地方の公共交通を立て直す!@高知家

地方の車社会、公共交通、自転車活用をはじめとする交通論・都市計画論、その他いろいろ

誤解されがちですが「地方すべての地域を直ちに脱クルマせよ!」なんて全く考えていません。

 

またまた「地方で暮らしちゃえば? 新潟のポテンシャル」というブログを書かれている方が、このブログの内容や主張について記事にしてくださいました。どうもありがとうございます。

 

「地方で脱クルマ」と言うと、ほんとに誤解を受けるというか、条件反射的なご批判を受けるのですよね。

 

chihou-ijyuu-niigata.blog.jp

 

批判ツイートをピックアップ

 

 Twitterの検索欄で「脱クルマ 地方」と検索したものをちょっと拾ってみました。

 

 

予想通り(?)、批判ツイートが出てきました。

 

以前、ブログにも以下のコメントが来ました。

 

 

「で?」「だから?」としか思えない内容でしたので、「取り合うだけ無駄」と判断して承認せずに消しましたが、Twitterではコピペして公開しました。

 

一連のご批判ですが、理路整然とした反論というより、条件反射的な反論なんですよね。「地方で脱クルマ?何バカなこと言ってんだ!」みたいな。

 

ということで、それらの反論に対して回答いたします。

 

脱クルマを推進すべきなのはあくまでも地方中核都市圏

 

まず、「地方すべての地域を脱クルマしていくべし!」は全然考えていません。

 

 

一括りに地方と言っても様々な地域があります。

 

高知県の中だけ見てみても、高知市のような「地方の中の都会」である「地方中核都市」、安芸市須崎市四万十市のようなその地域の中心地域である「地方小都市」、馬路村、大豊町梼原町土佐清水市などの山間部や漁村などの都市的な地域から離れた「農山漁村」と、一括りに地方と言っても環境は様々です。

 

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(五台山から見た高知市街 2016年3月21日)

 

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四万十市 2017年8月29日)

 

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(馬路村 2012年12月3日)

 

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(東洋町甲浦 2015年8月1日)

 

反論される方は、高知市のような都市化された地域と大豊町のような山間部地域も同じ地方としてごっちゃに捉え、「おまえ何言ってんだ!」と言っているのでしょう。

 

何も、近くにスーパーや郵便局もないような山奥や地形的に隔絶された漁村まで、全国津々浦々脱クルマしろなんて全く言ってないですよ。むしろ、そういう地域は農林水産業の作業用として生産的な側面が強いですし、同時に生活必需品であります。普通にクルマは必要です。ぼくも全くもって否定していません。

 

脱クルマを推進していくべきなのは、あくまでも地方中核都市の市街地およびその都市圏と、地方小都市の市街地内です。

 

そこの過度なクルマ依存は、渋滞、大気汚染、交通事故(特に高齢者が運転して起こす交通事故が社会問題になっています)、駐車場等による土地の無駄使い、都市空間の魅力低下など弊害も大きいですし、そこで暮らす住民にとってもマイカーの維持コストは生活コストを押し上げる要因になっていますしね。他の趣味娯楽や住環境の改善等に回るであろうお金が食い潰されてしまっています。

 

「弊害が大きいのでその部分を緩和していきましょう」と言っているわけです。

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

条件反射的に反論する方は、こういう過度なクルマ社会の弊害についてどう考えているか聞きたいものです。

 

持論ですが、地方と言えども都市という場所は、マイカーを持たなくても何ら問題なく生活できるところであるべきと考えています。

 

 

脱クルマ社会は公共交通の充実が大前提。「クルマ乗るのはけしからん!」ではありません!

 

次に、現状の交通環境のままクルマを減らすべきとも考えていませんし、クルマに依存している人々自体を批判しているわけではありません。(さすがに、わずか数百メートル先のコンビニへもクルマは依存し過ぎだと思いますが…)

 

「マイカーに依存するのはけしからん!直ちにクルマ捨てて自転車に乗れ!不便な公共交通に我慢して乗れ!」なんて全くもって言っていません。

 

問題にしているのは、地方中核都市圏であっても通勤や休日の外出などフツーの生活のためにもマイカー所有が大前提になっている社会構造です。

 

「地方の人々がクルマに依存するのはけしからん!」ではなく、「公共交通がクソすぎてクルマに依存せざるを得ない地方社会がけしからん!」ですよ。

 

