地方の公共交通を立て直す!@高知家

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

高知の公共交通再生プロジェクト 【その2】公共交通再生の理念

【その1】から続きます。

 

【その1】でも述べたように、公共交通連合結成により、地方においても公共交通機関の利便性を大幅に改善し、通勤通学、ビジネス、買い物、休日の外出、観光など様々な場面で快適に公共交通を使えるようにし、クルマがなくても生活できる地方社会に変えていきたいと考えています。

 

現状では、高知市内に居住していても公共交通が不便なため最低でも一家に一台はマイカー必須です。なかなか問題が表面化することはありませんが、マイカーは、購入費も維持費も高額で家計に重くのしかかっていますし、交通事故のリスクも高く様々な問題を抱えています。

 

ここで詳しく述べるのは避けますが、クルマに依存した社会は他にも、慢性的な渋滞、土地利用の浪費、スプロール化によるインフラ維持コストの上昇、地域経済の疲弊などと様々な課題を抱えています。

 

それゆえ、公共交通が改善されればクルマ社会の様々な問題を解決することができます。

 

以下に、公共交通を再生していく理念を述べます。

 

1・家計はじめ暮らしの向上(マイカーを断捨離可能に!)

 

端的に述べますと「地方でもクルマやバイクを持たなくても快適に移動できる社会にしていきたい」ということです。

 

通勤通学、通院、所要、買い物、飲み、休日の外出、催し物へのアクセスなど日常の様々な場面、そしてビジネス利用でも公共交通が当たり前に使えるようにし、地方中核都市圏を中心にクルマやバイクを所有しなくても生活できる社会を目指していきたいです。

 

その結果、生活コストが下がり実質の可処分所得は上がります。浮いた分を他の消費や投資に回すことができるようになります。個人的には、ファッション関係にもっとお金回っていいと思ってますし(売れてるのはユニクロ、GU、しまむら、ワークマンばかり…)、日本の住宅事情は断熱性能などがまだまだ貧弱であるため、住宅・インテリア関連にも回るとよいと思っています。

 

ご存知の通り、マイカーの維持費はかなりのもので、多くの家庭において大きな負担になっているかと思います。ローン、保険料、税金、駐車場代、消耗品代、修理代、燃料代、反則金…もろもろ合わせれば、年間50万円以上かかる場合も珍しくありません。

 

この30年間、所得が上がらない中、消費税は上がり、社会保険料も上がり、可処分所得は下がっています。昔と違い携帯電話、スマートフォンの負担もあります。そんな中、クルマ本体の価格もガソリン代も高くなり、マイカーの維持費はより高いものになっています。

 

「クルマが趣味」「アウトドアで大いに活用している」という方は、それでも許容できるでしょうが、あくまでも通勤や買い物の移動手段と捉えている方にとっては、「なんとかならないか」というのが実情ではないでしょうか。

 

2・子育て支援(同伴の子供は運賃無料としたい)

 

詳しくは後々に述べますが、公共交通連合構想の運賃について、大人同伴で乗る場合は子供運賃は無料とし「家族連れでも気軽に利用できる公共交通」を実現していきたいと考えています。

 

現状、子供運賃は大人の半額ではありますが、家族で公共交通を利用した場合、短区間であっても非常に高額になり(大人2人と子供2人で大人3人分になります)、マイカーを持っていれば公共交通を利用すること自体が現実的ではありません。

 

家計支出の改善でも述べたように、マイカーの維持は高額であり、特に子育て世代は何かと他の支出も多く、その維持は楽ではないかと思われます。

 

子育て世代においても、マイカーを持たなくても(もしくは一家の台数を削減する)済む環境をつくっていきたいです。

 

3・高齢ドライバー対策(免許返納しやすい環境づくり)

 

2019年の池袋での事故を契機に、高齢ドライバーによる交通事故は大きな社会問題になっていますが、公共交通が不便な地方ではなかなか免許返納まで踏み切れないのが現状です。それでも「○歳までにクルマの運転をやめたい」と思っている方は、結構いらっしゃるようです。

 

今後さらに高齢化が進行すると、より問題は深刻になると予想されます。「免許返納しやすい環境づくり」として公共交通の改善は急務です。

 

4・人口減少対策(移住しやすい環境づくり、若者の定着)

 

公共交通が不便ゆえにマイカー必須な現状では、高知県内へ移住にあたって、住居探しに加えてマイカーの入手が必要になります。(高知市内であれば自転車があれば十分生活はできますが、マイカーがないと郊外部へのアクセスがやはり不便です)

 

