地方の公共交通を立て直す!@高知家

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

土佐電気鉄道、最後の株主総会で新会社へ向けて公共交通のあり方を提案をするも、社長(現とさでん交通社長)の露骨すぎる聞く耳持たずの態度にがっかりさせられた件。

 

今はなき高知県の鉄道会社である土佐電気鉄道の株主でした。

 

2014年10月、「とさでん交通」として再スタート

 

2014年10月1日、子会社である土佐電ドリームサービス、そしてこれまでも何度も統合が検討されながらも頓挫していた高知県交通(通称「県交」)の3社が遂に経営統合されました。

 

共同新設分割方式にて新会社として再出発し、旧会社は後に精算。これまでの株主の権利は一切合切消滅となってしまいました。

 

2013年3月に発覚した事件(総会屋の株主に対して、当時の社長が暴力団(故人)の名前を出して脅したことが発覚した事件。詳しくは各自調べてください)がきっかけとなり、年内に当時の社長は辞任。翌2014年1月には、元高知県理事の片岡万知雄氏が後任として社長になってから、わずか半年で統合が決定するという、これまでのことを考えたら信じられなくらいの急展開で事は進みました。

 

当時の社長がそこまでして脅してしまったのは、同じ土佐電鉄の元株主の要求が原因でした。高知では有名なとある総会屋です。知っている限りでは、要求はあまりにもメチャクチャ。当時の社長の行動も心情的(あくまでも心情的にですよ)には理解できるレベルですよ。

 

何かと悪いイメージがあったので、土佐電鉄の株主であったことは正直なところ、あまり公表したくはありませんでした。しかし、高知の公共交通がよりよくなるためにも、以下の事実は公表に踏み切った方がよいと判断し、今回ブログにて公表することにしました。

 

ただの紙切れとなった株券

 

株主であったという証拠に、持っていた株券のうち1枚をここに掲載します。もはや、ただの紙切れに過ぎませんので、見本を入れるなど特に加工はしませんでした。

 

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2006年8月に、祖父から相続して株主となりました。同時に、親戚の方が持っていた株券も譲渡を受けています。

 

土佐電鉄はそもそも、ずっと赤字が続きで補助金で延命していたような会社です。配当など大昔からありません。それでも、持ち株数に応じて株主優待乗車券が配布されていましたので、中高生時代は時々、土佐電鉄路面電車・バスに乗るのに(通常はスクールバス通学ですが、帰りに利用することは稀にありました)随分重宝していました。ほぼ半年くらいは、これで持っていたように思います。

 

株主である恩恵は事実上何もなし!

 

その株主優待乗車券も、2005年度から休止となってしまいます。

 

つまり、ぼくが株主だった間、事実上何の恩恵もなかったわけですよ(笑)

 

あっても株主総会に参加する権利、株主として発言する権利くらいでした。しかし、事件が起こり統合の話しが出てくるまでは、特に株主総会にも行かず(議決書は送っていましたが)、静観していただけでした。

 

土佐電鉄単独で公共交通を立て直しできるはずもなく、行政が強力に動かないことにはどうしようもないことは分かっていたので、半ば「何言っても無駄!むしろ、一旦潰れた方がよくなるんじゃないの?」というあきらめの気持ちもありました(笑)

 

高知県交通との統合が検討されるも、その度に立ち消えに…。何も変わらず、しかし乗客減に悩まされながら、そのままズルズルと行くのでは…、と思われていたところに、あの事件が起きました。この件一つで、全く進まなかった話しが急に進んだのですから、皮肉としか言いようがありません。

 

連日の新聞報道も、どうにも歯がゆい内容ばかり

 

2014年4月初頭、新社長が就任してからわずか3ヶ月、高知新聞でこのように報道されました。

 

土佐電鉄高知県交通の統合を視野に入れて協議を進める」

 

記事内容を読みますと「両者とも、もはや単独での事業継続は限界で、統合しか残された道はない」というようなニュアンスでした。

 

あまりの急展開に驚きながらも、

 

「統合すればええやん!!そうすれば、高知市のバス路線網もシンプルにできるし、電車とバスの連携もしやすくなって、全体の使い勝手を向上できるやん!」

 

と、真っ先に思いました。そもそも、

 

土佐電鉄高知県交通の二社に分かれていることが、高知市や周辺のバス路線の使い勝手をものすごく悪いものにしている。統合して電車とも役割分担しつつ、シンプルで使いやすい路線網に再編すべし!運賃も、通し運賃や電車・バス共通の一日乗車券を販売するなどして乗りやすくすべし!」

