地方の公共交通を立て直す!@高知家

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

「自転車活用推進法」施行へ。今度こそ出版へ向けて事を急がねば!

 

「自転車活用推進法」 6月施行

 

自転車ツーキニスト疋田智氏のメルマガ最新号によりますと、小康状態だった自転車ブームが静かながらも再燃しているそうです。

 

melma.com

 

もともと「自転車ブーム?そんなのどこの話?」という田舎町に住んでいるので、再燃と言われてもまだまだ実感は湧かぬところですが、「おおっ!」って思うのが今年6月に施行される「自転車活用推進法」

 

「自転車活用推進法」条文

 

存在は知っていましたけど、施行は6月だったのか…。完全に失念してた。これでは、いかんいかん。

 

さてさて条文の中身を読みと、短い法律ながらも内容はかなり深いものです。疋田氏もおっしゃるとおり「ここまで考えていたのか!」って思えるもので、「今後国としても自転車を公共の利益の増進していくために積極的に活用していこう!」という意気込みが感じられます。

 

理念としては、環境負荷軽減、自動車への依存軽減、国民の健康の増進、災害時の活用、公共交通機関との連携、交通体系における自転車の役割拡大などと、「脱クルマ依存」に含むを持たせているのは高く評価できます。

 

 基本方針も、自転車レーンや駐輪場の整備という基本的なものから、国際交流や観光資源としての活用にも触れており、政策を実際に実行する都道府県や市町村次第というところはありますが面白いことになりそうです。ただ、ちょっと羅列したという感はありますがね。

 

今後、都道府県、市町村もこの法律に則って「自転車活用推進計画」を定めていくことになるでしょう。

 

「地方の自転車活用本」、日の目を見るチャンスが来たかも!

 

この記事を書いたのは、この法律の施行を契機として、地方行政でも今後自転車活用に取り組んでいくと期待されている今、長年お蔵入りとなってしまっている「地方の自転車活用についての本」の原稿が、ようやく日の目を見ることができるチャンスだと考えているからです。

 

ほんとに「大きなチャンスだ!」って思っているわけでして、気が滅入っている場合じゃないなと…

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

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「地方にも自転車文化を育てていき、公共交通の立て直しを図りつつ、クルマ一辺倒の交通社会から脱却して、”新しい時代”をつくっていきたい」

 

そういう想いで書いた原稿です。しかし、残念ながら今に至るまで日の目を見ていません。

 

さすがに、目次案そのものはブログにて公表は致しませんが(「はじめに」は、上のリンク「地方にも自転車文化を〜」にて公表しています)、大まかな内容は「地方で自転車に乗るメリット」、「地方田舎町の自転車事情(香南市が事例)」、「地方中心都市の自転車事情(高知市が事例)」、「地方での自転車活用の具体策・提案」、「地方に適した自転車の提案その他」、「山村(馬路村が事例)や学園都市(つくば市が事例)の事例少し」「クルマに依存しない地方への問題提起」というところです。

 

特に最後はかなり気合いを入れて書いています。クルマ依存を克服できるかどうかが、今後地方が活性化するか否かに大きく関わってくると確信していますからね。

 

 原稿作成にあたってこれまで、行政関係者、NPO、冒頭にあげた疋田智氏、自転車屋さん、プロブロガー…と様々な方にお世話になって(香南市役所には職員に対してアンケートまで実施してもらっているほどです)書き上げながらも結局世に出せずじまいで、正直申し訳なく思っていましたが、「今こそチャンス!」と捉え再び行動していきます。 

 

法律の施行の絡みもあるので、なんとか今後1ヶ月で事を進めていかねば…

 

『電動アシスト自転車を使いつくす本』を読んで電アシ自転車に抱いていた誤解を完全に修正させられた件。

 

自転車ツーキニスト疋田智氏の久しぶりの単著 

2016年8月に出版されたこの本は、自転車ツーキニスト疋田智氏久しぶりの単著となります。2010年頃までは自転車ブームも手伝って結構なペースで新作が出ていたのですが、その後は共著や文庫版がちらほらと出版されていただけで、完全な新作は長らく途絶えていました。

 

だからこそ、ぼくとしても疋田さんの新刊が出ると、それも電動アシスト自転車がテーマだと聞いて、「これは面白そう!発売されたら絶対買って読みたい」と、書籍版発売後しばらくして電子書籍版が出たとき速攻で購入しました。

 

実は、最近は電動アシスト自転車にも興味を持つようになってきたので、非常に興味深く読ませていだきました。

 

