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脱クルマで地方は豊かになる!

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

クルマとスマホのために働く地方の若者。

 

昨年11月に書いた、地方在住者のただでさえ少ない所得が、クルマ関連の費用に多くを食い潰されてしまっているという話し。さらに掘り下げていきます。

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

中芸地域から高知市内までの約50kmをマイカー通勤

 

知り合いの例を具体的に取り上げて話しを進めていきますね。

 

少し極端な事例かもしれませんが、給料に占めるクルマ関連費用の割合が高く「クルマを維持するために働いているも同然」の典型例だと思っています。

 

本人のプライバシーに配慮して、生まれた年や住んでいるところは、やや曖昧にしておきます。また、原則として2012年当時で話しを進めていきますので、現在は細かいところで状況は変わっています。

 

平成1〜4年生まれの20代の女性の方で、中芸地域(奈半利町田野町、安田町、北川村のどれかです)に在住しており、高校卒業後は高知市内のとある会社で事務職として就職し、実家から職場までの片道約50kmを、週に5〜6日通勤(隔週で土曜日勤務)しています。

 

給料は、手取りで月13万円ほどだそうです。その中に、通勤手当約15,000円も含まれています。

 

通勤手段ですが、就職当初は免許もクルマもなかったので、土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」利用でした。免許取得後はマイカー通勤に切り替えています。トールワゴンタイプの軽自動車を、新車で購入して毎月ローンを払っています。

 

マイカー通勤に切り替えたのは、至極当然のことだと思います。

 

安芸市以東ともなる田舎では、マイカーを持つのはごく当たり前ですし、そもそも持っていなかったら通勤以外での行動範囲が極めて狭くなります。「ごめん・なはり線」も安芸駅以東では、本数がぐっと減ってかなり不便になりますし、定期代も高知市内へ通勤すれば非常に高額です。マイカーがあれば、鉄道で通勤という選択肢はまずあり得ません。事実上、マイカー通勤一択です。

 

職場への往復だけで給料(手取り)の半分近くが消えている…

 

驚くことに、給料(手取り)の半分近くがクルマ関連に消えています。

 

毎月ローンを払い(月々15,000円ほど)、任意保険代を払い(月々10,000円ほど?)、もちろんガソリン代もかかります。ガソリン代は、かなり距離を走るのため月に15,000円〜20,000円程度はかかっているそうです。その他、税金、車検、修理代もろもろ…。

 

ざっと概算しただけでも、平均すると月々45,000円程度かかっている計算になります。ちなみに、「ごめん・なはり線」(+JR土讃線)の定期代もこれに近いくらいかかっていたそうです。調べてみたら、だいたい月に35,000円ほどです。

 

携帯電話代(だいたい月10,000円と言っていました)や生命保険代など、他の支払いを含めると給料のほとんどは残らないそうです。一時期、会社の帰り道に4時間程度アルバイトをして(それも週5日!)、やっとのことで小遣い確保&貯金していたほどです。

 

現実をきちんと受け止め、身の丈に合った生活をしており、アルバイトで補填までする頑張りようは素晴らしいと思いますが、正直なところ複雑な思いです。

 

社会の構造的な欠陥に、スッポリと嵌ってしまっているからです。

 

実家の近くに就職先がない(もしくは転職が難しい?)という点でも、給料があまりにも低すぎるという点でも、社会が公共交通を上手く活用できていない点でもす。

 

給料のあまりの低さについては、正社員で真面目に働いても生活保護レベルの額である(しかも、所得税、住民税、社会保険料は給料からきっちり引かれた上に、医者にかかればきっちり3割負担ですよ!)など、世の中どうかしているとしか思えません。アルバイトで上乗せした分(月50,000円程度?)は、本業の給料であってしかるべき額ですよ!