 

と考えていただけに、「これは大きく前進した!」と思いましたね。その時はね。

 

株券が、ただの紙切れになってしまうことも、

 

「もともとメリット皆無だったから、もう別にかまわん」

 

先述のように、もはや株主優待乗車券すら配られてなかったような状態で、すでに紙切れ同然でした。権利を一切失ってしまうと聞いても、別に何とも思いませんでした。「ああ、お好きにどうぞ」って。

 

だが、新会社へ向けての動向は気になります。これまでの高知の公共交通のあり方をブログなどで書いてきただけに、統合をきっかけに、どのような施策を打っていくのかは目が離せません。

 

個人的にも「統合をきっかけに、生まれ変わってほしい。利便性を大幅に向上させて、多くの人に利用される公共交通になってほしい。最終的には、公共交通で快適に移動できるクルマいらずの高知市都市圏になってほしい」と考えていました。

 

しかし、連日の新聞記事を見ていても「人口減により今後も乗客減が続くと予想」「路線バスは今後も赤字が続く」「合理化で経費削減を進めて黒字化する」「電車は現状を維持する」「バスの走行距離を削減する」などと、悲観論、消極策ばかりが目立ちます。

 

特に「乗客減が続く」というくだりには「ああ、マイカー利用者を取り込んで乗客を増やす気などさらさらないのだな…」と、ものすごくガッカリしましたね。

 

暗に「これまでのやり方を今後も変えません」と言っているわけですからね。事実、電車の方は「今後も現状維持で行く」と公言していましたし。

 

統合にあたっては、県民の税金を県と市町村合わせて10億円投入し、金融機関もかなりの額(約28億円)を債権放棄しています。そこまでしておきながら、明確な利便性改善や収益向上につながる具体策が、全くもってないのはどうかしてますよ。いずれは元の木阿弥になってしまう懸念大です。

 

いちばん歯がゆいのは、やはり「マイカー利用者を公共交通に取り込んでいく」と一言も言わないことです。

 

高知市の通勤通学の交通分担率で、公共交通はわずか2〜3%に過ぎません。一方で、マイカーは45%くらいで自転車も30%くらいあります。その1割でも、公共交通に取り込めたら利用者は激増となるわけで、マイカー利用者や自転車利用者は「宝の山」と言えます。

 

休日のイオンモールに、あれだけ大量のマイカーが集まり、周辺道路も渋滞しています。反面、イオンに発着する路線バスは言うほどは利用されていません。その5%でも公共交通にシフトすれば、やはり大幅な利用者増へとつながります。

 

一旦、利用者が増え収益も改善すれば、さらなる利便性向上が可能になり、さらにマイカー利用者を取り込んで利用者を増やし、より増収へつなげていくことも可能となります。老朽化した設備や車両の更新で頭を抱えることも減るでしょう。

 

経営の抜本的な改善には、マイカー利用者を取り込んで利用者を大幅に回復させる以外に道はないと考えられるのですが、それに関して一言も言及しないのには、非常に歯がゆく思っていました。

 

統合すれば、45万人規模の人口を抱える高知市都市圏の公共交通をほぼ独占することになります。腐っても県都高知市、人口希薄地帯とは訳が違います。阿佐海岸鉄道土佐くろしお鉄道中村・宿毛線が赤字なのとは訳が違いますよ。それでいながら、まるで使い物にならず、乗客が減り続け、赤字も解消しないのであれば(あまりにも便利すぎて赤字が出てしまうというのなら仕方ないですが)、仕組みがあまりにもマズすぎるとしか言いようがないです。

 

都市圏全域で独占するがゆえに、ダイヤ、運賃体系は一元化しやすくなります。住民のニーズをきちんとつかむことができたら、安定的に稼ぐことは可能なはずです。県民の税金を投入した以上、利便性を向上させ県民の幅広くニーズに応えるのは最重要項目のはずですよ。

 

このままだと、何も良くならないばかりか、旧会社の二の舞になってしまう…。

 

「せめて最後に言っておかねば!」と、提言書まで作成して株主総会に挑みました!しかし…

 

もはや静観できなくなり「株主の権利が生きているうちに社長に言っておかないと!」ということで、6月末の株主総会で発言する準備を開始しました。

 

まず下準備として、高知新聞の読者欄に投稿。2014年6月2日(月)朝刊に以下の内容で掲載されました。

 

【公共交通、再生の道】

 

いろいろ経緯はありましたが、ようやく土電と県交通が統合し、新会社として再スタートすることになりました。

 

