高知県の任意保険(対人対物)加入率、約58%!クルマ社会はすでに行き詰まっています!
都道府県別の任意保険加入率
以下の表を、ご覧いただきたいと思います。
2013年末における、自動車任意保険の加入率を都道府県別にあらわしたものです。ざっと眺めただけでも、地方の行き過ぎたクルマ社会が、すでに問題だらけだということがよく分かります。
愛知県を筆頭に、加入率が高い都道府県は、対人対物保険で8割ほどとなっています。8割もあれば上等のように思えますね。
しかし裏を返せば、残り2割は自賠責保険にしか加入しておらず、「万一の時の賠償能力に乏しいクルマが走っている」ということを意味します。2割もいれば路上にウヨウヨいるということに他なりませんよ。
その中には、単に危機意識が乏しいだけの「支払う余裕はあるけど加入していない」という人もいるでしょう。それはそれで大問題なのですが、決して多数派ではないと思います。ほとんどは、家計がカツカツで任意保険代まで支払う余裕がないというのが実態ではないかと思います。
もし、対人および対物で事故を起こしてしまえば、多額の賠償を全額自腹切るしかありません。十分な賠償が経済的に厳しければ、被害者は泣き寝入りするしかありません。自損事故だった場合も、修理費などで多額の出費が突然のしかかってきます。廃車にして代替車を購入した場合、二重にローンを払わなければいけない事態になることも。
真面目に任意保険に入ったら入ったで、たしかに事故時の不安は減りますが(少なくとも金銭面では)、今度は高額な保険料負担が家計にのしかかってきます。確実に経済的に苦しくなります。かと言って、クルマがないと不便極まりない地方社会、クルマに乗らないわけにはいきません。
結局、任意保険に加入せず、綱渡り状態で日々クルマに乗るということに。はっきり言って、いつ爆発するか分からない爆弾を抱えているようなものですよ。
低所得者にとってマイカーを所有するということは、毎月(毎年)確実に一定の出費を強いられ経済的に苦しめられるか、事故を起こした時に多大な出費を強いられ経済的に苦しめられるか、という二択を強いられているわけですね。
どちらにしても厳しいですね。
すでに詰んでいますよ!地方の行き過ぎたクルマ社会は。
高知県はビリから3番目!!
高知県の対人賠償保険の加入率は、57.5%となっています。
沖縄県、鳥取県に次いでビリから3番目(宮崎県も57.5%で同順位)という低さです。この数値は、トラックや営業車など法人の業務用車も含まれており、当然それらはほとんどが加入していると考えられるため、マイカーだけに絞った加入率はさらに低いのではないとと推測できます。
高知県が低くなっている要因として付け加えると、農山村部で自宅と農地と農協、まれに近所のスーパーの間でしか使っていないほぼ農業専用の軽トラなど、そういう車は任意保険にはあまり入っていないと考えられるので、それらがある程度加入率を下げていると推測できます。
しかし多くは、「任意保険に加入する経済的余裕が乏しいながらも、クルマに乗らざるを得ない」というのが実態でしょうね。
道路を走るクルマの4割は自賠責だけ。自賠責だけでクルマを走らせざるを得ない人が多数いる。それが地方のクルマ社会。考えれば恐ろしい現実です。
車両保険まで含めたフルコースでの加入ともなると、かなり厳しいようです。
高知県の搭乗者保険加入率は34.2%、車両保険加入率は28.6%となっています。車両保険については、対人対物の加入率が高知県と似たような割合の都道府県よりも低い加入率にとどまっています。
「対人対物と搭乗者はさすがに入ってないとマズいけど、車両まで入るとさすがに高くなるから・・・」
多くの家庭にとって、クルマの維持費が家計に重くのしかかっていることが推測できます。削るところはやむなく削らざるを得ない。経済的に余裕があれば、当然フルコースで入りたいでしょうからね。
対人対物保険未加入よりは遥かにマシですが、車両保険未加入もやっぱり綱渡り状態ですよ。
もし事故を起こして自分のクルマを壊しても、修理代や代替車購入の費用は保険から出ないわけですからね。予期せぬ高額な修理費、予期せぬ代替車のローン、庶民にとってはとんでもなく痛い出費です。
ぼくが知っている範囲でも、車両保険未加入だったゆえに、二重にローンを抱えてしまったという人、複数人知っています。
マイカーを手放せる環境をつくっていくしか解決策はない!
