高知の公共交通を立て直すべく活動していきます!!
高知県内全体で「運輸連合」を結成して本当の意味で利用者本位の公共交通へ変革を成し遂げたい
今年2019年は、尾崎知事退任に伴い高知県知事が12年ぶりに交代します。高知市長も現職以外にも多数出馬を表明しており交代する可能性は十分考えられます。
この絶好(?)の機会に、高知の公共交通を立て直していくべく、団体(NPO法人を予定。名称は「土佐の国創生会議」としたいです。)を立ち上げる準備を始めて行きます!
(※2020年初頭、動きだそうとした矢先、新型コロナウイルスの影響で長らく保留状態でしたが、2022年3月活動再開いたします。ただし、NPO立ち上げは撤回し別の形で活動してきます)
具体的にどのように立て直すかと言いますと、全国初の「運輸連合(公共交通連合)」を結成して、高知県内の鉄道、路面電車、路線バス、離島航路等すべての公共交通(高速バス、タクシーは除く)を運営主体問わず、統一された情報案内、運賃体系で利用できるように変革を起こすべく活動していく予定です。
運輸連合とは何かは、説明すると長くなるので割愛します。以下のページ等を参照してください。
要するに、利用者にとっては「各路線の運営主体がどこであるか全く気にする必要がなくなる」わけです。異なる事業者やモードごとに運賃体系がバラバラで乗り換えたり途中下車すると高額になる現在と比べたら革命的なことですぜ。
高知の公共交通を立て直す活動をはじめる理念
さてさて、 高知の公共交通を再生していく理念は何なのかということを説明していきます。端的に以下の四つです。
・地方在住者の暮らしの改善(モビリティの確保、生活コスト低減、子育て支援、交通事故リスク低減等)
・地方公共交通の持続可能な運営
・高齢ドライバー対策
・地方の持続的な発展(産業振興、観光振興、若者の定着、移住促進等)
まず最初に「地方在住者の暮らしの改善」。
言い換えると「地方でもマイカーやバイクを持たなくても快適に移動できる社会にしたい」ということです。通勤通学、通院、所要、買い物、飲み、休日の外出、催し物へのアクセスなど日常の様々な場面で公共交通が当たり前に使えるようにし、地方中核都市圏を中心にマイカーやバイクを所有しないライフスタイルを地方でも常識にしていきたいと考えています。
その結果、生活コストが下がり実質の可処分所得は上がります。浮いた分を他の消費や投資に回すことができるようになります。交通事故のリスクも低下し日々の生活がより安全安心になります。
二番目に「地方公共交通の持続可能な運営」。
現在、高知県内の公共交通は様々な問題に直面しています。路線バスの深刻な乗務員不足、その原因の一つである待遇の劣悪さ、本数や運賃をはじめとした基本的な使い勝手の悪さ、減少を続ける利用者数、せっかく走らせてもあまり利用されない市町村営バス、老朽車両の更新もままならないとさでん交通の路面電車、赤字が続き世間に限界を訴えているJR四国など。
いずれも、これまでの公共交通における民営事業、独立採算の原則が地方では行き詰っている現象だと考えられます。早急にその延長線上のシステムを見直し「公共インフラ」「社会保障制度」として、地域社会全体で支え、持続可能な運営が可能な仕組みへ変革して行くことが求められます。
三番目は「高齢ドライバー対策」。
これに関しては、まったなしの状況です。大都市よりも高齢化が進んでいる高知県だからこそ急いで取り組んでいく必要があります。私も今年2月、幸い軽傷で済みましたがバイク運転中に高齢ドライバーが絡む事故を起こしてしまいました。
「高齢者にはなるべく公共交通に乗ってもらって高齢ドライバー自体を減らす」「現役世代も公共交通を利用してそのリスクを回避する手段を確保する」という二つの側面からも、公共交通をより使いやすいものにしていく必要があります。
四番目は「地方の持続的な発展」。
ここは簡単に説明します。
「若者のクルマ離れ」と言われて久しく、今の若者はクルマに幻想を持ってはいません。それどころか、大都市への若者が流出する一因に「交通の利便性」があげられているほどです。クルマに依存しなければならい構造を放置し続けるのはこの点からも大問題です。若者の定着を図るためにも、公共交通の利便性向上は重要事項です。
ご指摘のように、若年層が大都市圏に流出する大きな理由の一つが「公共交通の利便性」で、極めて切実な問題だと考えます。
— NAL(COMIC1・南3・H-17a) (@NAL_MUTHU) October 6, 2019
もし本気で人口流出を食い止めたい(あるいは、流出した人口の呼び戻しや、新規移住者の増加を図りたい)なら、この点を何とか是正していく必要があるでしょうね。
地方志向の若者は多いのですが、公共交通の利便性が低いことが最大の課題であることが浮き彫りになっています。https://t.co/3TtP1B1n6u
— 芳賀・宇都宮LRT情報 ~交通まちづくり宇都宮~ (@U_LRT) September 8, 2019
興味深いのは、働きたい分野の企業が地元になかったり、給与面で大都市圏のほうが優れているのも大きいが、地元で就職を希望しない最大の理由が都会のほうが便利だからということ。 pic.twitter.com/9q2bKFGYJc
— 抵抗勢力ナ立川ノエリミカブヌシ (@xv22tacica) May 29, 2019
移住促進においても、山間部等(※)はいざしらず、高知市都市圏については「公共交通が充実しているのでマイカーなしでも全然大丈夫です!」と胸を張って言えるレベルに到達するのが望ましいです。
(※)山間部等依然としてマイカーが必要になる地域向けに、軽自動車よりもイニシャルコスト、ランニングコストともに安価な「特定地域自動車」というカテゴリーを作るの望ましいと考えています。
「1日ごとの初乗り料金+距離比例式料金」の新運賃システム案
