地方の公共交通を立て直す!@高知家

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

高知の公共交通再生プロジェクト【その6】新運賃体系案・追記

【その5】から続きます。

 

新運賃体系導入後の運賃例

 

距離比例式の新運賃システムが導入された場合、運賃がどのように変化するか高知駅を起点にして列挙してみました。

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ご覧のとおり、県民(住民)利用については現在とは比べ物にならないほど、安価に利用できるようになります。長距離でも短距離でも気軽に公共交通を利用できるようになります。本来、公共交通というものはそうあるべきだと思います。

 

高知市においては、路線バスの本数やネットワークが改善され、カーシェアリングサービスの普及が進めば、山間部を除くほとんどの地域でマイカー所有が不要になるでしょう。休日に、公共交通利用で高知県各地へ遊びに行くことも現実的になります。

 

安芸市土佐市須崎市四万十市などの小都市でも、市街地やその周辺に住んでいればマイカーを所有しない選択肢も可能になります。市街地内は平坦であり自転車があれば十分移動できる広さですし、高知市などへ出かける時は、鉄道が気軽に利用できるようになります。アフターファイブに高知市内の飲み屋街へふらっと行くことも可能になります!

 

馬路村など山間部の本数が少ない路線であっても、運賃が常識的な水準になるため用事で安芸市へ行くときなど、マイカーでなくバスで行くという選択肢も生まれます。運行本数が今より改善されれば、山間部でもマイカーなし(作業用の軽トラのみ所有)という選択肢も可能になります。電動アシスト自転車も劇的に進化しており、集落内はそれで十分移動できるほどになっています。

 

運賃面だけとっても、公共交通連合の実現で県民の暮らしは劇的によくなると確信しています!!

 

観光客等に関しては、「1日ごとの初乗り200円+距離比例1kmあたり15円(繁忙期20円)」と県民よりも高めの設定を考えていますが、それでも現行運賃よりも安価になる上、運賃体系が統一されるので安心して利用できます。高知市内から安芸市方面、須崎方面、幡多方面へも足をのばしやすくなります。

 

「こんなに安くして収入は大丈夫なのか?」と疑問に感じられたかもしれませんが、後ほどの記事で詳しく述べていきます。

 

運賃体系共通化・定期券廃止によるメリット

 

◆ 利用者側のメリット ⇒ 行き帰りで違う経路を選択可能に!

 

2021年11月から翌1月末までの日祝日において、電車バス無料デーが実施されていた時のことです。

 

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(電車バス無料デーポスター)

 

ある知り合いの方の話ですが、高知市中心街の事業所で勤務しておりJR土讃線の「高知商業前~高知」間を通勤定期利用で通勤しています。ちなみに高知駅から中心街までは徒歩で移動しています。

 

ある無料デーの実施日、「今日は路面電車が無料なのでそれで帰ろうと思っている」と話されていました。

 

なるほど、無料ゆえに追加出費の必要がなく、運営会社に縛られず状況に応じて最も合理的な交通手段が選べます。無料デーの思わぬ副次的効果です。

 

無料とはいかなくても、運賃が距離比例式になり定期券の縛りがなくなれば、それと同様のことが可能になります。

 

鉄道とバスが平行している場合、出勤時はA社運営の鉄道ダイヤがちょうどよく、帰宅時はA社の鉄道よりもB社運営の路線バスがちょうどよい時刻に出る場合でも、定期券の場合はどちらかの運営会社の路線に縛られるので、そのような使い分けはできません。

 

公共交通連合により、事業者問わず統一された運賃体系と定期券に替わるポイント還元による割引方式を導入すれば、出勤時と帰宅時で交通手段を適宜選べるようになりますし、買い物等で寄り道した場合も定期券が有効な路線まで戻って乗らなくてもよくなります。

 

◆ 運行側のメリット ⇒並行する鉄道とバスの役割分担を明確にできる!

 

現在、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線、中村宿毛線ともに並行して路線バスが運行されています。鉄道があってもきめ細かく停まる路線バスはなくてはならないものですが、実際には双方がバラバラに運行され共に本数も少なく、少ないパイを奪い合っているようにも思います。

 

それも、公共交通連合により運賃体系が統一されれば、両者の役割分担を明確にした運行体系が可能になります。

 

例えば、中村宿毛線において、各駅停車は通勤通学の需要がある朝夕のみの運行とし、それ以外の時間帯は、宿毛~中村~窪川~高知方面を結ぶ速達列車(これは快速化が望ましいと考えています)のみの運行とし、間の部分は鉄道よりきめ細かく停まる路線バスに任せるのがベストだと考えています。

 

ごめん・なはり線については、前者とは少し異なる考えで昼間時は各駅停車のみの運行とし(需要が増えた場合は快速も運行)、並行する高知東部交通が運営する路線バス「安芸線」のルートを変更し香南市営バスや安芸市営バスとの重複を解消するのが望ましいと考えています。

 

f:id:nomotoyasushi:20220330130236j:plain(安芸線ルート変更案)

 

f:id:nomotoyasushi:20220330130623j:plain香南市営バス路線図 香南市ホームページより)

 

例えば、香南市夜須町では国道区間でほぼ安芸線と市営バスがほぼ重複し、同香我美町~赤岡間では、安芸線は国道を市営バスは主に旧道を通り、ほぼ同じ区間を3つの公共交通機関が運行しています。その中でも安芸線は、速達のごめん・なはり線、きめ細かさの市営バスの間に挟まれた中途半端な存在になっています。

 

それゆえ安芸線に関しては、、よりきめ細かい運行とバス同士の重複を解消するため、夜須町手結や住吉の集落内を経由、香我美町岸本間は旧道を経由とし、赤岡町~野市町間も野市中央病院等へのアクセス向上やみどりの団地近辺の需要を拾うことを視野に入れて、野市中央病院前を経由するのが望ましいとよいと考えています。また、夜須駅にてごめん・なはり線と緩急接続を図るとよいでしょう。重複が解消すれば、市営バスも他路線の充実にリソースを割けるようになります。

 

同様に、芸西村内も内陸部の役場や小学校前を通るルートに、安芸市内も穴内の台地上を経由するルートに変更が望ましいと考えています。

 

【その7】へ続く

 

【その7】情報案内の一元化