ぼくも最近まで「電動アシスト自転車など論外!」って考えでした

 

疋田氏も昔の著書を読めば、電動アシスト自転車なんてほぼ電動と言ってもよく、まるで運動にもならないし、スポーツ自転車の方がずっと軽快に走れるし坂道も楽に登れるので健常者には必要ない。まあお年寄り向けとしてはいいんじゃないの?」というニュアンスで述べられており、かなり懐疑的な考えだったようです。

 

ぼくもそれを鵜呑みにしてか(?)、電動アシスト自転車に乗りもせずに「クロスバイクで十分軽くて速いし、あんなものいらないじゃん」「構造も複雑になるしバッテリーの寿命もあるので色々とコストがかかる。せっかく自転車はランニングコストが少ない乗り物なのに…」と、はなから相手にしていませんでした。

 

実際に乗ってみてからは考えを微修正

 

2012年12月に高知県馬路村でレンタルしている電動アシスト自転車(レギュレーション1対1の旧式)に実際に乗ってみた後も、「確かに漕ぎ出しは軽くて力強くさすが電動アシスト!!しかし、速度が上がるにつれてアシストされなくると、ただの重くてメカニカルロスが多い自転車。クロスバイクだと本来気持ちよく走れる場所で、快走できないのはストレスになるだけ。そもそもこんなもので運動になるのか?」って、やっぱり懐疑的でした。

 

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(馬路温泉で貸し出している電動アシスト自転車 2012年12月3日)

 

でも乗ってみたからには高齢者向けとしての他に、自転車生活をはじめる上での導入口として、そして多くの荷物を運ぶ上では大アリなんでは?特に運搬という面では、クルマの肩代わりも期待できていいんじゃない?宅配便でも電アシ自転車がリヤカーを引っ張って大活躍しているし」と一部は考えを修正。

 

それでも高知市香南市のような平坦な街では、高齢者向けと運搬用途以外では全く用はない。クロスバイクやツーリング自転車を普及させていけばよい」って最近まで考えていました。まだかなり偏見を持っていました。やっぱり、24km/h以上の速度域ではアシストが完全に切れるというところにかなり抵抗があったのです。田園地帯など快走できるところでクソ重くなるだけなんてストレスになるだけじゃないですか。

 

本書を読んでみて「電アシ自転車素晴らしい!これは大アリだ!」と完全に考えを修正

 

ところが2015年頃になると、地方のなんでもかんでもクルマに依存した状況を見るにつけ電動アシスト自転車も一つの選択肢として大アリなんでは?クルマに乗るよりもずっとエコで低コストだし、それに幾分は運動にもなるし、クルマ依存社会から脱却するためのツールとしてクロスバイクなどと同時平行で普及を図っていけばいい」と考えをかなり改めるようになりました。

 

香南市のような地方の田舎町では、平坦で自転車にとっても快適な環境であっても、通勤もスーパーへの買い物も保育園への送り迎えもなんでもかんでもマイカー利用で、自転車は少数派。ごく短距離であってもマイカーで行ってしまう。街も住民も完全にクルマ依存症。

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

いくらなんでもマズイ…。マズすぎる。コスト面においても生活習慣病という面においても。そんな中では例え電アシ自転車であっても「クルマになんでもかんでも依存するよりずっとマシ。電動アシスト自転車も一つの選択肢として積極的に普及させていけばいい」と思うようになりました。

 

クロスバイクなどでは本来気持ちよく走れる速度域で、アシストが切れてただの重い自転車になってしまう欠点についても「そこは特性を理解した上で20km/h以上速度を出さないと割り切って使えばいい。ただのママチャリよりは平均速度で見れば速く走れるのだし」と。

 

本書を読む前から、随分と電アシ自転車を受け入れる態勢に改まっていました。

 

その上で読んでみて、「これはスゲー!電動アシスト自転車ってこんなに進歩していたのか!必要となれば是非欲しい!」って、かつて抱いていた誤解は完全に吹っ飛ぶに至りました。

 

まず、最新の電動アシスト自転車の性能の向上ぶりに驚かされます

 

ママチャリタイプであっても、バッテリーやモーターはもちろん、フレーム、ブレーキ、タイヤ、そしてフロントの子乗せ機能、スタンド、ハンドルロック、ライト…とあらゆるところが進歩しており、旧式の電動アシスト自転車とは全く別物と言えるところまで進歩を遂げていることが分かります。

 

