脱クルマで地方は豊かになる!

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

京都大学大学院教授・藤井聡氏の「クルマに頼りきった社会の改善こそが地方創生につながる」に大いに賛同します!

 

先日、京都大学大学院教授であり、内閣官房参与でもある藤井聡氏が『クルマを捨ててこそ地方は甦る』PHP新書)を上梓されました。

 

「地方が疲弊しているのは行き過ぎたクルマ社会に原因がある」「地方創生にはクルマに頼りきった態度を改める必要がある」などと、筆者も長年考えていたことが、データや具体的事例を交えながらズバリ書かれており、非常に興味深い内容となっています。

 

昨日購入したばかりで、まだ読み終わっていないので詳細なレビューは後ほどに回しますが、「MONEY VOICE」に本書の概要版とも言えるような記事がありましたので、そちらの内容を元に話を進めます。

 

www.mag2.com

 

郊外チェーン店は稼ぎの大部分を地域外に流出させる

 

地方ではクルマ社会が進んだ結果、イオンモールを代表としたショッピングモールや郊外の幹線道路沿いにファストフード店、回転寿司、うどん店、ファミレス、パチンコ、コンビニ、ドラッグストア、レンタルビデオ店、百均、ファストファッションサラ金ATM、大型電器店、葬儀屋などが林立する光景はすっかりおなじみになりました。 

 

余談ですが、それを三浦展氏はファスト風土と名付けています。

 

 それらの多くは地域外の資本のため、そこにおカネを落としても大部分は速攻で地域外に出ていってしまいます。記事の中にも、京都市内の商店街で買い物した場合、1万円のうち半分以上の5300円が地元に還元されるけど、ショッピングセンターの場合はたったの2000円しか地元戻ってこないとか…。

 

京都で2割ですから、高知県の場合さらに低い割合である可能性が高いです。

 

それでは、自治体の税収も落ちる一方、地方が疲弊していくのも当然ですね。

 

郊外ショッピングモールはよく槍玉に上げられますが、それ以上に地方にも至るところに林立する大手コンビニチェーン(ヤマザキショップは除く)の方が、身近なところにあるだけにさらにタチが悪いです。いや、パチンコがもっともっとタチが悪いのですけどね…。詳しくは省略します。

 

コンビニは都市部にも多く林立していますが、地方でもこれだけ増えたのはクルマ社会だからこそでしょう。大型トラックを何台も停められる広大な駐車場を備えたコンビニはもはや至るところにあります。

 

本部が土地建物用意の契約タイプ場合(いわゆる「Cタイプ」契約)、ロイヤリティで粗利の半分以上も本部が吸い取り(それゆえ、人手不足でも根本的に人件費を上げれずオーナー家族の生活も苦しいそうです)、 地場の商品もほとんど仕入れません。配送の運転手も地域外からやってくる場合も多いです。最終的に9割くらいが速攻で地域外に出ていっていると推定されます。

 

セブンイレブンが高知に進出したと言って喜んでいる場合じゃないですよ(笑)

 

クルマ関連の高額な出費が他に回るお金を減らしている

 

記事では特に述べられていませんが(新書にはクルマを手放せば家計はかなり楽になると少し述べらています)、高額なクルマ関連の出費による実質の可処分所得減少も、地方の疲弊と衰退の原因であると、僕は考えています。詳しくは過去の記事をお読みください。

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

クルマの多額な出費により家計が圧迫されれば、他の娯楽等に回す余裕は少なくなり、食事や日用品等もディスカウントストアばかりになってしまいます。休日ともなれば、マクドナルドやスシローやGU単独で渋滞を生んでいるほどです。

 

 

クルマ本体の100〜500万円という価格は、家庭内の家電や家具を総取替えしても余るくらいの高額なものですし、普通車の自動車税年間4、5万円も、きちんとしたアウターを一着買えるくらいのいい値段です。

 

各種ロードサイドチェーン店が流行るのは、「クルマで行きやすい」という側面と「クルマのせいで使えるお金が減った結果、そういう店ばかりに行かざるを得ない」という2つの側面が相互に絶妙に絡んでいるのかもしれません。

 

さらに、クルマ関連に多額のお金を落としても、それが地域内で回るならまだマシです。しかし、実態はほとんどがすぐに地域外に流出してしまいます。高知県には自動車の製造工場は全くありませんし、当然原油は産出されませんし、精製工場もありませんし、保険屋も県外資本です。地元に落ちるのは、販売店、整備工場、ガソリンスタンド、保険屋の窓口くらいです。ほんとに「末端の中の末端」というレベルです。

 

結局、地方がクルマに過度に依存することって、地域経済にしてみれば二重苦じゃないですか!地域外の資本への消費で流出し、クルマ自体でも流出するという意味で。

 

さらに新書では、モータリゼーションの深化でコミュニティの崩壊による行政支出の増加と健康悪化による医療費の増加も述べられていたので、三重苦、四重苦とも言えますね。

 

出来るところから少しでもクルマ社会を緩和させて行こう!

 

新潟在住の「地方で暮らしちゃえば?」さんは、記事にてコンパクトシティ化を提案されています。

 

chihou-ijyuu-niigata.blog.jp

 

それが、地方の脱クルマにおいては究極の理想なんですが、都市の土地利用自体を弄ることになるため莫大な時間がかかります。どこから手をつけたらいいのかさっぱり分からないレベルです。

 

まずは、ソフト施策を中心に出来るところから手をつけていくしかないです。

 

高知市は郊外拡散が進んだとは言え、まだまだコンパクトシティな構造を維持しており、市街地内ならぶっちゃけマイカーは必須ではありません。路面電車もありますし、自転車でも十分移動できます。

 

まずは、自転車利用の促進でしょうね。何より思い立った日から即実行できます。インフラの整備というよりは、「クロスバイクだと結構な距離を快適に走れる」、「このルートが快適」、「自転車でこの区間の所要時間はこれくらい」などという情報を分かりやすく発信していくのがいいでしょう。

 

そして、公共交通も現状の貧弱なインフラでも、ソフト面を改善して利用しやすい仕組みを作っていくことが何より大切です。何よりも通勤で使いやすくすること、そしてクルマに依存しがちな家族連れに乗ってもらうための施策が欲しいところです。思い切って、大人と同伴する中学生以下の子供は無料にしてもいいくらいだと考えています。

 

とにかく、どれだけ脱クルマが推進できるかはともかく、少しでも脱クルマ社会に舵を切っていくという姿勢が重要ですね。