【とさでん交通路面電車】老朽車両の根本的な置き換えは、インフラ近代化とセットで実施するのがベスト!第一弾は桟橋線を桂浜へ!
とさでん交通(路面電車)に15年ぶりの新車(超低床車)導入!
とさでん交通、15年ぶり新車投入!
— まりるばす (@mari6bus) 2017年5月24日
高知新聞より。 pic.twitter.com/lDI9BNnyf2
現時点では、具体的な情報は一切不明ですが(知っていてもここでは書けないですが) 、今年度中に2002年導入の100形ハートラムに続く超低床の新車が登場するそうです。
(100形101号ハートラム 2017年4月27日撮影)
老朽車両を根本的に置き換える妙案はない?
久しぶりの新車登場は明るい話題です。大いに期待しています。
しかし、依然9割以上を占める老朽化した旧型車両の根本的な置き換えは、このようなペースでは全くままなりません。
(600形621号他 2017年12月1日 はりまや橋電停)
(200形208号 2017年11月9日 旭町一丁目~旭駅前通)
(590形591号 2016年6月17日 はりまや橋交差点)
(1000形1002号 2016年8月10日 蓮池町通)
もし仮に、利用者増と増収増益を達成し、補助金を活用しつつ増収分で1年に1編成のペースで置き換えが可能になったとしても、50両以上ある旧式車両を全部代替するには50年以上かかってしまいます。
導入時期が昭和25~39年の15年間に集中していますので、このペースで置き換えても、一気にやって来る老朽化に対応できず行き詰まってしまうことが予想されます。大幅な減便や最悪路線縮小につながりかねません。
では、事業者負担分も全面的に税金を投入し、車両も行政が所有して事業者への貸与という形をとって、1年に3~4編成のペースで導入する方法はどうでしょうか?
しかし結局のところは、老朽車両が新車に替わるだけの効果しかなく、都市交通機関としての発展性はほとんど期待できません。新車が増えたからと言って、多くの住民にとって、明確に暮らしが良くなるわけでもありません。バリアフリー面では効果あるため、決して税金の無駄使いではありませんが、貴重な税収を電車の購入ばかりに投入する余裕は、行政にはないでしょう。
本当に、今後どうするのだろう?
現状を見るかぎり、根本的に老朽車両を置き換える「妙案はない!」ということになってしまいます。
高知の街を行き交う路面電車はどれも、疲れ切った旧型車両ばかりという光景を見ていると、むなしくなってきます。高知の衰退を象徴しているようです。完全に時代に取り残されており、「ノスタルジック」とか「風情があっていい」というレベルを超えています。
江ノ島電鉄の旧型車両である305号編成は、鉄道ファン以外の方々にも人気がありますが、他の車両が近代化されている中で少数(今や1編成だけですが)生き残っているからこそでしょう。江ノ電の車両が全部これだったら、単に「ボロ電」呼ばわりされるだけです。
公共投資として延伸・郊外線改良・直通運転などのインフラ近代化を進め、それとセットで車両を一新して置き換えていくしかない
2016年5月に書いた記事でも、とさでん交通路面電車の車両の置き換えは急務なものの、貧弱な地上設備に手をつけず、機械的に車両を更新するだけでは将来性に乏しいと述べました。
郊外部でも電停間隔が短く線形も悪く時間がかかる…、依然残る危険なノーガード電停…、桟橋線は短すぎてネットワークとして不十分…と、むしろ地上設備の方が車両以上に時代から取り残されています。
根本的に近代化が必要なのは、上者(車両)ではなく、土台(インフラ・地上設備)の方です。上者(車両)は、公共投資として土台(インフラ・地上設備)の近代化に内包する形で一緒に近代化するのベストです。
公共交通機関のインフラを大幅に近代化すれば、都市交通機関として息を吹きすばかりでなく、都市圏のクルマ依存からの脱却と暮らしの質の向上、人口流出抑制、観光の活性化など、高知にとって確実に社会的便益、経済効果をもたらすものと確信しています。予算は当然莫大にかかりますが、後ろ向きな支出ではなく将来を見据えた前向きな投資です。
後免線・伊野線は、JR線等と一体化したネットワークを構築し車両も一新がベスト
まず、東西に伸びる後免線と伊野線の改良案についてざっと述べます。