運転免許を取得していない場合は、新たに免許の取得からはじめなければならず、移住における大きなハードルになっているかと思われます。

 

「移住しやすい地方づくり」として公共交通の充実は欠かせません。山間部等はともかくとして高知市都市圏については「公共交通が便利なのでマイカーなしでも全然大丈夫です!」と胸を張って言える状態になるのが望ましいです。

 

また、「若者の車離れ」と言われるようになり、都会ではマイカー所有どころか運転免許も取得しない若年層が増えています。地方では現状、マイカーは必需品であるため、表面上は車離れしていませんが、地方から若者が流出する大きな要因の一つに「交通の利便性」があげられているほどであり、マイカー所有をあまり積極的に捉えていないことが分かります。

 

5・観光活性化、アフターコロナにおける観光立て直し

 

コロナ禍以前より、高知県内において観光客の移動手段はマイカーやレンタカーが中心であり、公共交通を利用しての観光は不便なのが実情でした。これまで聞いた話でも、マイカーやレンタカーを利用しない人はせっかく高知へ来ても、ひろめ市場や高知城などごく狭い範囲だけを観光して帰る人が多かったのではなかったかと思います。(五台山や桂浜すら足を伸ばしていない場合も多いかと思われます)

 

先ほども述べたように、都会では「若者の車離れ」と言われて久しくクルマに対しての憧れも薄れていますし、高齢化もさらに進みます。インバウンド(外国人観光客)も勝手を知らない土地での運転には不安があります。マイカーやレンタカー中心の観光だけでは、今後厳しくなるのではないでしょうか?

 

<参考記事>

www.okinawatimes.co.jp

 

コロナ禍により疲弊した観光業界立て直し策として、都市部の「車を運転しない層」を新規開拓し、旅行先として優先的に高知を選んでもらうためにも、公共交通の利便性向上はより重要になってきます。高知が地方の中で先駆けて公共交通利用で観光できる環境を整えれば、それだけ他の地方に比べて優位に立つことができます。アフターコロナにおけるビッグチャンスと捉えています!

 

統一された運賃体系、連携のとれたダイヤ、分かりやすい情報案内等により、柏島足摺岬、梼原、本山、馬路村、室戸、甲浦など県内の末端地域にも容易にアクセス可能な公共交通を目指していきたいです。

 

また、キャンピングカーやバイクツーリングなどクルマやバイクを使って観光する層に対しても、住民や帰省客を公共交通利用へシフトさせることによって、観光シーズン時でも渋滞しない快適な道路環境を提供していきたいと考えています。

 

公共交通で楽しめる高知県へ!目指そう、800万人観光!

 

6・公共交通の持続的発展、従事者の労働環境改善

 

コロナ禍前より、高知の公共交通は様々な問題に直面しており、このまま行くと公共交通が崩壊する懸念も出始めていましたが、コロナ禍による急激な利用者減により一気に早まっていましました。

 

もはや、独立採算、民営事業の原則では維持は難しく、早急に「公共インフラ」「社会保障制度」として社会全体で支え持続可能な仕組みへ変革していくことが求められます。

 

しかし、クルマ中心社会で多くの人が公共交通を利用しない中、公共交通に多額の税金を投入することに根強い批判もあります。だからこそ、先行してダイヤ、運賃体系等を使いやすい仕組みに改善して、利用者が大幅に回復した実績をつくることが重要になってきます。

 

「日々、多くの人に利用され、公共交通が社会の中できちんと役目を果たしている」ことが実証されれば、積極的に公共交通に投資していく機運も生まれるでしょう。

 

また、公共交通の持続可能な運営には、従事者の労働環境を改善し人手不足を解消することも欠かせません。賃金を大幅に上げるのは今すぐは難しいかもしれませんが、せめて信用乗車方式の導入による接客業務からの解放案内放送の自動化GPSや画像認識を活用してボタン操作不要にできないだろうか?)で、業務負担を減らせればと考えています。

 

7・その他(SDGsへの対応、カーボンニュートラル中心市街地活性化、防災)

 

この辺はオマケです。防災以外は筆者としてはそこまで重視していませんが、高知県カーボンニュートラルの実現を発表し、SDGsも昨今取りざたされていることも踏まえ盛り込んでおきます。

 

www.pref.kochi.lg.jp

www.pref.kochi.lg.jp

 

防災面では、津波による被災リスクの高いとさでん交通桟橋車庫の移転もしくは高架化やJR土讃線の須崎付近の高架新線切り替え等が必要と考えています。

 

【その3】へ続く

 

【その3】公共交通連合について