敷設で十分と考えに改めました。

 

地上敷設の場合は、花海道の停車帯を削ったり歩道を少し狭めて単線分のスペースを捻出しても景観上の問題は出ず、用地買収はほとんど生じないと考えています。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406082430j:plain(県道14号線・花海道 幅員に余裕はある 2017年7月28日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180406201933j:plain(車線と歩道の間にもスペースがあり単線分の捻出は容易だが 2017年7月28日)

 

桂浜へ至る直前は、浦戸小学校のすぐ南側からトンネルを掘り、龍馬記念館や桂浜荘の真下付近を抜け、最後は現在の桂浜駐車場に高架で設けた「桂浜駅」へ至ります。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406203547j:plain(桂浜近辺のルート案)

 

新線区間は全線高架による敷設一択!【追記により一部修正】

 

どのような形で敷設するかの問題ですが、新線部分は「高架橋による敷設」しか事実上選択肢はありません。専用軌道で敷設するなら法律上、踏切は余程の例外でもない限り設置できないので、住宅街を貫く県道34号線の半分を流用して地上に鉄道線として建設することは不可能です。なお、地下での敷設は論外です。

 

海岸線の花海道沿いは、住宅が建て込んでおらず、コスト面を考えると地上敷設でもよさそうなものですが、交差する道路が多い上、花海道に踏切待ちの滞留スペースが十分にとれないなどの問題があり、地上で踏切設置の許可が降りるのはかなり困難だと思われます。それに高架橋の方が、津波避難施設としても機能でき防災対策を兼ねることができるため、やはり高架での敷設がベストです。

 

【2018年6月23日追記】「雪蹊寺(長浜)」以南は地上敷設で十分!

 

ニュータウンが発達し複線による敷設を考えている「雪蹊寺(長浜)」以北は、高架による敷設しか考えられませんが、「雪蹊寺(長浜)」以南は、一気にローカルな雰囲気になり、単線による敷設で運行本数も減る想定(日中20分間隔)であり、予定ルートでは主要道路と交差もしないので、全部高架で敷設するのはいくらなんでもバカバカしいと思うようになりました。

 

地上敷設であれば、当然ながら建設費は大幅に縮減できますし、花海道の開放的な景観が犠牲になることもありません。さらに、地上区間があることで、より親しみが持てる電車になります。防災施設としての機能はなくなりますが、幸いすぐ北側に高台がありますし、愛宕病院分院など避難可能な施設も沿線にあります。

 

雪蹊寺(長浜)」を過ぎて川を渡ったら、最後の桂浜駅を除いて地上敷設で問題ないと現在は考えています。

 

最大の問題は、やはり国土交通省の特認を得ることです。極めて大きな壁になるでしょうが、JR可部線では復活区間で踏切が認められており、ごめん・なはり線も新線ながら踏切が存在しいることを考慮すれば、不可能ではないと考えています。大体、都市部でも田舎でもぞれぞれの地域事情を考慮せずに踏切一切ダメという法律の方がバカげています。アメリカの新設LRTなんか郊外区間でも普通に踏切ありますぜ。

 

一応、地上で敷設可能な裏技(?)はあります。「桟橋車庫前」の交差点から「瀬戸西町三丁目」付近までなら、路面電車として併用軌道として敷設するなら地上でもできないことはありません。実際に、富山ライトレールでは新規の路面区間が登場していますし、宇都宮のLRTでもかなりの部分が路面電車として計画されています。建設コストは確かに安くなるでしょう。

 

しかし今度は、速度が低く制限される上、交通信号にも影響されるため所要時間がかなり伸びてしまいます。桂浜までの距離を考えたらこれでは話になりません。高知駅から桟橋車庫前までの約3kmを、すでに15分近く路面電車として走っていることを考えたら、それより先は広島電鉄宮島線のように速度を出せる鉄道線として通すのがベストです。現行のバスより時間短縮できることは、この構想の要でもあります。

 

先ほども述べたように、「瀬戸西町三丁目」付近(旧道とバイパスが別れる三叉路があるところ)まで県道は旧宇津野トンネル部分を除いて四車線に拡幅されています。その半分を流用し高架で敷設することになるかと考えられます。二本ある宇津野トンネルは狭い東側の旧トンネルを流用する形になるため、東側の南行き二車線を潰して敷設となります。

 

道路が削られ対面通行の二車線になってしまうため、渋滞の悪化が懸念されるかもしれませんが、そこはいかにクルマ(マイカー)から鉄道へ、通勤通学、通院、観光、買い物等の交通需要をシフトできるかにかっています。場合によっては、郵便や宅配便などの荷物輸送も考えられます。そもそも、道路一車線と線路一本では、線路の方が桁違いに高い輸送力を持っています。

 

さらに言えば、県道34号線の西側にも高知競馬場の側を通り海岸線まで抜ける平行道路も出来ていますので、車線を減らすことに大きな問題はないと考えています。そもそも前提として、マイカーを減らすことも目的とした公共交通整備であるため、車線を削ってしかるべきです。

 

このように全線高架にせざるを得ず、建設コストはかかりますが、ほぼ全線高架のごめん・なはり線でも意外なほど建設費は安く済んでおり、決して非現実的な金額にはならないと考えられます。

 

ごめん・なはり線同様に高架だからこそ、地上の道路からは見えなかった浦戸湾や漁港の風景が車窓に広がるようになりますし、花海道沿いからの太平洋の眺望もより素晴らしくなります。