ちなみに、最下位の沖縄県に至っては対人で52.6%という低さです。ほぼ半分の割合でまともな賠償能力がないクルマが走り回っているということになります。もはやウヨウヨというレベルを超えています。クルマにはねられて、死んだり後遺症が残ったりしても、半分の確率でまともに賠償されないことになります。冗談抜きでトンデモナイ現実です。
沖縄に自転車ツーリング行きたいと思っていますが、この事実を知ったらなんか怖いですよ。保険に入ってないような人は、安全意識も低いでしょうしね。
@fadvx あっ、それ「色々と面倒になりかかね無いから近づくな」と言われるやつだ…https://t.co/OhtlpJ6DWd
— hiyo (@13_hiyo) 2016年3月25日
このヤンキーナンバー、治外法権になりかねないというとんでもない相手っぽい。
でも沖縄ナンバーも任意保険加入率5割程度で補償されない率高いらしいゾ
任意保険の加入率の低さ一つをとっても、日常の足をクルマばかりに依存している地方の交通社会は、問題だらけです。「すでに行き詰まっている」と言っても過言ではないです。
誰もが気軽に乗れる公共交通を整備して、自転車の利用環境を改善して、カーシェアリングを普及させて、マイカーを手放せる環境(マイカー以外の選択肢)をつくっていかないとマズいですよ、本当に。
クルマを使うなという話でもないし、中心部だけに集約するという話でもなくて、要はこういうことなんだよなあと。肝は「交通」。マイカー以外の移動の選択肢がどれだけあるかは、その都市や地域の魅力に直結するし、将来性をも左右する。https://t.co/pfsgfsxHjZ
— NAL(COMIC1☆10・し-05a) (@NAL_MUTHU) 2016年3月3日
もう道路整備は程々でいい。貧弱すぎる鉄道の改良に予算を回すべし。
高知県でも、道路の開通が相次いでいます。
どんどん便利になっていく道路交通
今年3月5日には、国道33号・高知西バイパスが天神IC〜枝川IC間が延伸され、そして4月23日には、高知東部自動車道・高知南国道路が高知龍馬空港まで開通する予定です。
(高知新聞・2016年2月19日朝刊記事)
(高知新聞・2016年3月5日夕刊記事)
2002年に、高知自動車道が須崎まで延伸されてからは、大規模な開通や延伸は一時ストップしていましたが(既存区間の4車線化などの改良はされていましたが)、2010年代に入ってからはどんどん開通しています。
2011年3月5日 高知自動車道・須崎西IC-中土佐IC
2011年3月26日 南国安芸道路・香南やすIC-芸西西IC
2012年12月9日 高知自動車道・中土佐IC-四万十町中央IC
2012年12月22日 高知西バイパス・鎌田IC-天神IC
2013年2月17日 南国安芸道路・香南かがみIC-香南やすIC
2014年3月9日 南国安芸道路・香南のいちIC-香南かがみIC
2015年3月22日 高知南国道路・高知南IC-なんこく南IC
2016年3月9日 高知西バイパス・天神IC-枝川IC
今後も、2020年度に高知南国道路の高知JCT-高知南IC間の開通、2021年度に南国安芸道路の安芸までの延伸、国道56号の片坂バイパス(窪川佐賀道路)の開通と、新規開通が続々と予定されています。
このように、道路はどんどん便利になっています。
特に、須崎以南は見違えるほど道路環境がよくなりました。国道56号の須崎以南は、久礼坂をはじめとするきついカーブの続く難所区間で、時間面でも安全面でも防災面でも課題ありまくりの区間でした。
この区間が高速道路の開通で劇的に改善されたことは、本当に意義のあることだと思います。以前のぼくでしたら「高速道路など無駄だ!やめろ!」って思っていたのですが、あの区間を実際に自分で運転してからは「さすがに、改良しないとマズいよな…」って考えを改めるに至ったほどです。
地元の自治体や産業・観光の関係者、そして住民の方々にとって、道路の開通はまさしく悲願だったというのがよく分かります。
幡多地方のカーブだらけの国道(国道321号の中村〜土佐清水間など特に改良が必要だと思います)や山間部の狭隘区間をはじめとして、まだまだ高知県には改良の必要な道路があるのは間違いありません。
いくら道路が便利になっても、高価なクルマを自前で用意して自分で運転しなければならないことには変わりがない
でも、一方でこう思うのですよね。
道路は便利になって、所要時間は短縮し、運転もしやすくなる。しかし、結局は自前で高価なマイカーを用意して、自分で運転して走らせることを前提としていることには変わりがないし、交通事故のリスクも依然抱えたまま
上の記事で詳しく述べていますが、ただでさえ高くはない地方在住者の所得の多くの部分が、クルマ関連の費用で食い潰されてしまっていること、交通事故を起こしてしまうリスクを常に抱えているという二点で、行き過ぎた地方のクルマ社会は問題ありすぎだと考えています。