後免線部分では郊外は主に国道上に高架で付け替えて高速化を図り(現行線は廃止)、後免町駅ではなくJR後免駅に至る形に変更し、そこから土佐山田方面、野市・安芸方面、さらに空港線を新設し空港方面へ直通運転(というか一体化)することを提案します。加えて、医療センター・県立大・高知新港へ至る新線等も提案します。
(後免線ルート変更案 高知新港方面および土佐一宮方面の新設案も書き込んでいます)
ごめん・なはり線の野市・安芸方面への直通運転は、かつての土佐電鉄安芸線で実績があります。現在の広島電鉄のように、鉄道線と一体化したネットワークを築いていました。それをグレードアップした形で現代に復活させることは、大いに意義があることだと考えています。
1967年12月末土佐電鉄安芸線を撮影、モハ5000形(元阪神電鉄1101形改造)、クハ3000形(種車同じ、いずれも後免町駅で撮影)、後免町駅の車庫(廃車された車体だけのガソリンカー)、軌道線の車両(連結運転)後免駅辺りか? pic.twitter.com/rD4kKSLlXP
— アイマン (@13namiki) 2016年9月30日
さらに西側の伊野線部分でも、旭町駅前通よりJR朝倉駅までは地下の新線を建設し(旭駅前通から西側の現行線は原則廃止という考えですが、旭駅前通~高知大学前間は単線部分のトランジットモール化を実施した上で支線とし残してもいいかも)、JR朝倉駅よりJR土讃線(伊野までは複線化)に乗り入れ、日下・佐川方面や、さらに土佐市高岡を経由した高速運転可能な短絡線案である高岡新線に直通し、須崎・窪川・中村方面へ直通することも提案しています。
JR線等に直通するとなるとまず、「市街地を走る路面電車の低いホームと、JR線等の高いホームの違いをどうするか?」という問題が生じますが、これに関しては、「路面電車部分のホームを、JR線に準じて都電荒川線方式に切り替え上げてしまう。車両も”1両18m・車体幅2.85m”のステップなしの車両とし、最大で5両編成で運行する」のがベストだと考えています。軌道法による全長30m制限のことは、この際置いておきます。色々考えましたが、広域ネットワークを築くとなると、車両はこうするのが最も良いと考えています。
もはや、路面電車のJR線等への直通運転というレベルにとどまらず、「JR線等との一体化・融合」と呼べるものです。車両規格がまるで変わるので、当然ながら現行の車両は、東西系統では一切使用できなくなります。一新する他ありません。今のチンチン電車の情緒はなくなってしまいますが、都市交通機関としての正統な進化、ほとんどの車両が老朽化し置き換えに直面してるという現状を踏まえれば、それもいたしかないと思っています。
いやはや、スケールが大きい話です。一部だけ実施してもあまり意味がありませんし、どこから着手すればよいか見極めるのも難しいです。書いている本人も、現時点では非現実的だと思っています。
なのでこの構想は、とりあえず保留としておきます。東西系統は、当面は現行の設備のままで旧型車両と少数の超低床車で粘るしかないとして、先に南北の延伸(特に南部の延伸)とそれに伴う車両の近代化を提案します。
近代化(LRT化)計画第一弾として、桟橋線を桂浜まで延伸しよう!
「二兎を追う者は一兎も得ず」という諺もあるくらいですので、桟橋線の南北延伸の提案を最優先します。こちらの構想は、東西と異なり単独の整備でも効果が十分期待できます。
はりまや橋から南北に伸びる桟橋線は、はりまや橋から高知駅まではわずか0.8km、はりまや橋から桟橋通五丁目までは2.4kmという短い路線です。
高度成長期以降、南北とも市街地が拡大したにも関わらず、それに対応して延伸されなかった桟橋線は都市交通機関として十分に機能しているとは言いがたいです。今に始まったことではないですが、昼間のはりまや橋以南は空気輸送状態のことが多く、あまり利用されていません。
そういうこともあって、北部方面を中心に延伸計画は何度も浮上しています。
高知駅より北部のイオンモール方面への延伸は、高知駅が高架化された前後に、構想が出ては消え出ては消えという状態を繰り返し、最終的に白紙となっています。桟橋より南部の長浜方面への延伸は、高度成長期のニュータウン開発時に構想が出たくらいで、現在では特に聞こえてきません。
土佐電を高知駅の北に延伸する話もあったようだが、ルートでもめてる間に高知駅の高架設計が決まってしまって結局ダメになったという、しょうもない話がある。富山の例を考えると、せめて真下にまで伸ばす発想があってもよかったんでないか?