しかし、利用者数は今後も年々減少し続けるという悲観的な予測をされていますが、本当にそうでしょうか?私は、決して地方の公共交通の未来は暗いとは思いません。やり方次第で、利便性を大きく向上させれば、利用者も戻ってくると考えています。

 

いくら利用者が減少しているといっても、交通需要そのものが少ないわけではありません。道路は相変わらず大量の車であふれかえっています。それを、公共交通利用へ切り替えてもらえる仕組みをいかに構築していくかが、再生への近道になるでしょう。通勤・通学のみならず、家族での外出、観光、ビジネスと幅広いニーズに対応することが求められます、県民の税金を投入して出直す以上、さまざまな場面で誰もが気軽に使える公共交通へ進化を遂げてほしいと思います。家族連れでの利用促進と子育て支援も兼ねて、家族連れの場合、小学生以下は無料などの施策もあっていいでしょう。

 

ガソリン代は高止まりを続け、維持費も非常に高額で、マイカーの所有は大変です。事故や故障など煩わしいことも多々あります。公共交通を再構築して、マイカーがなくても快適に暮らせる地方社会へ転換していくことを切に期待しています。

 

新聞の投書なら、社長はじめ関係者にも読まれるはず。そう思っての投書です。今後、少しでもこの意見を反映していってほしいと期待を込めました。

 

そして、6月27日(金)の株主総会へ向けて、口頭で発言するだけでもよいですが、確実に記録に残すべく、レジュメを作成し配布することにしました。内容はかなり練ったので、A42枚ですが作成には丸々2日かかってしまいました。

 

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長くなりますので、詳細については省略します。こちらのブログで詳しく述べられているので、参照してください。

 

blogs.yahoo.co.jp

 

一言だけ言いますと、開始途中から例の総会屋がやって来たわけですが、質疑応答に入ると会場は大荒れもいいところ(笑)噂の通り、言いたい放題ですわ…。

 

あまりにもしつこい総会屋に対して社長は「さらにしつこいようであれば、退場を命じますよ!」とまで言い出す始末。そしたら総会屋は「もし追い出したら、あとでどうなるか覚えとけ!!」と。結局、追い出しはしませんでしたが、社長は相当キレてましたね。

 

ぼくは、先に総会屋をはじめ他の株主の発言を聞いていたので、自分が発言する頃にはもはや正午を回ってしまう始末に…。予定時間を超過していたので、結果的にレジュメは配りはしたものの、「簡潔に」と言われたので、十分に話せず3分の1くらいのところで「とにかく県民の税金を投入するのだから、誰もが気軽に使えるように改善してほしい」と言っただけで終わりました。

 

そしたら社長の反応は「今後の議論の参考にする」。ほぼそれだけです。先ほどのリンク先のブログにもありますが、ほんとそれだけの素っ気ない返答でした。「乗客減が続く中でも合理化で黒字化できると言うけど、ほんとに大丈夫か?」という問いにも「専門家がきちんと試算している」と答えるだけ。

 

時間が推していたとは言え、軽くあしらわれたのにはがっかりしましたね。あからさまに聞く耳を持たないという態度が見え見えでした。先ほどまでの、総会屋とのやり取りで相当苛立っていたのはわかりますが。

 

長くなりますが配ったレジュメの全文を掲載します。誤字を訂正した他は、変えていません。

 

【2014年6月27日 土佐電鉄株主総会 発言内容】

 

香南市夜須町在住の野本靖と申します。今後の新会社のあり方について具体的な提案をしたいと思います。一株主というよりは、一県民として、一利用者として、優れた公共交通へ進化してもらいたいという想いから、真剣に提言します。ちょっと長くなりますが、よろしくお願いします。

 

まず、新会社へ統合の流れは、大いに支持します。県民の足を守るには、統合以上の優れた策は、もはやないと言っても過言ではないでしょう。

 

しかし、どうにも歯がゆい思いは残ります。それは、公共交通がどう変わるか、どんなに便利になるかというビジョンがまるで示されていない点です。消極策ばかりが目立ち、積極的な展望が見えないのは致命的です。路線バスも、今後走行距離を削減するということですが、明らかに消極的な方向に向いています。利便性向上がまるで期待できないのは残念です。

 

合理化とコスト削減で、4年目には黒字化する予測を立てていますが、そんなに上手くいくでしょうか?利用者減が想定以上だったり、さらに電気料金や原油価格が高騰すれば、その前提は一瞬で崩れてしまいます。頼りの高速バスも先行き不透明です。電車も、省エネ、省メンテナンスともに無縁な旧式電車ばかりで引っ張り続けるのはもう限界ではないでしょうか?