運輸連合が結成される最大のメリットは、なんと言っても運賃体系が地域内で統一されることです。乗り換えても、初乗り料金が嵩むということがなくなるため、気軽に利用できるようになります。
そもそも、旧来より続いてきた事業者ごとの運賃体系、区間固定式の定期券、ダイヤ設定、情報案内等は前時代的なものであり、移動ニーズが多様化した現代では使い勝手が悪いものになっています。結果として公共交通離れ、クルマ依存を引き起こしています。
移動距離が短くても、異なる事業者に乗り換えれば一気に運賃が高くなるのは、生活交通の視点からしたら不条理なことですし、定期券も「決まった区間を多く乗る人のみ割引料金で乗れますよ」という制度で、チェーン店勤務で日によって勤務場所が変わることがある場合や、自営業者が仕事であちこち移動する場合などには対応していません。高校生が部活の試合で定期区間外を利用する場合も割引されません。
そこで、より現代のニーズに合った運賃システムとして、ICカードの技術を活かして「1日ごとの初乗り料金+距離比例式料金」に移行することを提案します。乗り継いでも、途中下車して用事を済ませてまた乗っても、純粋に移動距離に比例した運賃となります。ICカードが登場したからこそ出来る運賃システムです。
なぜ、この運賃システムを推しているかと言いますと、この方式が最もシンプルかつ公平だからです。「ゾーン制」は、利用者がゾーンを覚える必要があり、ゾーン内外で不公平が生じてしまいます。高知のICカード「ですか」で導入されている「乗り継ぎポイント割引制」も同様に、利用者がそのポイントを覚える必要があり、ポイント以外での乗り継ぎや途中下車には対応していない課題があります。
では、交通政策では有名なドイツ・フライブルク市都市圏で導入されている「レギオカルテ」はどうか?「環境定期券」とも呼ばれるエリア定額のパスで、かなりの広範囲を安価に利用できるという素晴らしく魅力的なものですが、残念ながら運行経費に対して運賃収入の割合が低くなるため(独立採算的に言うと大赤字!)、その部分をカバーする財源がない現在では導入困難です。
最終的には、「公共サービス」「社会保障制度」として独立採算によらない公共交通サービスを実現することを目標にしていますが、当初は運行経費の8~9割以上を運賃収入で確保できる体制とするのが望ましいかと思われます。どれだけの運賃収入の確保を考えているかは後ほど説明します。
(2022年3月26日追記)
2022年3月現在、運賃体系案について一部考えを見直しているため、追記いたします。詳細は、高知の公共交通再生プロジェクト【その4】新運賃体系案・前編をご覧ください。
(追記ここまで)
具体的な運賃案ですが、上の表のように住民(県民)の距離比例の基本運賃を「1km=10円(税込)」と設定し、家計負担軽減の観点から学生等はさらに安価に設定しています。土休日については、マイカー利用からの転換を促すため、一般の方も若干割り引いています。
1日ごとに初乗り料金を設定しているのは、高知市内などで近距離のみ移動の場合、あまりにも安くなり過ぎることを防ぐためです。収入確保の観点から、積極的な利用を阻害しない程度に初乗り料金の設定を考えています。
現在の高額な運賃水準からすれば、安すぎるように感じますが、JRの通勤定期はそれよりも安価な場合が多いです。例えば、JR四国の片道20kmの1ヶ月通勤定期は10,730円(10%増税前)ですが、25日往復使用とすると1日1kmあたり10.73円となり、3ヶ月定期になれば同じ条件で10円を切ります。JR東日本などではさらに安価なものになっています。また大手私鉄では、通常の運賃自体がそれより安価な場合もあります。(例えば、阪急電鉄の大阪梅田~京都河原町間47.7kmの運賃は400円と1km=10円を切っています。)
「マイカー利用から転換を促す」「通勤手当のないパート従業員でも通勤利用できる」「年金暮らしの高齢者が通院などで利用しても大きな負担にならない」「学生さんが通学のためにマイカーや原付バイクを買わずに済む」など、庶民の足として最大限活用されるには、この程度の運賃水準が妥当と考えられます。
大きな特徴は、県民と観光客等(※)で運賃を変えていることです。また、家族での利用促進(=休日のマイカー利用削減、土休日を若干安く設定しているのはそのためです)、子育て支援の観点から同伴の子供については無料とし、定期券という古い仕組みは廃止とします。多く利用された方には、利用額に応じたポイント還元も考えています。
(※)ICカードは、SUICAやPASMO等と相互利用できるものに改修するのが前提です。
この運賃システムが導入されれば、具体的には以下のように変わります。
<「1km=10円」適用時の現行運賃からの変化例>
高知~奈半利(53.1km):1330円→531円
高知~中村(115.1km):2550円→1151円
はりまや橋~後免町(11.0km):460円→110円
土佐山田~高知~はりまや橋(16.1km):560円(360円+200円)→161円
馬路村役場前~安芸市役所前(約30.5km):1250円→約305円
堺町~土佐市役所前(約15.2km):870円→約152円
※現行運賃は10%増税前、変化後は距離比例部分のみの運賃
現在とは比べ物にならないほど、安価になります。短区間でも気軽に公共交通に乗れるようになります。
高知市(山間部は除く)においては、バス路線が改善されカーシェアリングも拡充さていけば、ほとんどの地域でマイカー所有が不要になるでしょう。
安芸市や須崎市などでも、市街地に住んでいればマイカーなしで生活可能になります。市街地内はもともと自転車があれば十分な広さですし、高知市などへ出かける時は、鉄道が気軽に利用できるようになりますからね。アフターファイブに高知市内の飲み屋街へふらっと行くことも可能になるぜよ!