もはや、「子乗せ自転車は電動アシストに限る!」と言っても過言ではないでしょう。これなら子供2人を乗せてスーパーへ買い物行っても、苦にならずに漕げるので、地方でもマイカーの代替手段とし十分期待できます。

 

ロードバイクはじめスポーツ自転車にも電動アシスト機構が導入されたモデルが登場しており、そちらのハイテクぶり(?)にも驚かせれます。なんともまあ、電動アシスト機構やバッテリーをフレーム内に隠し、見た目には普通のロードバイクとは見分けのつかない電動アシストロードバイクが存在しているとは…。

 

そして、実は電動アシスト自転車の方が、効果的に有酸素運動を続けられるというのは、目からウロコでした。なんたって「電気エネルギーで助けてもらったら大した運動にならないじゃないか」って思っていましたからね。

 

なるほど、上り坂や向かい風であっても運動強度がそれほど上がらず、無酸素運動になることがほぼないのでダイエットにはむしろ効果的わわけですね。それに、運動強度が低いゆえに毎日無理なく乗れるというのもダイエット面ではプラスになるでしょう。

 

本書では他にも、ブレーキ、変速機、タイヤなどの自転車の基礎知識、ヘルメットやベルなど安全やルールについて、自転車保険などこれまでの疋田氏の著書でも繰り返し述べられてきた内容も多いですが、安全で快適に自転車に乗るには知っておいて損はない(むしろ知っておくべき)情報ばかりです。

 

長くなりましたので、この辺にしておきますが、終盤の北京の電動自転車(もはやアシストじゃないよ)事情は読み物として面白く読ませていただきました。これはこれで超ガラパゴスなことになっているようです(笑)

 

電動アシスト自転車を購入しようと考えている方はもちろん、少しでも興味を持っている方にもオススメですよ。

 

地方にも自転車文化を広げていきたい。地方でも自転車が交通手段としてもっと活用されるようになってほしい。そのためにも地方についての自転車本を書いています!

 

いやはや超ひさしぶりのブログになってしまいました。一旦、忙しさにかまけてブログ更新を止めてしまうと、なかなか再開できない…。書こうと思うネタはたくさんあるにも関わらずです。なんとも情けない…いかんいかん。

 

ブログもうそうですが、自転車本の方も全然進展しておらず…。今年3月には「なるべく早く世に出せるよう頑張っていく!」って書いたにも関わらず未だに手についていません。今年ももう終わろうとしているのにです。

 

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2年ほど前の2014年10月、原稿が一通り完成しようやく出版社を紹介していただき「やっとこれで世に出せる。あとは編集者と編集作業を進めていくだけ。春(2015年)には出せる」って思ってしまう(思い込んでしまう)段階まで来ていただけに、相当気が滅入ってしまい出版社探しになかなか踏み出せない状態が続いています。

 

今思うと、かなり考えが甘かったです。

 

「はじめに」を公開します

 

さて、一通り完成しながらも塩漬け状態となっている自転車本の原稿ですが、今回「はじめに」だけですがブログに公開いたします。

 

「はじめに」の前に「タイトルは?」って当然思われるでしょう。内容は地方での自転車活用について書いた本ですが、タイトルについては筆者の私でも「これだっ!!」って思える絶妙なものが未だ思いつかないのですよ。

 

『地方も自転車の時代へ』、『地方で自転車活用するには』、『地方だって自転車の出番はある!』、『地方自転車事情』などいくつかタイトル候補はあるのですが、いまいちピンと来ないなぁ…。

 

以下「はじめに」本文です。「目次」はさすがに非公開とします。

 

【 はじめに 】

 

昨今、自転車が世間を賑わせています。


それらは、「これからは車道を走るように切り替えていく。歩道は走れなくなる?」(現行のルールでも車道を走るのが大原則ですが…)、「違反自転車の取り締まりを徹底する」、「歩行者との事故で賠償金5000万円支払い命令」、「3人乗り自転車問題」だったりと必ずしも積極的で明るい話題ではないですが、とにかく日陰に隠れがちだった自転車が世間で注目されだした証だと言えるでしょう。

 

21世紀に入って自転車を取り巻く環境は大きく変わって来ました。京都議定書をきっかけにCO2を排出しない環境に優しい乗り物として認知され、脱メタボブーム、ガソリン高騰も大いに後押しするきっかけとなりました。東日本大震災のときも、機動力の高さから脚光を浴び被災地では入手困難な時期もあったようです。

 