— 重ソーダ (@NaCHO3msk) 2016年8月21日
土佐電鉄はかなり東西に長い。その代わり南北が短いから南は桂浜の方まで延伸してもいいと思う。高知駅の新駅舎の建設費をケチったから北に伸ばせないのは有名だけど。
— 豪珍 (@gochintk) 2013年8月5日
軌道敷設だけなら500m.で2億円くらいらしい。ただ用地買収とか橋の架け替えとか権利関係とか課題は山積・・(-_-;) RT @dts_kochi_bs: 高知駅を突き抜けて、イオンモールまで延伸するのにいくらかかるかなぁ…
— 土佐電鉄経営企画室 (@TOSADEN) 2011年2月25日
北部延伸は、JR土讃線の連続立体交差化、日赤病院のイオンモール横への移転および関連する道路整備と、幾度もチャンスが巡ってきました。にもかかわらず、本格的に話は進展することなく立ち消えになってしまっています。
北部地域にも住宅は広がっており、集客力のあるイオンモールの存在、日赤の移転…と確実に需要が見込め、高齢社会への対応や都市交通の脱クルマも今後求められるというのに、なんとも情けない…。結局のところ、高知の政界や財界に、富山のように超熱心な人がいないということでしょう。
筆者は、「絶対に伸ばした方がいい」という考えです。路線バスやJR線との連絡も考慮するとイオンモールまでではなく、東側のJR薊野駅近辺まで伸ばすのが良いでしょう。
Twitterに上の図を投稿したところ、「一宮のしなねさん(土佐神社)あたりまで伸ばせるといいかもね」と反応がありました。確かにそうなのですが、さすがに敷設するスペースがないという問題が…。
しかし、北部延伸案は重要性は高いのですが、単なる延伸に過ぎず如何せん地味な話です。現段階で、財源のハードルを乗り越えられるほど盛り上がるのは難しいかと思われます。
筆者としては、南部の長浜・桂浜方面への延伸の方を先に推しています。近代化第一弾計画として、「桂浜への延伸を機会として桟橋線の近代化を完了させよう!」という提案です。
こちらの方が、単なる公共交通の利便性向上を超え、電車自体も観光資源になり、高知県全体の観光活性化にも大いにつながる期待もあり、話題性もあります。各方面からの支援が期待できるからです。
まず、横浜・瀬戸地区を中心にニュータウンが広がり、すでに沿線人口は豊富です。後免線沿線の新興住宅地である高須地区と匹敵するレベルだと思われます。現段階でも通勤通学を中心に需要は十分に見込める上、津波の心配がない高台が多いため、電車を通すことによって将来的にも人口増加と利用者の増加が期待できます。
(高知市横浜地区・瀬戸地区に広がる住宅地 2017年9月29日)
次に、高知を代表する観光地である桂浜へ伸ばすことは、単に桂浜への観光客輸送、アクセス手段の改善にとどまらず、もっと大きな可能性を秘めています。
桂浜の古臭い商業施設をリニューアルすることが大前提ですが、電車が通ることによって、桂浜の魅力が向上し、観光客がしっかりお金を落としてくれる観光地になり得ます。桂浜に眺望の良いカフェなどが出来れば、県民にとっても身近な場所になるでしょう。
桂浜を「よさこい祭り」の会場にすることだって可能になります!