馬路村など山間部の本数が少ない路線であっても、運賃が常識的な水準になるため安芸市へ行くときにマイカーでなくバスで行くという選択肢も生まれます。運行本数が今より改善されれば、山間部でもマイカーなし(作業用の軽トラのみ所有)という選択肢も可能になります。電動アシスト自転車も劇的に進化しており、集落内はそれで十分移動できるほどになっています。
運賃面だけとっても、運輸連合の実現で県民の暮らしは劇的によくなるぜよ!!
運賃収入の目標は年間150億円以上!
「魅力的だけど、こんなに安くしたら運賃収入が大幅に減ってそれこそ運営困難になるのでは?」
そう思わる方かもいらしゃるかと思います。確かに、公共交通の利用者数が現在と変わらなければ、その通りです。
しかし、前述のように運賃面では安くなる上に乗り換えても実質通しになります。ダイヤも連携をとり、情報案内などもより分かりやすくします。現在よりも利便性は大きく向上します。同時に、通勤通学やイベントをはじめとして様々な場面において、マイカー利用からの転換を促していきます。特に、一度に多くの人が集まるイベントこそ「公共交通で行くのが常識」にしていくべきです。
結果として、現在とは比べ物にならないほど、利用者数が激増することは容易に想像できます。マイカー利用や自転車利用からの転換だけでなく、高齢者が積極的に外出するようになる、飲みに行く人が増える、観光客がさらに増えるなどの新規需要も誘発されます。どれだけ増えるかは、今後調査していく必要があります。
現在、県内の公共交通全体を全部合わせても年間50~60億円程度(とさでん交通路面電車は年間10億円強、土佐くろしお鉄道は全線で年間7億円弱ほどの収入しかありません)しか稼げていないと推計できますが、新運賃システムが導入されれば、当初より年間100億円を超えるのではないかと考えています。
距離比例式運賃の「1km=10円」で考えれば、70万人の県民1人あたり、1日たったの4km公共交通に乗れば、年間収入100億円は達成できます。1ヶ月では1人あたり120kmです。毎日、片道20kmを通勤する人は、休日も含めて月間25日利用すれば月間1000kmとなり、1人で8人分以上の距離を達成しています。普段公共交通に乗らない人でも、月に1回、高知~中村を往復するだけで120kmを軽く超えてしまいます。
上の表のように、初乗り料金分や観光客等も含めれば、年間170億円以上になっても不思議ではありません。利用者が増えれば、駅や車内の広告需要も増え料金もより高く設定できるため、広告収入の増加も期待できます。
目標値は、ひとまず「年間150億円以上」と設定します。
目標達成のためには、継続的に利用距離が稼げる通勤通学での利用促進が何よりも重要になり、次に一度に多くの人が集まるイベント時におけるマイカー利用からの移行促進も必須になります。
導入当初は黒字運営が期待できる!
年間150億円まで収入が伸びなくても、年間100億円の収入があれば当初は結果的に黒字となるとが期待できます。人手不足のため、利用者が増えたからと言って直ちに増発やバス路線の拡充は困難なため、人件費が大幅に増えるわけではないからです。ICカードシステムの改修・新規導入費用は初年度の黒字分で回収できると考えています。
当面は、行政にとっても大きな財政負担が必要ない(事前調査費くらい?)と考えられる点も魅力的です。現在支給されている事業者への補助金も赤字の穴埋めから前向きな設備投資に活用できるようになります。
しかしそれに胡坐をかくことなく、「公共サービス」「社会保障制度」の理念に則って、増発やバス路線の拡充などソフト面の充実、老朽車両の更新、鉄道の電化や複線化、空港アクセス鉄道新設、桟橋線の南北延伸などのインフラ投資も必要になってきます。そこで、財源の裏づけが必要になってきます。
さらに詳しくは次の記事にて
次の記事では、団体についてどのような形にするか、どのような段階を経ていくかについて述べていきます。