自転車ツーキニスト」という言葉も生まれました。自転車ツーキニストの元祖(?)、疋田智さんが名付けた名称ですが、最寄り駅までママチャリで行くというのではなく、自宅から直接会社まで高性能な自転車を使って日々通勤するという自転車通勤スタイルも東京など大都市を中心にすっかり定着しました。

 

東京では、ロードバイククロスバイクで颯爽と大通りを駆ける自転車ツーキニストの姿は、もはや当たり前の光景となりました。自転車メッセンジャーも朝から晩まで東京の街を駆け巡っています。土休日となると、荒川や多摩川沿いのサイクリンングロードは自転車で埋め尽くされています。

 

前述の疋田さんによると、「東京では、この十数年で自転車は目に見えて増えた。私が自転車通勤を始めたころは他に自転車に乗っている人をほとんど見かけなかった」とのことです。それだけ、目に見えて大きく変化しました。

 

現在は落ち着いている感はありますが、ちょっと前まで「自転車ブーム」と言われていました。実際に様々な種類の自転車雑誌が創刊され、大都市を中心にプロショップが相次いで開店しました。休日には自転車イベントが各地で開かれています。

 

だけど、その自転車ブームは一体どこまで広がったのでしょうか?自転車ツーキニストの姿が全国津々浦々で見られるのでしょうか?

 

その答えは、残念ながら「全くもってノー!」と言わざるを得ません。

 

はっきり言いますが、自転車ブームは東京や大阪など大都会に限った現象です。何年経てども筆者が住んでいる高知県のような地方には、ほとんど広がっていません。伝わってきていてもかなり歪な形で伝わってきていたり、行政の取り組みも全くもって遅れていたりしています。

 

県庁所在地などの地方中核都市から離れた田舎町ともなると「自転車ブーム?そんなものどこにあるの?」という有様で、影も形もありません。ガソリン価格が高騰しようが消費税が増税されようが、自転車を積極的に活用しようという動きは全く起きず、相変わらずクルマにどっぷり依存したライフスタイルに浸っています。

 

非常にモッタイナイ話です。地方でも、自転車(電動アシスト自転車も含む)の出番は大いにあります。本当は、地方でも極めて便利で快適な乗り物で、クルマを凌ぐ利便性を発揮することもあります。取り組み次第では、大きく化ける可能性すら秘めています。

 

そうでなかったら、こんな本など書きません(笑)

 

本書では、日本における地方の縮図とも言える高知県の各地域を具体例に取り上げます。

 

地方小都市の事例として高知県香南市(筆者の住んでいるところです)、県庁所在地などの地方中心都市の事例として高知県高知市についてそれぞれ取り上げ、両者の比較を交えつつ「現在、自転車はどのように利用されているか?」、「行政の取り組みは?」、「なぜそのような状況になっているのか?」などについて、筆者の体験も含めて説明してきます。

 

それらをふまえた上で、「地方の自転車活用策は?」、「地方で快適な自転車ライフをおくるには?」などについても述べていきます。

 

そして、山間部の事例として「ごっくん馬路村」をはじめとしたゆず加工品で有名になった高知県馬路村についても少し取り上げます。山村でも自転車が出る幕は十分あるのです。

 

最後に、行き過ぎた地方のクルマ社会がもたらしている問題について、自転車のみならず公共交通機関やクルマそのものについても言及し、地方の交通社会のあり方をちょっと大風呂敷を広げて提言していきます。

 

東日本大震災以降、これまでのようにエネルギーを原発に依存する事は許されなくなりました。かといって莫大な石油を消費しCO2を排出する火力発電もこれ以上増やすわけにはいきません。より一層のエネルギー消費削減が求められています。そして、高齢社会に突入し医療費、介護費もうなぎ上りでその抑制も喫緊の課題です。

 

自転車はそれらを解決する一助になるものと確信しています。自転車を上手に活用できれば地方も大きく変わるかもしれません。

 

本書を通して地方でも自転車のよさに気づく人が一人でも増え、自転車の活用を考えるきっかけになれば幸いです。

 

以上です。いろいろ書いていますが、要点は以下3点です。

 

・地方も自転車活用にもっと目を向けようぜ!

・地方にも良質な自転車文化の定着を図りたい。

・根本的にクルマ(マイカー)に依存しない地方に転換していってほしい。

 

約2年前、編集者さまに「この原稿を眠らしてしまうのはもったいない」っておっしゃっていただけに、なるべく早く世に出せるよう頑張っていかねばと思います。