現状では地方でクルマに乗ることはやむを得ないものと考えています。ぼくだって、乗っていますし。不便で高い公共交通に無理して乗るのは現実的ではないですもの。

 

しかし前述のように、クルマ依存社会は色々と弊害が大きいですし、地方の疲弊と衰退を招いているとすら考えています。そういう状況から脱出するためにも、便利で快適に使える公共交通を整備してクルマから移行できる環境整備が必須だと言っているわけです。

 

そう言うとすぐに、「地方で公共交通を充実させて採算とれるの?」と突っ込む方があらわれますが、細かく書くと独立採算制のことや公共インフラとしての考えや社会的便益のことなどキリがなくなるので詳細は省略します。

 

ただ、これだけは言っておきます。「人口が集積した地域で一人一台マイカーを維持し走らせるよりは、交通手段をみんなで共有した方が一人あたりの移動にかかるコストは遥かに安くて済む。それだけ生活コストは低減できて実質の可処分所得は上がる」と。

 

生産手段的なクルマと消費手段的なクルマは全く違う

 

以前、こんな批判をされた方がいらっしゃいました。

 

農家はクルマがないと困る。公共交通で収穫物は運べない。

 

聞いた瞬間、「・・・・・・・・・」でしたよ。

 

 あのね、農家の軽トラはあくまでも農作業用、業務用ですよ。「はたらくクルマ」というやつです。農家をはじめとした自営業者が仕事で使っている自動車は、都市部のサラリーマン(給与所得者)世帯が持つマイカーとは全く別物ですぜ。

 

前者は生産的な側面が強いですが、後者は消費的な側面が強く、同じクルマと言ってもその意味合いは全く異なってきます。

 

農家が持っている軽トラは、生産手段と考えれば価格もさほど高くない上、全額経費として計上できます。それに商用車と設計されているだけに、耐久性は高く寿命も長いので、決して高コストには思いません。それで買い物に行ったり用事を済ませたりはしますが、もともと仕事で使っているものを、日常の移動用にも活用しているだけなので、追加の出費も微々たるものです。

 

そう言うと「サラリーマンだって通勤に使っているから生産的手段の側面はある」と反論されるでしょうが、短距離であれば自転車に代替可能な場合も多いですし、バイクという選択肢もありますし、中長距離も公共交通を整備したら代替可能なことを考えたら、やはり高コストすぎると言わざるを得ません。

 

それゆえに農山漁村地域では、クルマ社会でもほとんど問題ではないと考えています。人口密度が低いので、渋滞も基本ありませんしクルマが氾濫しすぎて息苦しいということもないですし。

 

ただそういう地域でも、農林水産業などの自営業者ではないサラリーマンもいますし、農家であっても別に乗用車を持っていることは多いですし、高齢者の運転による事故の問題もあるのでその辺は今後課題になってきますね。

 

個人的には、日常移動用として軽自動車よりも安価に維持できる2人乗りで電動の小型自動車(超小型モビリティ)や電動スクーターを普及させて、本格的な乗用車はカーシェアリングで適宜利用できるようにしていくのが望ましい思っています。

 

 それでも脱クルマの流れを作っていかねばならない

 

 別に反論するのは一向に構わないのですよ。

 

だけど、あまりにも条件反射的で感情的な反論が多いように見受けられます。なぜクルマ依存社会を問題視しているのか、ちゃんと書いていることを読んでから理路整然とした内容で反論していただきたいと思います。

 

ですが、残念ながらそういう建設的な反論って滅多にないのですよね。感情的な批判ばかりが目立ちます。それだけ多くの人々が、所謂『クルマ脳』と言われているクルマ絶対主義ってやつに骨の髄まで侵されてしまっている証でしょうね。

 

ま、何と言われようと地方の衰退を食い止め、地方の経済や暮らしがよりよくなっていくためには、公共交通を整備し自転車も使いやすくして、脱クルマの流れを生み出していく必要があると確信しています。

 

「地方で暮らしちゃえば? ー新潟のポテンシャルー」さま、ブログ記事にしていただきありがとうございます!