踊り子や観客を大量かつスムースに桂浜と中心街とを往復させることが、電車では可能になります。よさこい節にも桂浜は歌われています。桂浜をよさこいの会場にできる意義は大いにあります。
(桂浜 2017年10月8日)
もちろん、よさこいに留まらず、様々なイベントが桂浜で開けるようになります。個人的には、桂浜でも曜日市をやってもいいんじゃないかなって思ってます。
そして、湘南の江ノ電のように電車自体も観光資源になります。上図のルートであれば、車窓からは、安ヶ谷付近で浦戸湾(高架で敷設することになるので堤防に遮られることなく見渡せる)が、花海道沿いでは、太平洋の大海原が望めます。
(安ヶ谷付近の堤防から望む浦戸湾の風景 2017年10月8日)
(花海道沿いの風景 上:2017年9月25日 下:2017年7月21日)
車両に関しても、新型の超低床車をメインに導入しつつ、600形など高知生え抜きの車両や広島電鉄あたりから引退が予定されている元京都市電1900形や元大阪市電900形などの車両を譲り受け改造して日常運行で活用すれば、それも素晴らしい観光資源となります。さらに、臨時・団体運行という形にはなるかと思いますが、「維新号」や「外国電車」も走らせたら、なかなか面白くなりそう。「レトロな維新号に乗って桂浜へ行ける!」と思うと、胸が熱くなります。
(7形維新号 2004年5月2日 これに乗って桂浜へ行ければ…)
ともかく、「高知に観光に来たら必ず乗ってみたい!」と思わせる観光資源にしたいものです。
クラウドファウンディングを活用して資金を集めよう!
で、「財源はどっからもってくるの?」って話になるかと思います。
南部への延伸だけでも、建設費用で250~300億円、車両の新造および改造で30億円程度かかるものと考えられます。
LRT新設事業の補助金を活用すれば半分は捻出できるようですが(詳しくはちょっと忘れましたが)、問題は残りの半分。新線部分は、高知市所有の上下分離方式となるかと思いますが、市がそれを全部負担するほどの財政的余裕はないでしょう。まさか全部運賃に転嫁して回収するわけにもいきません。
普通ならここで話は詰んでしまいます。
だが、桂浜への延伸は単なる公共交通の利便性向上にとどまらない、高知市南部の住宅地としての価値の向上、高知県全体の観光の活性化、よさこい祭りのさらなる発展にもつながる、前向きな将来性のある提案です。
2017年よさこい祭りの経済効果は、96億円で過去最高だったようです。
今年のよさこい祭りの経済効果ぎ発表されました(((o(*゚▽゚*)o)))
— みんなでよさこい高知 (@minnadeyosakoi1) 2017年10月28日
過去最高、投資の7倍、雇用創出などなど、よさこい祭りをこのような角度で見ると改めて高知の宝だと感じますねぇ〜◎#みんよさ #高知家 #観光 pic.twitter.com/awiiGFEayu
その経済効果を踏まえると、300億円かかると言っても決して非現実ではないように思います。桂浜が新たに会場に加わることにより、よさこいのさらなる盛り上がりも期待できます。
それらを踏まえて、様々な資金調達方法が考えられますが、今注目を浴びているクラウドファウンディングをはじめとする寄付による調達は、有望な手段だと思っています。
沿線の住民や事業所、観光に関係する業者、高知県やよさこい祭りを応援している方々、鉄道ファンなどなど。
どれだけ集まるかはやってみないことには想像できないですが、総額300億円かかると仮定すれば50億円くらいを目標に集めたいものです。多額ではありますが、一瞬で消える花火大会に毎年億単位の寄付金が集まっているくらいですから、決して不可能とは思っていません。何より現代では、インターネットを活用して全国(いや世界中)から募ることができます。
まずは、桂浜への延伸を実現させて南北系統を近代化しよう!そして、次に北部延伸、東西系統の近代化と着手していこうではないですか!
桂浜延伸構想の詳細は、順次書いていきます!