 

【2018年6月23日追記】

 

花海道沿いの区間は、江ノ電の鎌倉高校前付近と同じ感じになり地上敷設であっても十分に眺望は素晴らしいです。むしろ地上の方が、花海道の歩道に植えられている色とりどりの花も見れてより車窓が楽しくなるでしょう。江ノ電同様に親しみのもてる電車になります。

 

流用予定の旧宇津野トンネルは複線分に拡幅が必要

 

先ほど述べたように、現在の路線バスでも運行上の拠点でありニュータウンの発達して輸送量が多いと思われる、中心街から「雪蹊寺(長浜)」までは、複線で敷設と考えていますが、流用予定の古い方の宇津野トンネルが最もネックになってきます。

 

昭和26年(1951年)に完成したこのトンネルは狭く、現在も県道の南行きはトンネル部分だけは一車線のままとなっています。一応、拡幅等改良の計画はあるそうです。

 

www.kentsu.co.jp

 

f:id:nomotoyasushi:20180406210256j:plain(旧宇津野トンネル入口[はりまや橋側] 2017年7月28日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180406210410j:plain(旧宇津野トンネル内部 2017年7月28日)

 

f:id:nomotoyasushi:20180406210714j:plain(新宇津野トンネル入口[横浜側] 片側二車線確保されている 2017年10月10日)

 

トンネル拡幅は大変だろうし、日中10分間隔、ラッシュ時6~7分間隔程度なら、単線区間を1分程度で走り抜けられるだろうから、理論上は問題なく、この箇所は単線で妥協でも仕方ないと思っていました。同様に、道が狭い「瀬戸西町三丁目」~「雪蹊寺(長浜)」間も建設費縮減のために、単線で妥協するという考えでした。

 

しかし、【その2・需要予測編】を書くにあたって、桂浜の来場者数のデータを調べてみたら、ゴールデンウイークなどのピーク時は、桂浜発着を10分間隔にしても、桂浜への観光客だけで中心街~桂浜間が満員になる可能性が高いことが判明しました。その場合、沿線住民に迷惑がかからないよう臨時で増発し、中心街から「雪蹊寺(長浜)」まで5分間隔での運行が必要になりそうです。よさこい祭り他のイベントを桂浜等でも開催する場合も同様です。

 

そうすると、トンネル部分や「瀬戸西町三丁目」~「雪蹊寺(長浜)」間にある単線区間がネックとなってきます。多客で遅れも予想されるので、一列車が遅れてしまうとなかなかダイヤが回復しません。単線では明らかにまずいです。

 

最初は単線で妥協して、運行してみてやはり複線に変更したいとなった場合、トンネル拡幅工事は運行しながらになるので、余計に工期と費用が嵩んでしまいます。

 

ということで、旧宇津野トンネルは鉄道敷設にあたって複線分(+歩道)に拡幅が必要になりそうです。

 

高架区間は「桟橋通四丁目」から

 

先ほど、新線区間は全線高架一択(前述したように単線区間は地上敷設という考えに改めています)しかないと述べましたが、その高架区間が始まる場所が問題になります。

 

順当に考えれば、既存の桟橋線に「桟橋車庫前」から接続(既存の「桟橋車庫前」~「桟橋通五丁目」は廃止になるだろう)するので、「桟橋車庫前」の交差点を過ぎてから高架に上げることになります。

 

しかしこの交差点、極めてやっかいな交差点です。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406221940j:plain(「桟橋車庫前」交差点 2017年7月25日)

 

グーグルの航空写真を見れば一目瞭然です。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406222226j:plain

 

変則五叉路というかなりの変態(!)交差点であります。そのためか、結構信号待ちが長いように思います。

 

ここを路面で通してしまうと、優先信号を導入したとしても電車も信号待ちの時間が長くなるばかりか、クルマとの接触事故が多発する懸念があります。

 

明らかにこの交差点は、高架でパスした方がよさそうです。一つ「はりまや橋」方の「桟橋通四丁目」を過ぎてから高架にするのがよいでしょう。

 

だが、またもや問題があります。今度は、桟橋車庫への出入りをどうするかという問題が出てきます。引き込み線のところまで路面のままだと、距離的に「桟橋車庫前」や交差点部分を高架にするのは不可能ですし、「桟橋通四丁目」(交差点過ぎた側に南行きホームを設置)過ぎた直後に高架へ上がり始めた場合、今度は引込み線が設置できません。いずれにしても問題です。

 

それとも、桟橋車庫を完全廃止して移転する? この構想では、災害対策と大型LRV対応の側面から一部車庫機能を瀬戸に移転することは考えていますが、すべてを一度に移転するまでの財源確保は困難なので、ここではそれはない前提としておきます。

 

解決策は、下図のように高架への接続部付近から別途地上で車庫への引込み線を設置する方法が考えられます。緑が地上区間で赤が高架区間です。

 

f:id:nomotoyasushi:20180406223748j:plain

 

一部区間で、3線となりますが、桟橋通りの幅員は広く歩道の幅も余裕があります。一部歩道を狭くするなどすれば、3m程度の軌道敷部分のスペースは捻出はできるでしょう。

 

【その5・〔続〕地上設備編】へ続く

 

地上設備についてもう少し書きたいことはありますが、長くなったためもう一記事、地上設備編となります。

 

桂浜へ電車(LRT)を走らせよう!【その5・〔続〕地上設備編】

 

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