 

今の延長線上のままでは、利用者の減少が続く以上、結局行き詰まってジリ貧に陥るのは目に見えています。自治体にしても、補助金を出し続けないといけないですし、遠くない将来に追加出資を迫られる懸念もあります。「これまでの二の轍を踏むのか?」ということです。

 

電車、バスともに今後も乗客は減少し続ける、特にバスは赤字は避けられないという予測はあまりにも悲観的です。今のままの仕組みだと、確かにそうなるでしょうけど。

 

どう考えても、対症療法では限界です。根本的に改革しないと未来はないと考えます。しかし、改革できれば未来は明るいと断言します。それをここで提案します。

 

一言で言いますと、「誰もが気軽に便利で快適に使える公共交通」へ進化してもらいたいということです。いくら、バスや電車がガラガラで閑古鳥といっても、交通需要そのものが少ないわけではありません。道路には、相変わらず大量の車で溢れかえっています。単に、公共交通が多くの人のニーズに合ってないだけです。

 

そのため、車から公共交通へ切り替えてもらえる仕組みを構築することが、公共交通再生への近道だと考えています。通勤、通学や通院のみならず、観光、家族や友人同士での外出、ビジネス、飲みなど幅広いニーズに応えることが求められます。

 

県民の税金を投入する以上、そうあるべきではないでしょうか。

 

まず重要な点は、電車は電車だけ、バスはバスだけ、それも一路線ごとで収支を考えるのではなく、経営面では電車もバスも一括して考えるべきです。「トータルで考える」、「ネットワーク全体で稼ぐ」という発想へ根本的に改めるべきです。そうでないと、多様は交通需要に応えられません。

 

路線バスは、補助金のことは一旦忘れて、一から作り直すことを提案します。電車との役割分担を明確にし、誰にでも分かるすっきりとした路線網を実現し、現在は弱い卸団地などもカバーし、高知市街の基幹路線については、路面電車と同様に頻発運行し、時刻表なしで利用できる利便性を最低限度確保しないと話しになりません。

 

系統番号の導入が検討されていますが、それをさらに進め、基幹路線については、ラインカラーを導入し、バス車両も路線ごとに専用塗装を用意してはどうでしょうか?要するに、首都圏のJR線や地下鉄のように、一目で○○線と分かるようにするわけです。

 

ネットワークを重視するとなりますと、乗り換えて利用するのが当たり前になります。当然ながら、運賃体系にも大きくメスを入れなければなりません。今のように乗り換えるたびに、その都度運賃を取られるでは話しになりません。運賃自体も、妥当な線まで下げる必要がありますし、ゾーン運賃制、1日乗車券の拡充など、料金的にも安心して乗れる仕組みが求められます。

 

これに関しては、現在でもICカード「ですか」で、バスのみですが市内区間を1日上限500円で乗れる「オート1day」機能がありますので、これを発展させるとよいでしょう。現在の土電と県交の運行エリアを3エリアに分けて、それぞれ1エリア内では、1日上限500円で乗れるようにしたいところです。そして、2エリアにまたがる場合は1,000円、3エリア以上(東部交通、高陵交通のエリアも対象)では同様に1,500円としてはどうでしょうか?エリアについては、高知市エリアについては、東西は路面電車の運行範囲、南北は旧春野町から旧鏡村・土佐山村まで含む範囲を対象にするのが妥当だと考えます。

 

さらに、定期券についても、単なる路線定期にとどまらない、エリア内を定額乗り放題のフリーパスにすることを提案します。フライブルクのレギオカルテのようなものです。通勤だけでなく、休日遊びに行くのにも使える優れものです。その額は、一般的に支給される通勤手当などを考慮すると、大人の場合1エリアで1ヶ月7000円くらい、2エリア以上は同12,000円くらいが妥当でしょう。加えて、家族連れでの利用促進と子育て支援、渋滞緩和を兼ねて、小学生以下は思い切って無料化してもいいと考えています。

 

「安すぎないか?」、「大丈夫か?」と思われるかもしれません。しかし、利用者の視点に立ち、積極的に車から乗り換えてもらうには、これくらい思い切った策は必要です。1日500円でも年間でのべ1,000万人の利用があれば、年間50億円もの売上げになります。1ヶ月7,000円のフリーパスも3万人の固定客がいれば、年間で約25億円の売上げです。土電と県交で、電車と路線バスを合わせての年間の売り上げが、現在約21億円ということを考えれば、むしろ大幅な増収につながる可能性も見えてきます。