概略だけのつもりで書いていましたが、情報量も多く想像を遥かに超えて長くなってしまいました…。路線スペックや、車両、運賃収受方式、バス路線との連携、財源の詳細などの踏み込んだことは、今後数回に分けて書いていきます。
約20年前の自転車「ラ・クッション」がまだまだ現役な理由。
2016年4月に、記事にしましたブリヂストンサイクル製の「ラ・クッション」、2018年に入った現在も退役することなく現役バリバリです。あと1年半で20歳を迎えるという古参となりました。
(2017年5月31日撮影 夜須駅前にて)
しかも昨年11月より、なんと日常的に稼働している唯一の自転車となってしまっています。さすがに昔のように高知市(片道約20km)へ走ったりすることは滅多にありませんが、それでも香南市野市町(片道約8km)へは行くこともあり、ご老体ながら第一線の活躍を続ける事態となっています。
後継車はきちんとあります。それも日常用に使えるのが2台もあります。「ラ・クッション」の立ち位置は一応は予備車です。
しかし、しぶとく現役なのは結局のところ、「後継車が完全な代替になってない」ということに尽きます。愛着云々の問題はそれほど重要ではありません。
「PEUGEOT COM70F」は外装変速式なので雨の日には使いたくない。しかも、不具合により使用停止に。
ここ最近は、街乗りタイプのクロスバイクである「PEUGEOT COM70F」をメインで使ってきました。
(2014年5月11日撮影 夜須駅前にて)
この自転車も2005年5月購入とかなり古い部類に入ります。ドロヨケとスタンドは標準装備で、カゴとバーエンドは後付けです。
つくば市に住んでいた頃はメインで使っていましたが、高知に帰って来た当初はカゴがないゆえの使い勝手の悪さからあまり使っていませんでした。2012年11月に、カゴを取り付け、後にバーエンドも取り付けたため(女性用のフレームなので実は窮屈という問題があります)、稼働率は大幅に向上しました。
スチールフレームの優しい乗り味は素晴らしく、走りもそこそこ軽快なため主力に君臨していましたが、変速が外装式のため、雨の日にはあまり使いたくありません。したがって、雨の日、地面が濡れている日は、唯一の内装変速式でベルトドライブの「ラ・クッション」が重宝してきました。
晴れた日は、「PEUGEOT COM70F」または後述の「ノルコグ SL6」、雨の日は、「ラ・クッション」という体制が続いてきましたが、昨年11月に「PEUGEOT COM70F」の方に不具合が判明。
惰性走行時や押して進む時も、クランクが回るトラブルでおそらくフリーホイールの故障だと思われます。乗れないわけではないですが、そのまま使うとさらに悪化しそうなので使用停止。
そこだけ直してもいいのですが、今後も使用に耐えるべくハブやボトムブラケットのオーバーホールを実施する予定(かなり前から予定はありますが先送りにしてきました)があるため、その時に一緒に直す予定です。
ということで、現在は運用から外れております。
「ノルコグ SL6」も外装変速式な上、アルミフレームで乗り心地に難ありかつ重心高めで妙に乗りづらく、稼働率低下…。
こちらは、「ラ・クッション」の正統な後継として2014年3月に購入したのですが・・・。
(2014年9月2日撮影 土佐市高岡にて)
必要な時は長距離も走れて荷物も積める自転車として導入しました。実際に、片道40km先へ2時間強で問題なく走っていける実力を持っています。
だが、徐々に稼働率が低下し、1年ほど半ば放置状態となってしまっています。
まず、「PEUGEOT COM70F」と同様に外装変速式なため、雨の日には使いたくありません。その点でやはり「ラ・クッション」の完全代替にはなってません。
案外、乗りにくい面があることも分かってきました。
筆者は基本的にアルミフレームは好きではありません。性能面、重量、用途、価格等を勘案してこれしかなかったという妥協でこれを選んだのですが、やはりアルミフレームの乗り味は好みではないです。
舗装状態が良好な場合は、さほど問題はないのですが、旧道や歩道の継ぎ接ぎだらけのところで、乗っていたらやはり疲れます。しかも、長距離向けにサドルをクロスバイク用の細いものに換装しているので余計です。
加えて、「ラ・クッション」や「PEUGEOT COM70F」に比べると、妙に重心が高めなのも乗りづらい要因になっています。ロードバイクみたいに常に高速走行するわけではないですから、重心が高めなのはちょっと扱いにくいものです。