 

9月初め、書いている自転車本の「はじめに」「目次」「企画書」をブログで公開しました。

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

実際にこれで出版社が見つかるかはともかくとして、広くご意見、ご感想をいただければと思って公開しました。さらに、Twitterも活用し常にトップに来るように固定し、Facebookでもリンクを貼りました。

 

しかし反応は、期待してたほどではありませんでした。

 

特に、Facebookは惨憺たる状態です。自分のタイムラインと自転車活用推進研究会(自活研)のグループ(非公開です)にリンクを貼ってみましたが、「いいね!」が数件ついたのみという有様です。自活研の方は業界の方々も多く集まっており、有意義なアドバイスもいただけると思ったのですがね…。

 

正直、前途多難です。やはり、改めて自分で出版社を探して行く方針です。

 

そんな中、新潟で運営されているブログ「地方で暮らしちゃえば? -新潟のポテンシャル-」に、ぼくの記事を読んだ上で「前編」と「後編」にわたって記事にしていただきました。

 

chihou-ijyuu-niigata.blog.jp

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記事にしていただき、そして応援していただき、誠にありがとうございます。

 

特に、編集者さまに「地方の自転車活用がテーマで読者が想定できない」と言われ企画を断れたことに対して反応していただいたのが嬉しかったです。

 

おそらくは「体よくさっさと逃げるための常套句」だったと思うのですが、これを言われるのはショックでしたね。企画内容そのものを否定されたに等しいですし、「地方で自転車活用なんて土台無理だよ!」って言われてるようでしたから。

 

この20年間というもの日本社会は、不況、ガソリン高騰、消費税増税、メタボをはじめとした健康問題、原発問題などと、数々の荒波を潜り抜け、さらに若者のクルマ離れも言われるようになりました。

 

地方でも潜在的に自転車活用が求められており背中をポーンと一押しすれば変わっていくと確信しているだけに、「読者が想定できない」と言われるはだいぶ落ち込みましたね。

 

「後編」で潜在的な読者はけっこういると思う」と言っていただき励まされました。ほんに身近な交通手段という「万人に共通する課題」ですよね。

 

クルマ社会のネガティブな側面も年々強くなっているように思います。高齢者が運転する車による交通事故も盛んに報道されていますしね。若者のクルマ離れ現象も、単に若者の所得減少だけでが原因でなく、クルマを決していいものとして見てないことの表れでしょう。

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

 

地方でも特に人口数十万人を抱える中核都市圏では、脱クルマ社会の流れは来るでしょうね。いや地方の暮らしを魅力的にしていく上でも来るべきですよ。

 

「マイカーを持たない選択肢も当たり前にしていく」べく頑張ります!

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp

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応援していただき誠にありがとうございます。

 

それにしても「まだガソリン代で消耗してるの?」は、あからさまにイケダ氏のパクリっぽくて抵抗があるなぁ(笑)

そう言えば、イケダ氏とお会いしたとき、「僕だったら『まだ車貧乏を続けるのですか?』っていうタイトルにするけどね」みたいにおっしゃってたのを思い出しました。2作目以降でそれいいかもとは思っています。

 

地方ではどこへ行くにもマイカー移動が常識!クルマに乗りつつも自転車にも適宜乗る発想がないという事実。

 

毎度書いていますが、地方ではどこへ行くにもマイカーというライフスタイルが浸透しています。

 

高知市のような「地方の中の都会」である中核都市はともかく、筆者の住む香南市を筆頭に四万十市須崎市など人口数万人の小都市ともなると、自転車に乗っているのは高校生までと免許を持っていない高齢者ばかりが目立ち、働き盛りの大人の方で乗っているのはほんと少数派です。

 

今となってはバイクやクルマ(ごくごく稀ですが)にも乗っていますが、自転車も便利で快適で経済的な移動手段として、依然日常的に乗り続けている筆者としては、すごくもったいないことだと思うのですよね。

 

「田舎 自転車 乗らない」でググってみました

 

それはさておき、「なぜ地方では自転車が使われていないのだろう?」という原因の一端を探るべく、ふと「田舎 自転車 乗らない」でググってみたら、以下のページが出てきました。

 

mamastar.jp

mamastar.jp

 

全部読んでみました。ぼくの経験も踏まえ「やっぱりそうだな」と思える部分が多く面白く読ませていただきました

 

「バカにされる」「変わり者扱い」「免許がない?」「買い物に行く=車」「車が田舎の常識」…

 

二つの掲示板の書き込みから特徴的な内容をピックアップしてみました。一部には、自転車だけでなく徒歩に対する意見も含まれていますが、車に対しての「自転車・徒歩」ということですので、同じように扱います。

 