 

当然、利便性を大幅に向上させれば経費は増えますが、大幅な黒字をたたき出すことも、決して不可能ではないと考えます。単独で黒字化できれば、真に持続可能な公共交通になります。債務返済だけでなく、設備投資も積極的にできますし、補助金支出が不要になれば、行政としても大いに助かります。税金投入するにしても、赤字の補填という後ろ向きな支出ではなく、将来への投資として前向きに支出できるようになるではないですか。

 

公共交通の問題は、決して学生や高齢者、障害者など交通弱者だけに関わる問題ではありません。公共交通が不便なおかげで、マイカーを持たざるを得ない構造になっているからです。高知県民のただでさえ少ない所得の多くの部分を、車の購入・維持で食いつぶされてしまっていること、事故のリスクを抱えて日々生活していることを考えると、現役世代にとっても直ちに直面している大きな問題ではないでしょうか。

 

車を持たなくても快適に暮らせる地方社会を、是非とも土佐の高知から実現しようではないですか!地方の暮らしを、よりよくしていこうではないですか!車に食われている莫大なお金が他に回れば、世の中もっと豊かになるでしょう。だからこそ、真剣に提言しているわけです。

 

新会社では、公共交通の利用促進とマイカーを手放せる仕組み構築を兼ねて、カーシェアリング事業を展開していくことも提言します。

 

現在の計画では、バス路線は2年以内に抜本再編するということですが、それでははっきり言って遅すぎます。来年1月を目処に大きく変えるべきです。最初は、限られた人員数、車両数の中で回すため、理想的な本数の確保は難しいでしょうが、それでも精一杯の努力は求められます。努力が見えれば、県民も振り向いてくれるでしょう。

 

最後に、「これから本格的に生まれ変わるんだ」ということを示す、統合前、抜本的改革前に実施してもらいたい、助走としての提案を二つします。多くの人に乗ってもらって、公共交通に関心を持ってもらう、クルマ社会だけが選択肢ではないことに気づいてもらうねらいもあります。

 

一つ目は、青春18きっぷの土電・県交版といえる、乗り放題きっぷの発売です。5日(人)で5,000円(1回あたり1,000円)、10日(人)で8,000円(1回あたり800円)の2種類を用意し、有効期間は初回利用から2ヶ月間あたりがよいでしょう。対象範囲は、土電・県交に加え東部交通、北部交通、高陵交通も対象とし、車内で購入可能とするのがよいでしょう。「路線やダイヤは、まだまだ不便ですが、是非ともこの機会にふるって乗ってください」ということです。消費税増税、ガソリン代高騰のさなか、結構ヒットするのではないでしょうか?

 

二つ目は、あくまでも実験的にですが、路面電車の運賃大幅値下げとダイヤ改正です。バスと違って、せっかく路線も明確で時刻表なしで乗れる利便性がありながら、高額すぎる運賃のおかげで潜在客を大いに逃してしまっていると思います。市内〜後免町・伊野の運賃460円など、はっきり言って「乗るな!」と言っているような運賃設定です。市内区間も、短区間では乗る気にはなりません。

 

具体的な運賃案ですが、まず後免および伊野〜はりまや橋は、200円にまで下げてはどうでしょうか。庶民からしたら、これくらいが妥当なレベルです。そして、市内均一区間制はやめ、複数の区間に分けて1区間は100円で乗れるようにし、現行の市内均一区間は最大でも150円で乗れるようにしたいところです。さらに、利用者増を確実にするため、後免町で「ごめん・なはり線」と連携し、連絡時刻表を作成してはどうでしょうか?現在のダイヤでは、減便されているので接続は厳しいですが、画期的(?)なダイヤに改正することによって自然と接続できるようになると思います。その改正案の内容は、伊野発着を20分にし、市内区間(鏡川橋〜文珠通)はきっかり5分ごとで運行し、後免町発着は10分おきとするものです。元乗務員が私にも教えてくれた案で、実際に社内でも提案されていたそうです。

 

二つの提案が成功すれば、中心市街地復活の可能性も見えてくるでしょう。商店主の方々にも、駐車場よりも公共交通の方が重要ということに気づいて欲しいと思います。

 

ご清聴ありがとうございました。

 

読み返してみて「ぼくもちょっと無茶を言い過ぎたなぁ…」って思ってます(笑)「補助金のことは一旦忘れろ」とか「統合前に電車の運賃を下げて乗客を増やせ」と言うあたりは、少々言い過ぎたと反省しています…。

 