それらもあって、故障しているわけではないですが、最近は放置気味になっています。しかし最も新しい自転車、使わないとさすがにもったい。乗り心地改善のためサドルを広くて柔らかいものに交換した上(ロードバイクのように常にぶん回して走っているわけではないので、これでも問題ないと判明)で、復帰予定です。
結論:「ラ・クッション」の使い勝手と乗り心地が良すぎる!性能も通常は必要十分。
結局のところ、「ラ・クッション」が現役を続けているのは、後継車が完全に代替できてないわけですが、まとめると以下の理由です。
第一に、「唯一の内装変速式かつベルトドライブ装備ゆえに雨の日にも安心して使える」ことです。
最大の理由がこれです。筆者は自転車好きではありますが、注油や清掃は正直メンドクサイと思っています。雨の日には、汚れる上に小まめなメンテナンスが必要な外装変速の自転車はあまり使いたくありません。
その点で、内装変速式+ベルトドライブは雨の日に乗ってほったらかしで大丈夫なので、雨の日にもってこいです。
第二に、「乗り心地が優れている」ということです。
もともとスチールフレームの上、この自転車最大のウリであるサスペンションがあり、サドルも柔らかいので乗り心地はメチャクチャ快適です。重心も低めで低速でも扱いやすいです。
これまでも「ノルコグ SL6」より「PEUGEOT COM70F」の方が、よく使われているのは乗り心地のよさにこそ理由があります。サスペンションこそないですが、優しい乗り味は「ラ・クッション」と引けをとらないくらい快適です。
今、「PEUGEOT COM70F」が使用停止となって、「ノルコグ SL6」か「ラ・クッション」の二択になっていますが、やはり乗り心地が優れている方を自然と選んでしまいます、
第三に、「通常の使用範囲なら問題のない性能を持っている」ことです。
「ラ・クッション」は、「性能が良い」とは到底言えない自転車です。重量の重さとベルトドライブのフローティング構造ゆえに立ち上がりの加速は極めて悪く(中速域は普通に伸びますし、平地での巡航は非常に快適で欠点ばかりではありません)、坂道にかかると一気に失速してしまうほど低性能です。
この点は、「PEUGEOT COM70F」や「ノルコグ SL6」には完全に劣ります。
とは言っても、日常でよく走るのは片道3~8km程度です。この程度の距離では「ラ・クッション」でも所要時間もほとんど変わりありません。初期加速の悪さも、ストップアンドゴーが少なく巡航重視の使用環境では、問題にはなりません。必要十分な性能を持っています。それでいて快適性は、「ラ・クッション 」が三者の中でトップクラスであり、最も乗りやすい自転車と言えます。
逆に言うと、「ノルコグ SL6」の性能や積載性を十二分に発揮できる機会がほんとどなくなっているということでもありますが…。
2台ともなるべく早めに復帰せねば・・・
そんなこんなで、20年近くまえの「ラ・クッション」が第一線に復帰している現状ですが、さすがに老朽化も隠せなくなっています。有体に言えば「ボロ」です。本来の予備車の立ち位置に戻すのが望ましいところです。
まずは、サドルを交換して「ノルコグ SL6」を今月か来月に復活させ、費用のかかるオーバーホールが必要な「PEUGEOT COM70F」は、春以降に復帰予定です。
書評『クルマを捨ててこそ地方は甦る』藤井聡著。地方の疲弊と衰退は過度なクルマ社会に一因あり。
昨年11月に書いた以下の記事で、昨年10月に京都大学大学院教授の藤井聡氏が上梓された『クルマを捨ててこそ地方は甦る』について触れました。
改めて最後まで読了しましたので、書評という形で記事をアップいたします。
ブログ主も以前から地方の疲弊と衰退はクルマ社会に一因ありと考えてきました
まず、この本が上梓されたことは大変嬉しく思います。
ボクも当ブログである「脱クルマで地方は豊かになる!」というブログを書き、原稿を一通り書き上げ、一度は疋田氏を通じて編集者さまを紹介していただけながらもボツになり今に至るまで難航しておりますが、地方での自転車活用と脱クルマをテーマにした本も書いております。
それだけに、ボクが以前から考えていたこと思っていたことがズバリ書かれていて大変共感する内容となっています。
ボクは以下の二つの視点から、過度なクルマ依存が地方の疲弊と衰退を招いていると考えていました。
まず第一には、ブログで幾度も書いているように一人一台に迫るほどマイカー・バイクの所有が大前提になった結果、ただでさえ地方は所得が少ないのに、その多くの部分をクルマ関連の出費に食い潰されており、実質の可処分所得がかなり目減りしているということです。極端な例では手取り収入の半分がクルマ関連の出費に消えている場合があるほどです。