 

明らかに社会が歪んでいます。海外なら革命に発展してもおかしくないレベルですよ。しかし、こればっかりは構造的な問題ゆえに根本的な改善が難しいのも確かです。放っておいていいわけではないですが、今すぐどうこうできるものでもありません。言いたいことはいくらでもありますが、書き出したらそれこそ長くなるのでこの辺でやめておきます。

 

社会が公共交通を上手く活用できていない

 

ここで注目したいのは、やはり高額なクルマの維持費それに依存しなければ生活できない社会構造についてです。

 

給料の半分近くをも費やして、通勤手段に過ぎないクルマを維持しなければならないというのは、明らかに異常ですよ。

 

クルマが純粋な趣味で、クルマを持つこと、クルマに乗ることがその人にとって人生における至上の喜びというのでしたら、それでも一向に構わないでしょう。

 

しかし、勤務後や休日に遊びに行くのにも使っていると言っても、ほとんどが自宅と職場の往復での使用です。あくまでも、生活の糧を得るための手段であり経費のはずです。

 

職場へ往復した時点で、稼いだ給料が半分近くも消えてしまっては「いったい、なんのために働いているのやら…」って状態ですよね。

 

さらに片道50kmにもなる長距離を、事故のリスクを抱えながら毎日1時間半近く延々と運転して職場とを往復しなければならないという点も大きな問題です。体調が悪かろうが眠かろうが、神経を張りつめて運転しなければなりません。事務職の他に、運転手としてさらに毎日3時間も残業しているようなものですよ。

 

通勤など義務を伴ったクルマの運転は、もはや楽しいものでも何でもないと思います。つまらない上に、リスクを伴い神経を張りつめる作業でしかありません。

 

ドアトゥドアは、もちろんクルマの大きなメリットです。だがしかし、裏を返すと移動の最初から最後まで、全行程を自分で運転しなければいけないということでもあります。その間ずっと、神経を張りつめ続けなければなりません。移動の大部分を他人の運転に任せられる公共交通とは大きな差です。

 

少なくとも、公共交通の「ごめん・なはり線」が、もっと便利で安ければ、こんなことにはならないのにと思わざるを得ません。寝ながらでも、読書しながらでも、ゲームしながらでも安全快適に通勤できるのにです。

 

本来は、一度に大量の人を運べてスケールメリットが働く公共交通を活用した方が、一人一人が個別にマイカーを走らせるよりずっと効率的なはずです。通勤コストもずっと安くなるはずです。 しかし、現実にはマイカーを維持するのとさほど変わらない定期代がかかってしまいます。

 

何と言うか、社会の仕組みに不備があって公共交通を優先的に利用しやすくなってないのですよね。あるのに使いづらいくて、あまり利用されていない。非常にもったいないと思います。

 

地方の若者はクルマとスマホのために働いているようなものです

 

この事例は、通勤距離が長いだけにやや極端かと思いますが、地方在住の若者は、クルマもスマートフォンもたいてい所有しています。

 

程度の差はあれど、地方の若者の所得は総じて少ないので、クルマと携帯電話関連の支出は、かなりの割合を占めているでしょう。親のお下がりを譲ってもらった、就職祝いに買ってもらった場合などを除いて、クルマのローンも払っているでしょうし、携帯電話にしても次々に買い替えて、ほぼ全員がスマートフォンを持っていますしね。

 

地方の若者は「クルマとスマホを維持するために働いているようなもの」と言っても過言ではありません。

 

本来、クルマ、スマホは、あくまでも移動のため、通信のための手段に過ぎないはずです。メーカーとメディアの巧妙な戦略で、見事に目的化されていますけどね。ただの手段に、所得の多くを食いつぶされてしまうのは本末転倒に思います。

 

こんな状態では、クルマと携帯電話以外の他の消費は伸びませんは。服なんかも売れませんは。

 

最後に「高知市内に引っ越したら?」っていう意見は当然あるかと思います。そう思って聞いてみたところ、「職場の近くにアパートを借りようと考えたことは特にない」と言っていました。仮にアパートから徒歩や自転車で通勤できても、若い女性ともなればクルマを持たない選択肢はなかなかないと思います。勤務後や休日に、遠くまで出かける足がないというのはつまらないでしょうし。それだと、家賃や生活費に加えてクルマの維持費もかかってしまい、実家通いよりもさらに高くついてしまいます。そういうことも勘案して、実家通いがベターなのでしょう。

 

この話しはこれで終わりではありません。続きがあります。

 

続き:普通に生活していて突然借金(ローン)が増えてしまうクルマ社会の不条理。