でも、それだけ今までが今までで、路線バスの使い勝手などお話しにならないレベルでした。まあ、今も根本的には何も変わってはないですがね…。それ故「今度こそ大幅に進歩してほしい」と言う想いが強く出過ぎたわけです。

 

後ほど社長に面会を申し出るも体よく拒否された…

 

総会の時には十分に話せなかったので、週明けの午前中に秘書に電話して「社長にお会いして、この前の件について補足したい」と伝えました。

 

そしたら、午後に秘書から折り返し電話がかかってきて、

 

「レジュメは読ませていただきました。しかし、あくまでも株主個人の意見に過ぎないので、今後あなたが所属している市民団体で意見交換の場を設けようと思います。そちらで発言されてはいかがでしょうか?」

 

という旨のお返事がきました。「個人的な意見に過ぎない」のは確かで、おっしゃることはごもっともなので「かしこまりました」とすぐに了承しました。

 

しかし、体よく拒否されたような感じは残りましたね。総会屋とのトラブルが発端となったゆえに、ニの轍を踏まないよう「極力、株主とは会わないようにする」という方針だったのかもしれません…。とは言っても、古くからの株主(祖父からですと40年以上)に対する態度としては、いかがなものかと…。

 

あと、文書で提案したのですから、口頭だけではなくきちんと文書でのお返事をいただきたかったと思います。

 

2016年4月で統合から1年半経過しましたが…

 

そうこうするうちに、10月を迎え「とさでん交通」として再出発しました。

 

その後、確かにそういう場は設けられています。ウソはついていないので、その点は評価しています。今後も、市民団体側で働きかけてそういう場を作っていきたいのですが、リーダーも自分もそこまで手が回らずという状態です…。

 

2016年4月ですでに統合から1年半が経過しました。しかし、未だに根本的には何も変わっていません。ただ統合したという状態に過ぎません。

 

たしかに、収入がどうなるのか分からない中、路線を大幅に見直すのも、運賃そのものを下げるのも難しいのは分かります。ICカードのシステムを弄るのもコストがかかります。だが、そういう状況でもマイカー利用者を取り込んで、新規利用者を獲得する施策は可能なわけで、それを全くやってないのは残念に思いますね。

 

せめて「電車・バス共通で使える1日乗車券(都市圏用と全線用の2種類)」「土日祝日の家族・グループ2人目以降半額と同伴の中学生以下無料」くらいは、まず実現して欲しいと思っています。具体的には、また別記事で取り上げます。

 

それにしても、とんでもなく長くなってしまいました。それだけ、伝えたいことが多くありました。ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。

昼間はガラガラすぎる「ごめん・なはり線」。沿線の交通需要を公共交通が上手く取り込めていません。

 

4月2日(土)、香南市香我美町で毎年開催されている「かがみ花フェスタを見てきました。香南市に住んでいながらも、見に行ったのは今回が初めてです。あまりにも近所過ぎるとかえって行かないものですね。

 

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とある愛媛県在住の方が「道後温泉?10年以上行ったことないですよ。高知県民が桂浜や高知城へ全然行かないようなものでしょう」と言っていましたが、まさにそういう感じですね(笑)

 

かがみ花フェスタ会場から「ごめん・なはり線」の車両を撮ってみた

 

花フェスタ自体の写真は、後ほどアップするとして、会場は土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」香我美駅の目の前にあります。会場内からも駅に停車する車両を奇麗に見ることができます。

 

最初は花フェスタ会場の写真だけ撮っていましたが、列車が来るとやっぱり目が行ってしまいます。公共交通やクルマ社会についてのブログを書いているだけにです。

 

帰る間際になって、ブログのネタにしようと思いつき、会場内で2回写真を撮ってみました。

 

15時22分発・後免発安芸行各駅停車

 

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見ての通り、見事なくらいの空気輸送状態です。右半分ののロングシート部分はおそらくゼロ、クロスシート部分も5人も乗っていないものと思われます。

 

この便に限らず、昼間の後免駅発着の各駅停車は、平日・土休日問わずいつ見てもガラガラです。

 

夜須駅近辺で見ても、数人しか乗っていないのがむしろ当たり前です。

 

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上の写真は、2015年4月9日(木)に撮影した、夜須駅15時17分発・安芸発後免行各駅停車。見たところ2人くらいしか乗っていませんでした。閑古鳥もいいところです。

 

決して、ガラガラなのを狙って撮ったわけではないです。平日、土休日問わず、昼間の各駅停車はどれも惨憺たる乗車率です。

 