クルマ(スマホ、ケータイも同様です)が庶民の所得を掻っ攫った分(ただでさえ、消費税、年金、健康保険、介護保険なども高くなっているのに…)、自由に使えるお金は減り、地元のお店などへ落ちるお金も少なくなってしまいます。住宅などの世代を超えたストックに回せる分も減ってしまいます。地方経済が疲弊して当たり前です。
第二の理由は、第一の理由で述べたことと関連しますが、地方中核都市ですら公共交通機関が貧弱なせいで、クルマの所有が必須で移動も常に自分でクルマを運転しなければならないという状態は、決して住みやすく魅力的な地域とは言えず、人口流出を抑え移住者を増やしていく上での足枷になっているということです。
「クルマを所有すれば金かかる」、「クルマを所有しなければ移動が極度に制約される」という二択を強いられる状況はあまり住みやすいと言えません。
そもそも、自動車中心の交通システムは非効率で不安定でリスクも大きいです。駐車場や道路で広大な土地を浪費してしまいます。ちょっと交通量が増えただけで、途端に流れが悪くなり様々な活動の障壁になってしまいます。そんな状態では、人や企業が集積し地域が発展していこうにも限界があります。
クルマ社会化に伴う郊外拡散は様々な要因で地方を衰退させる
本書では、前述の二点にも少し言及がありましたが、クルマ社会が地方の衰退を招いていると様々な側面から指摘されています。
中心街のシャッター街化や公共交通の衰退による魅力の喪失や雇用の減少、郊外大型モールやロードサイド店の増殖によるお金の地域外への流出、地域コミュニティの崩壊や地域への愛着の低下、郊外化に伴う行政コストの増加、運動不足による健康悪化による医療費の増加…。
特に興味深いのは、やはりクルマ社会の進展により進出を加速した地域外資本である郊外ショッピングセンター等がお金を地域外へ激しく流出させているという点ですね。京都市であっても、地元商店で買い物した場合は約半分が地元に戻ってくるけど、郊外ショッピングセンターで買い物した場合はわずかに2割しか戻って来ないようです。
「便利で品揃えがいい!」と皆が郊外ショッピングセンターこぞって買い物すれば、地方経済が疲弊するのも無理はありません。(そう言いながら、ぼくだって郊外のドラッグストア等へよく行きますが…)また、郊外モールだけでなく郊外のニュータウンだって地域外の資本が開発した場合がほとんどですし。
第2章の最後で、こう述べらていました。
クルマ社会が進展すればするほどに、地域の経済、産業、社会、行政、人口のすべてが同時進行的に衰弱していき、地方は衰退していくのである。
これこそ、本書の最大のテーマである「クルマを捨ててこそ、地方は甦る」ことの本質的理由だ。
クルマ社会はロシアンルーレット
筆者もブログで、クルマ社会の問題点について、常に事故を起こしてしまう、または事故に巻き込まれてしまう高いリスクを背負って生活しなければいけないと指摘しました。
それについても、しっかり第5章で述べられていました。
50年間クルマに乗り続ければ、125人に1人が死亡事故(運転者自身または同乗者が死亡、他のクルマの乗員、歩行者等を問わず)を起こす、400人に1人が事故死する、200人に1人が死亡時の加害者になる確率だそうです。
さらに、死に至らないまでも人身事故を起こす確率は実に「3分の2」(!)にもなるそうです。物損事故も含めると、もはや全く事故を起こしていない人はほとんどいないであろうと推測できます。物損事故であっても、任意保険料が高くなる、車両保険に未加入の場合、ローンをさらに背負ってしまうなどの経済的ダメージを受けてしまいます。
やはり、クルマに頼り切った交通社会は危険過ぎます。筆者を含めて教習所に通っただけのプロとは言えない人間がまともに健康管理もなされず、さらに鉄道のATSのような保安装置も全くない状態で運用しているのだから余計恐ろしいです。ボクだって藤井氏同様に、「クルマ(バイク)の運転がコワイ」と感じ続けています。
一般の方々にもオススメできる内容です
他にも、脱クルマ社会へ舵を切っている富山ライトレールやセントラムの整備をはじめとする富山市の事例や、京都、銀座、川越(必ずしも地方とは言えないですが)など通りからクルマを締め出すことによる効用、そして街から車を締め出しても混乱しないメカニズムなどが述べられています。
地域再生・地方創生に携わる地方行政関係者だけでなく、地方で暮らしている一般の人々にとっても「便利なクルマ、実は色々と問題があるんだよ」ってことを頭の片隅に置いておく上では大変オススメできる内容になっています。
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