・通勤は自転車だが、職場の人にはバカにされる。「車買えよ」ってね。

・自転車で15分の職場まで行ったら皆に笑われる。

・大人でチャリなんて、余程金がないか免許がないかって感じ。

・車がチャリ感覚。

・移動は基本車が田舎の常識。

・100m先でも車で移動する人が多い。徒歩5分の職場へも車通勤。

・「免許も取らずに自転車で偉いね」と言われた。(「自転車は疲れるのに偉いね」ということらしい)

・歩いて行くって発想が頭から消えている。無意識に車乗る。

・店の間が距離があるので自転車では時間がかかりすぎて廻れない。

 

「車があればすべて車で移動」が暗黙の了解? 状況に応じて自転車や徒歩も適宜使い分ける発想がないようです。

 

もっとも印象に残ったのは、自転車に乗って通勤したり、買い物したりしたら「バカにされた」「笑われた」「変わり者扱い」ということです。さらに、それだけでなく「車はどうした?」「免許とれよ」って言われることも。

 

地方と言えども、移動距離や荷物などの状況次第で徒歩や自転車で十分事足りることは決して少なくないですし、ママチャリでなくクロスバイクであれば、自転車の守備範囲はかなり広がります。ぼくをはじめ「運動不足になるから」という理由で意識して自転車に乗っている人もいます。ガソリン代も決してバカになりません。

 

それら自転車に乗る合理的な理由があるにも関わらず、地方(田舎)で自転車乗ったてたら即座に「車を持ってない」と思われ、「免許すら持ってない」って思われることも…。

 

ぼくもそういう経験は幾度もあります。自宅から7km先の香南市中心部まで自転車で行ったら知り合いに「早く免許とりや〜」って言われましたからね(笑)

 

地方(田舎)では「一旦マイカーを持てば、短距離だろうが何だろうが全部それで移動するのが常識」になっているのが伺えます。

 

そこには、「マイカーを持ちつつも状況に応じて適宜自転車に乗ったり歩いたりする」という考えが完全に抜け落ちています。

 

バカにする人は、「近いから自転車なんだろうな」「運動のために自転車なんだろうな」とは思わないのでしょうか。それを思いつかないほど「移動=車」という固定観念にガチガチに縛られているのかもしれません。これまで自転車通勤していた人が同じ職場におらず、そこに自転車で通勤する人がいきなり現れると「えっ?」となって言ってしまったとも考えられます。

 

それだけ、地方(田舎)が同質性の強い社会ということを物語っています。高校生までは誰もが乗ってきたであろう自転車に乗っているだけで異端扱いですからね。確実に地方のダメな部分ですね。

 

blog.livedoor.jp

 

ぼくだったらバカにされたら、「たったこれだけの距離でクルマを走らせるのこそバカらしい。短距離走行は燃費極悪でクルマにも負担かかるし」って言い返しますね。

 

自転車利用を増やすにはネガティブな側面を取り払っていくしかない

 

書き込みの中には、「自転車は疲れるしお店を廻るのに時間がかかる」というごもっともな意見もありました。自転車をネガティブに捉えていることがわかります。

 

自転車に乗っている人をバカにする人も、無意識に自転車をネガティブに捉えているのだと思います。高校生時代の通学が辛かったのかもしれませんね。

 

確かに、ママチャリでは遅いしちょっと走ると疲れます。都市部より移動距離が伸びる地方の交通事情に適してないのは事実です。加えて整備状態も大抵はよろしくないでしょうしね。ネガティブになってしまうのは同情します。

 

クロスバイクであれば、別の乗り物かと思うくらいに速くて快適なのですが(ただ荷物がほとんど積めないのでそのままでは地方での大きく普及させるのは難しいです)、未だに世間一般ではママチャリレベルで自転車が認識されているのは、その辺業界の周知不足でしょうかね。

 

行き過ぎた地方のクルマ依存社会を少しでも緩和すべく、自転車でも無理なく代替できるところは自転車に代替していくべきです。

 

地方で自転車を普及させるには、世間一般の認識をクロスバイクレベルに押し上げ、経済性と健康面でのメリットを明確なデータをもとに示して、ネガティブな側面を解消していくのがよいと考えています。

 

あと「短距離走行を自転車に切り替えれば、マイカーも労わることになるよ!」という面からも攻めていけます。

 

とにかく「自転車もいいですよ〜、快適ですよ〜」って言うことですよね。

 

地方での自転車活用をテーマにした本を書いています!

 

地方でももっと自転車が活用され、さらには脱クルマ社会を推進していきたいという考えで地方の自転車活用をテーマにした本を書いています。よろしくお願いします!

 

nomotoyasushi.hatenablog.jp