通勤や行楽でのマイカー移動は、所要時間が短縮される分、運転はいくぶん楽にはなりますが、結局は行路のすべてを自分で運転していかなければなりません。長距離になると出かけるのにも気合いがいります。昨今話題になっている自動運転も、完全自動運転ともなるといつ実現できるかどうか分かりません。
自分で運転する以上、事故のリスクも当然抱えたままです。高速道路は一般道より安全ではありますが、スピードが出ているだけに、ひとたび事故が起これば一般道以上に悲惨なことになります。まともな中央分離帯もないのに、あの速度で対面通行。正直なところ恐怖ですよ…。
「地方はクルマ社会、マイカーの所有は大前提」っていう発想に染まっているため、なかなか気づきませんが、いくら道路が便利になってもクルマに依存した地方の構造は何も変わりないばかりか、むしろ増長すらしてしまいます。
結局のところ、マイカーという超高額商品を購入して高い維持費を払い、事故を起こすリスクを抱えながら、自分で運転して走らせなければいけないことに何ら変わりはありません。
少なくとも高知県では、もう道路ばかり整備し続けても、暮らしや産業が劇的によくなるとは到底思えません。
観光面でもマイカー利用でない人はなかなか取り込めません。自分で運転して回るしかないなんて、観光立県として不親切すぎます。せっかく、外国人観光客も増えているのに取り込むチャンスを逃してしまいます。
物流や防災のこともあるので「道路は何でもかんでも無駄!全部やめろ!」と言うつもりは全くありませんが、高速道路ネットワークがそこそこ充実した現在、道路整備はもうスローダウンしてもいいのではないでしょうか。
貧弱すぎる鉄道の改良に予算を回すべし!
一方で、高知県の公共交通、特に鉄道のインフラは極めて貧弱です。
「見捨てられた存在」と言えるほど、近代化が遅れています。路線バスも貧弱極まりないのですが、道路は十分整備されているので、どちらかと言うとソフト面の問題ですね。
JR土讃線は、高知市近郊ですら単線で一部を除いて電化すらされていません。全体的に線形は悪く、これ以上のスピードアップも限界があります。高度成長期の無煙化(気動車の導入)、1990年代の振り子気動車の投入によるスピードアップと、歴史上二度のブレイクスルーを果たしていますが、広域交通としても都市圏交通としても、今の設備のままではこれ以上の発展は難しいでしょう。
とさでん交通(旧土佐電鉄)の路面電車は、さらに貧弱です。何しろ100年以上の歴史の中でブレイクスルーは、戦後〜高度成長期にかけてのボギー車の大量投入だけという有様。その後、車両の更新はほとんど進まず、地上設備も基本的に明治時代のままで、半世紀前から本質的に何も変わっていません。いや、直通運転していた安芸線を失った分、退化すらしています。
(2004年5月2日・はりまや橋にて)
乗客減に喘ぎながら、老朽化した旧型車両をだましだまし使い続け、なんとか細々と生きながらえているという状態です。市街地交通としては便利で本数も多くそれなりに利用されていますが、郊外部で1両編成の旧型電車がノロノロ行き交う姿を見ると、やっぱり時代に取り残された感は否めません。
そして、高知の重要な玄関口の一つである空港へ鉄道が乗り入れていないなど、既存の路線だけではネットワークが十分とは言い難いです。
クルマを持たなくても快適に暮らせる地方社会を実現するためにも、外国人観光客などマイカーで来ない人々への配慮という面でも、移住者の獲得や企業の移転を促すなどして(特に本社機能)人口減を食い止めむしろ増加に仕向けるためにも(個人的に高知県は120万人くらいの人口があっていいと思っています)、貧弱すぎる鉄道の改良に予算を回す方が良いと考えています。
ここまで読まれて、「財源はどうするの?」、「採算はとれるの?」、「そもそも利用されるの?」、「それこそ無駄!」などと思われるかもしれません。それらについても、一度には書けないので、順番に書いていきますよ。
もはや、不便でまともに使えない公共交通を今後も放置し続けたら、高知は衰退の一途を辿っていくと確信するにまで至っています!
山間部や漁村以外で、公共交通をまともに整備せず、クルマがないと生活が不便極まりないという状態を放置し続ける地方は、衰退の一途を辿っていくと思う。そんな非効率で不安定な交通手段しかない地方都市に、人や企業が集まりますか?という話し。 https://t.co/EHC7wyWrrb
— 脱クルマで地方は豊かになる!@高知家 (@motorization) 2016年2月28日
クルマの運転が嫌いな人にとっても、過度にクルマに依存した地方社会は暮らしづらい。
昨年11月3日にアップした記事、地方在住者の視点から行き過ぎたクルマ中心の交通社会が大いに問題だと考える2つの理由。についてちょっと補足します。
愛知から高知に移住されたぴーすけさんが、こう書かれています。
以下のフレーズは、言い得て妙だなと思いました。
だって極端な言い換え方をすればクルマ社会って四方八方から1t級の鉄の塊が日常的に飛んで来てるワケなんですよ!?