各駅停車は、高知市内まで行くには、後免駅(もしくは後免町駅)で乗り換えが必要なため、「ごめん・なはり線」内相互駅間での利用が中心だと推測されますが、線内の相互駅間での利用は極めて少ないと言うことでしょうね。

 

15時43分頃発・奈半利発高知行快速

 

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快速は本来香我美駅は通過しますが、この日は花フェスタ開催期間中かつ土曜日のため、便宜を図って特別停車していました。そのため、発車時刻は時刻表に乗っておらずあくまでも推定で「頃」としました。

 

快速はJR土讃線高知駅まで直通するだけに、そこそこ乗っています。

 

と言っても、まだまだ座席に余裕があるほどの乗車率に過ぎませんが…。のいち駅でかなり乗車があるので、そこからは立ち客が出るほどには混むかと思われます。

 

15時59分発・高知発奈半利行快速(夜須駅で撮影)

 

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高知行の快速列車を撮影した後、会場を後にし帰宅途中でちょうど夜須駅に列車が来たのもう1枚撮ってみました。夜須駅15時59分発・高知発奈半利行快速です。

 

見たところ、10〜15人程度の乗車。うーん…、あんまり乗ってないなぁ…。

 

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上の写真は、2015年4月9日(木)に撮影した夜須駅15時01分発・高知発奈半利行快速です。10人も乗ってません…。

 

JR高知駅に直通する快速は、後免駅発着の各駅停車よりは乗っていますが、それでもこの程度です。やっぱりガラガラ…。後免~のいち間は、それなりに乗っていますが、そこを境に一気に減ってしまいます。夕方の帰宅時でも半分以上、のいち駅で降りているような気がします。

 

沿線の交通需要を公共交通が上手く取り込めていません

 

ごめん・なはり線」は、朝夕こそは通勤通学(通学の方が圧倒的に多いですが)で結構利用されています。実際、開業後に増便や増結が幾度と実施されているほどです。

 

沿線の人口減少にも関わらず、年間の利用者数は微増を続け、年間の経常損益も5000万円程度の赤字と三セクのローカル線にしては随分と健闘しています。

 

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 (筆者作成)

 

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http://gikai.pref.kochi.lg.jp/_files/00052535/201206koukyou_saishyu.pdfより引用)

 

しかし、昼間や休日の利用は芳しくありません。定期外での利用が思わしくないようで、実際にデータを見ても横ばいを続け全く伸びていません。

 

でも、ここまで昼間の時間帯や休日に利用されていないのは、やっぱり外から見ていて(もちろん自分が乗っていても!)モッタイナイと思います。

 

ごめん・なはり線」は、何も山奥の人口希薄地帯を走っているわけではありません。高知県東部地域の最も人口が多い海岸部を通っています。交通需要自体は決して少なくはなく、その証拠に並行する国道55号や高知東部自動車道には、クルマはひっきりなしに通っています。

 

にも関わらず利用が芳しくないのは、潜在的な交通需要がありながらも、それを公共交通機関である「ごめん・なはり線」(とさでん交通のバス路線「安芸線」も同様です)が、全くと言っていいほど取り込めていないということです。

 

確かに沿線は完全なクルマ社会。なんでもかんでもクルマというライフスタイルですので、ある程度は仕方ないのですが、それにしても利用されなさ過ぎだと思います。

 

ぼくも沿線住民の一人なので、利用が敬遠される理由はよく分かります。乗る人は乗るけど乗らない人には全く見向きもされていません。

 

それは、ダイヤ面というよりも運賃面や他の公共交通との連携面での問題が大きいのですよね。そこを改善すれば、利用者は大幅に伸びる可能性があるだけに、「非常にモッタイナイ!」って思います。

 

地方でも「若者のクルマ離れ」の予兆は垣間見えています。

 

昨今「若者のクルマ離れ」とよく言われています。

 

直接の原因は若者の収入低下ですが…

 

若者がクルマをあまり欲しがらなくなった、免許を取らなくなったと。特に、公共交通の発達した大都市ではその傾向が顕著だそうです。

 

matome.naver.jp

 

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若者のクルマ離れの直接の原因は、非正規雇用が増えるなど若者の収入が低下したことでしょう。将来への不安もある中、経済的余裕がなければ、こんな超高額商品そうそう迂闊に手を出すことはできません。

 

スマートフォン(携帯電話)やインターネット関連の出費も大きな原因でしょう。その二つの月額費用を合わせると、クルマのローン支払い額に匹敵します。かつては、スマートフォン(携帯電話)やインターネット関連の出費はありませんでした。そこはバブル期とは大きく異なる点です。

 