たしかに、一応人間によって制御されているとは言っても、莫大な運動エネルギーを抱えた物体がそこら辺でうようよしているわけですから。制御しているのは所詮人間ですから、その制御をいつ誤ってしまうか分かりません…。爆弾がそこら辺に落ちているのと状況はさほど変わりないわけですね。
ぼくは、クルマやバイクの運転が嫌で嫌でしょうがないと言うほどではないのですが、やっぱりストレスを感じることは多々あります。運転という作業はかなり神経を使うので結構疲れますし、何より不安で怖いのですよ。
室戸や幡多地方のあたりの空いている道路を、軽快にクルージングするのは気持ちよくていいのですが(と言ってもそういう場所は、スピード出し過ぎや無理な追い抜きをする危険運転のクルマが多いので、やはり怖いと思うことは多いですが)、混雑する市街地での運転はどうしても好きにはなれません。
特にストレスを感じるのは、休日昼間の市街地や郊外の幹線道路。何しろクルマが多い多い。それも、午前中から夕方あたりまで長時間にわたって慢性的に。さらに、沿道の店舗に出入りするクルマが多いので、余計に混みます。某有名回転寿司チェーン近辺なんか、それだけで渋滞ができていたりするほどです。
何と言うか、あの不規則な交通の流れが運転しにくくさせているように思います。道路全体がダラダラダラダラと混んでいる感じです。平日朝夕の混雑の方がまだマシに思います。沿道への出入りも多くなく、どこまで渋滞するか、どの時間帯が渋滞するかなど、概ねパターンが分かってますからね。
ストレス溜まる休日の渋滞に遭遇するたびに、「公共交通がまともに機能していないせいだ!」って、心の中で呟いてます(笑)
高知では、休日に公共交通で外出する習慣がほぼないので、通勤通学や通院利用のない休日の公共交通は、JRの特急列車など一部の例外を除いてどれもガラガラ状態。公共交通を立て直すきっかけを作る上でも、グループや家族連れにも利用してもらって利用者数を少しでも回復させる努力は必須でしょう。
そして、やっぱりクルマの運転は不安で怖いですね。昨年11月3日の記事にも書いたように、「いつ事故に巻き込まれるか分からない」という面からです。いつ追突されるか分からないですし、いつ対向車が突っ込んでくるか分からないですし、当然自分自身だって、いつミスを犯してしまうか分かりません。
しかし、自家用車、バス、トラック含めクルマというのは本当になんにも安全策が取られてないよね。これが21世紀の乗り物かよと思う。道で、すれ違う対向車の運転手が体調崩して10cmハンドルをこっちへ切っただけで自分は即死だし、自分自身だって信用できない。
— 田中泰延 (@hironobutnk) 2016年1月21日
ほんとこの通りです。自分も含めて教習所で一通り習っただけの素人同然の人たちがまともな健康管理もなしに、鉄道のATSやATCのような安全装置が全くないのにも関わらず、前にも後ろにも右にも左にも接近している状態で走らせているのですから。少しでもミスしたら即事故。こんなおっかないものに頼らざるを得ないって、やっぱり大問題ですよ。
訓練を積んだプロが運転し、安全装置も完備され健康管理も厳格な鉄道とは雲泥の差です。
さらに言うと、レールで進路が完全に固定されており、路線によってはATC完備で信号無視どころか速度違反すらも防止できる鉄道とは雲泥の差。何の安全装置や調整システムもない乗り物を運転手1人で100km/hもの速度出すのはおっかなすぎる。 https://t.co/aXQ9JzhmaO
— 脱クルマで地方は豊かになる!@高知家 (@motorization) 2016年1月22日
冒頭で取り上げたぴーすけさん以外でも、「クルマの運転は嫌い」、「たまにドライブはいいけど、日常の移動ではあまり乗りたくない」、「朝から運転はツラい。ほんとはJRで通勤したい」って方が、知り合いの中でも結構いらっしゃいます。
中には「クルマの運転が好き。ストレスは感じない」って方もいらっしゃいますが、決して多数派ではないように思います。何時何時も、自分でクルマを運転しないと移動がままならない状態って、こういう側面からもあまりいい状態とは言えないですね。
ぼくはバイク(たまにクルマ)を運転するのは、週に2〜3日程度です。毎日ともなると、職業運転手でもないのではっきり言って勘弁です。