若者の価値観も大きく変わりました。かつてクルマは、単なる移動のためだけの道具ではなく、ステータスシンボルであり、憧れの対象でした。デートするにもクルマありきでした。彼女を助手席に乗せるのが男の憧れでした。そういう価値観が共有されていたからこそ、生活上持たなくても困らない大都市であっても、多額の借金をしてでも憧れのクルマを求めていました。

 

良くも悪くも、発展途上国的だった時代は遠くに過ぎ去りました。今の若者は、堅実で現実主義です。貯金している人はしっかりしています。事故のリスクも高く、維持費もべらぼうにかかる商品だけに一歩踏みとどまって冷静に考える人が多くなったのだと思います。

 

とにかく、時代背景も若者のメンタリティも20年前、30年前とは全く異なっています。あんな時代は二度とやってこないでしょう。

 

仮に、若者の収入が大幅に改善されたとしても、バブル期のように、皆がこぞってクルマに向かうとは到底考えられません!

 

「今の若者はクルマにも興味を持たない」と、クルマ業界は嘆きますが、いま冷静になって考えたら、多額の借金してまで超高額商品をこぞって買っていた時代の方が異常に思えてきます。

 

自動車教習所の教官に聞いてみた

 

高知県のような地方では、生活必需品ですので統計上はクルマ離れしていないと考えられます。しかし、クルマに対する考え方はかつてから比べたら大きく変わっているようです。

 

普通自動二輪免許を取得するために教習所に通っていた時に、教官からこのような話しを聞きました。

 

かつての若者は、何が何でも免許をとってやろうという意気込みがあった。早くクルマに乗りたいというバイタリティがあった。予約が取れなくてもキャンセル待ちを狙い朝から待合室に居座る。実技で上手くできなかったら悔しくて泣く。できるようになるまで必死に頑張る。今となっては、そういうガッツのある若者はめっきり減った。今の若者は、とりあえず免許は必要だからという感じでクルマへの執着はあまりない。

 

 その話しからも、かつては免許を取得してクルマに乗ることが、一人前の大人として認められる一大イベントだったことが見て取れます。

 

一方、今となっては「まあ足として必要だから」という感じです。クルマにこだわる人は確実に減りました。高知でもヤンキーの改造車も目に見えて減ったように思います。(逆に痛車が増えていますがね…)

 

多くの若者は、燃費にすぐれ維持費も(あくまでも相対的に)安い軽自動車を積極的に選んでいます。高知では若い女性の方に至っては、7〜8割が軽自動車に乗っているように思います。1990年代までのような「男が軽自動車に乗るなど論外!」っていう風潮は影も形もありません。若者から中年男性まで当たり前に軽自動車に乗っています。

 

地方でもクルマが必要でない状況になれば、クルマを手放す可能性は決して小さくない。

 

教官は、さらにそうおっしゃっていました。

 

公共交通やカーシェアリングが充実すれば、地方でもクルマとのつき合い方は大きく変わってくる可能性があることを示唆しています。

 

高知市ではクルマを手放す例も

 

香南市ではさすがに知らないですが、高知市ではクルマを持っていないという方を複数例知っています。その中には免許を持ってない人もいます。「今のところ取得するつもりはない」とも言っていました。

 

家庭を持ちながら手放した人もいます。「毎月駐車場代を払うのがアホらしく思ってきた。必要に応じて適宜レンタカーを借りれば十分事足りることに気づいた。嫁さんには、クルマ持って一人前みたいな意識があるためか、最初はブツブツ言われたけど(笑)」と言っていました。

 

高知市コンパクトシティ、なければないでなんとかなるんですよね。

 

すでにクルマを持っている若者も、足として必要だから持っているまでで、それほどクルマをいいものとして捉えてはいません。

 

ある知り合いが「とにかく金がかかるのでキツい」って言ってました。中古で買ってしばらくして、エンジン関係の故障で修理費が8万円ほどかかった時にはPS4買うつもりやったのに当分買えんなったちやー」ってブツブツぼやいていました。

 

これから免許を取るという知り合いも「まだクルマ買うかどうか分からない。クルマ買ったら厄介ごとが増えるからなー。人をひいてしまう恐れもあるしね」って言っていました。

 

地方でもクルマ離れの予兆は垣間見えています。公共交通がマトモに使えるようになったら、、、一体どうなるやら?

 

もっとも、東日本大震災以降はそれほど言われなくなりましたが、「エコ」だの「CO2排出削減」だのさかんに言っていた以上、若者の方からクルマ離れしてくれるのは願ったり叶ったりのはずですが…。